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矛盾した感情【こころ】 

『こころ』を読んだのは高校生以来。
国語の授業で出てきました。

一番最初に読んだのは、中学3年生の時。
当時、倉木麻衣さんの好きな本にあげられていたと理由で読みました。
ほとんど意味が分かりませんでした。
学校でも読んでいたら「難しい本読んでるね」と同級生に言われました。

高校の授業で取り上げられてから
「なるほど」とある程度わかるようになりました。

それ以来読んでいなかったので約15年ぶり。
「矛盾した2つの感情」を感じました。

メロディアスライブラリー2023.3.26放送。


2007.7.1にも放送されてます。


・なぜKを呼び寄せただろうか。

読んだ当時は気づきませんでしたが、
先生はなぜ幼馴染のKを呼び寄せたのでしょうか。

家族間で一悶着があり、住む家がなくなってしまった先生。下宿先を探しました。
その下宿先は、軍人の夫に先立たれた女性とその娘の2人暮らしでした。
それが妻との出会いです。
※この時は「お嬢さん」で登場。結婚後「妻」に。

結婚しそうだなと思ったところで、幼なじみのKがやってきました。先生が呼び寄せました。

もし彼が来なければ、お嬢さんと結婚する時に
何事もなくできたでしょう。
どうしてもわかりませんでした。

「このまま行けば結婚できるかな」
そう思うと同時に、結婚することにためらいがあったのではないかと思いました。

誰か第三者がいれば結婚できない理由を
そのせいにできるのではないかと思いました。

・下宿した当初の奥さん

矛盾した2つの感情を抱えたのは奥さんもでした。
先生に対して、お嬢さんを接近させたがっていると思う一方、警戒もしている。
矛盾しているが、どちらも嘘ではないだろうと先生は言ってます。

白黒はっきり分けられない。
こう感じました。

・感想

こちらはメロディアスライブラリー最後の作品です。それと同時に一番最初の放送作品でした。

中学生の時どうして意味がわからなかったのか、
今ならなんとなく理由がわかります。

まず、登場人物と具体的な名前がなかったことです。今でこそそういう作品を読んでるので、イメージできますが、中学生の時に読んでいた作品は具体的に名前がついている登場人物ばかりでした。

もう一つは、伏線を回収し切れてないことです。
大衆小説だと起承転結がはっきりしていて、ある程度オチがあります。
しかし、純文学は伏線を回収しないことも珍しくなく、「え、これで終わりなの?」とはっきりしないまま終わることが少なくありません。
それも馴染めなかった理由ではないかと思います。

主人公に長文の手紙を出しながら、最後に「私の妻には知らせないでほしい」と締めてあって「え?」となりました。

具体的な展開やオチを期待して読むと
わからなくなりそうな作品と改めて気づきました。

以上、ちえでした。
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