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マキネマ〜私的映画感想文〜

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映画好きライターによる、私的な映画レビュー。観た映画のメモがわりにも使います。
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#吉田喜重

吉田喜重監督、死去…

私の大好きな映画監督の一人、吉田喜重監督が12/8に肺炎で死去されたそうです。。

「エロス+虐殺」「炎と女」「煉獄エロイカ」「戒厳令」など、本当にどの作品も素晴らしいの一言。

名作の数々はもちろんのこと、「小津安二郎の反映画」など秀でた批評、文才でも存在感を残した喜重監督。もう89歳だったのですね……

謹んでご冥福をお祈りいたします。

個人的に、吉田喜重の見直し会、しなきゃなぁ。

「戒厳令」監督:吉田喜重/

「戒厳令」監督:吉田喜重/

〜こんなお話 〜

大正十年の夏も終りに近いある日、小さな風呂敷包みを持った女が、北一輝のもとを訪れた。朝日平吾の姉と名乗る女は、風呂敷包みに入っている血染めの衣を一輝に渡した。それは、安田財閥の当主・善次郎を刺殺し、その場で自殺した平吾の着ていたものであった。平吾の遺書を読む西田税、その遺書には明きらかに、北一輝の「日本改造法案」の影響が読みとれた。一輝はその衣を、銀行へ持って行き、現われた頭取

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55年前、人工授精を考える。
「炎と女」監督:吉田喜重/1967

55年前、人工授精を考える。 「炎と女」監督:吉田喜重/1967

こんなお話

造船技師・伊吹真五と立子の間には一年七ヵ月のひとり息子鷹士があり、家庭は一見したところ幸福そうに見えた。だが鷹士は人工受精によって生れた子供で、それが夫婦の間を微妙なものにしていた。この家には、真五の友人の医師で、人工授精の施術者だった藤木田と、かつてその弟子だった坂口と妻のシナが出入りしていたが、真五は当時、貧しい医学生だった坂口が精子の提供者なのを知っていながら交友関係を結んでい

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