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読書メモ:ビジネス教養としての最新科学トピックス

基本情報

『ビジネス教養としての最新科学トピックス』
茜 灯里
2023年10月11日発行

最近社会科学系に偏って読書していると思い、理科系が正直得意ではないが、理解できそうな本として手に取った一冊。
ニューズウィーク日本版Webに掲載された科学コラム「サイエンス・ナビゲーター」を改稿してまとめられている。

構成

第1章 宇宙
第2章 医療
第3章 地球・環境
第4章 生物
第5章 アートとテクノロジー 

感想

最新科学トピックスということで、宇宙、医療からアートとテクノロジーまで幅広く扱われている。また、2023年10月発行ということもあり、新型コロナが5類に引き下げされたもの先が見通しに不安があることが書かれている。

幅広いトピックスの中でも興味深かったのは、以下の二つだった。
①ブタからヒトへの心臓移植に見る「異種臓器移植」の可能性
②ヒトを襲い、弱い個体をいじめる「優等生」イルカの知られざる一面

①の異種臓器移植は、少し前にニュースにもなり御存知の方もいらっしゃると思うが、ブタの心臓をヒトに移植する手術が行われ、無事移植自体は成功したが、残念ながら約2か月ほどで亡くなってしまった。
ヒトへの移植で考えるとヒトに近いサルなどが浮かぶが、ブタの心臓のサイズがヒトに近いこと、また、ブタが多児で成長が早いため臓器調達がしやすくヒトにも適合しやすいということでたどり着いた結果とのことだった。

結果的には、移植したブタの心臓が感染していたために2か月で患者はなくなってしまったが、過去の移植例からすると2か月でも長い期間になるということだった。

本書でも触れらてれいるが、異種臓器移植(ヒト以外の生物からの移植)に関しては、「生命倫理」の問題が出てくる
ヒトからヒトへの臓器移植に関しては、移植しても問題ない臓器や脳死判定の上での移植等、まだ感覚的にも理解できるが、ブタからヒトへの臓器移植になると感覚的にも受け入れがたい部分が個人的にはある

「ヒト」からすれば、ブタを食べている以上、ブタの命を奪って臓器移植したって同じなのだが、どこか引っかかってしまう。
現時点で生命倫理的な観点が議論され、具体的なルールな考え方はあるわけではなく、これからなのだがどこか人間の傲慢さを感じてしまう。

また、イルカに関してはなんの根拠もなかったが、ヒトにも優しく温厚なイメージの動物であったが、最近の研究でヒトを襲う事例やイルカの集団内で、弱い個体をいじめるイルカがいることがわかってきた。

イルカは知能が高いこともあり、ヒトと同様に気に入らないことがあれば襲うこともあり、また、ヒト同様に集団心理が働くようである。

ブタの心臓移植もイルカの研究その他のトピックスも共通だが、勝手なイメージや認識している知識が最新であり、正しいとは限らないので「アップデート」は重要だと認識させられた一冊であった。

その他(募集)

引き続き、いろいろな本・映画等に出会いたく、読者の皆様が今まで読んで面白かった本や映画等を募集しています。コメント欄に書いて頂けると幸いです。

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