大人の読書感想文「麦本三歩の好きなもの」

プロローグ

みなさん、生きることが、生きることを楽しむことが、得意ですか?
私は自分で下手だなと思っています。

楽しみにしていたことも当日になっていやになったり。
そもそも楽しみにできなかったり。

他の人よりも、楽しい!最高!という感情になっている時間は少ないかなと。

今の時代はインスタグラム、ツイッター、などありとあらゆるSNSたちが他人のきらびやかな生活を見せてくれます。

それはとても面白いし、参考になるし、自分も頑張ろう、と思えます。
とてもいいものですしこの時代に生まれてよかったと思います。

その一方で元気のない時や悲しいこと落ち込むことがあったときに他人のキラキラした様子を見ると卑屈になってしまうことがあります。

あの人の生活はあんなきらきらしているのには自分は、、、と。

そんなときにこれを読むと楽しい、幸せ、という感情がもっと単純でいいんだということを教えてくれます。
重い物語ではないし考え込む話があるわけではありません。
でも私がこの先生きていくのに手放せない本です。

私は読んだ本をスマホにメモし簡単な感想を書いているのですがこの本の感想はこう書いてありました。

どうやって生きればいいんだっけ
どうやって息すればいいんだっけ
どうやって笑えばいいんだっけ
そう思ったらまたこの本を読もうと思う

本編

この物語に殺人犯、探偵、魔法使い、忍者、侍、不倫相手は出てこない。
出てくるのは主人公三歩、仕事の上司、友達である。

この物語で三歩は事件に巻き込まれないし、大恋愛もしない、遭難もしない、タイムスリップもしない。
その代わりにラーメンを食べに行き停電にあい、仕事をさぼり、電話をする。

つまり日常である。

無意味に散歩ができる人間こそが価値のある人間なのだと。

麦本三歩の好きなもの第1集 住野よる 11頁

これは三歩が誰からか聞いて気に入っている言葉だ。
私も気に入っている。

勉強をする。本を読む。電車に乗る。
そういった意味のある日々の行動の合間に
反対向きで寝る。聞き手じゃない手を使う。雨に濡れてみる。
といった意味のない行動を挟むことで生活は豊かになる気がする。

公園が楽しくて仕方なかった子供のころを思い出す。

子どもが縁石の上を歩くこと。
クレヨンで丸い円を描くこと。
ソファーの背もたれに上ること。
トイレットペーパーの芯を除くこと。

これらに何の意味があっただろうか。
おそらくないだろう。

なんとなくそういう風に手を動かしてみた。
そういう行動が小さな「楽しい」を生み出していた。

大人になるといろいろな大切なことを忘れてしまう。
意味のないことは悪いこと、省くことになってしまう。

社会に出れば時間に厳しく効率よく生きることが求められ
協調性のないものは省かれる。

みんながルーズになったら日本はおかしくなってしまうしある程度の協調性も必要である。

でもそんな秩序だった社会から少し出て深呼吸をするために生活の中にある無意識なもの、無駄に見えるもの、を大事にしたい。

まとめ

私は読書感想文が苦手だと思う。
全然かけなかった。

ぜひみんなに読んでもらいたい。
第2集も文庫化したいみたいだから買いに行こう!

では最後に私の好きな文章を

あれかな、ひょっとして、ずっと韻踏もうとしてる?

麦本三歩の好きなもの第一集 住野よる 89頁


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