主人公の条件①~日本のゾンビの正体~
日本におけるゾンビ映画
最近、2016年に公開した韓国映画『新感染 ファイナルエクスプレス』をみました。韓国らしさが存分に出ていておもしろかったです。韓国版のゾンビ映画として、とてもよくできていたと思います。
そこで、日本のゾンビものはどうだろうと、2019年公開の『アイアムアヒーロー』をみてみました。以下、ネタバレを含みますのでご注意ください。
日本のゾンビものの共通点
『アイアムアヒーロー』は同名漫画を原作とした映画で、中年男が突然ゾンビ(作中ではズキュンと呼ばれる)であふれた世界でどうにか生き延びるというストーリーです。
主人公は途中で出会った女子高生と逃亡しますが、のちに少女は自分が感染していることを告白します。しかし、少女は完全にはゾンビ化しませんでした。仕方なく主人公はわずかな理性を残した少女を連れていきます。
あれ、この展開どこかで見たような・・・・・・。
そうです。『鬼滅の刃』です。やはりこちらでも、主人公の妹があと少しのところで鬼化を免れています。ドラマ『君と世界が終わる日に』でも主人公の恋人が半ゾンビ化(作中ではゴーレム)のまま長い月日を過ごしています。
どうやら、主人公が半妖半人になった女性を守るのが日本式らしいですね。では、半妖半人は何を表しているのか。
半妖半人とは誰のことか
半妖半人=異人=子供、女性、老人
この三者は、日本では古くから神がかり的な霊力があると考えられてきました。
子供は「7歳までは神の子」とされ、子供が依り代(よりしろ:神様が宿るところ)とされるお祭りも各地にあります。女性は巫女や女神、祈祷者、老人は知恵者、権威者とされてきました。
つまり、半妖半人は異人であり、境界にある人、神様と交信ができる人だということです。
日本には、恨みを持って亡くなった人が怨霊(おんりょう)となって災いを起こすという考えがあります。そういう魂は「荒魂(あらみたま)」と呼ばれ、丁重に祀ることで「荒魂」を鎮め、自分たちを守ってくれる神様として変化させていきました。
人間によって良くない「荒魂」を人間の利益となる「和魂(にぎみたま)」、そして神様にするためには、巫女や陰陽師など、神様と交信できる人が必要です。
また、日本には「ケガレ」という考えもあります。「ケ」とは日常のことで、日常が枯れた状態を「ケガレ」と呼びます。この「ケガレ」を祓えるのも神様と交信できる人たちです。
主人公の条件
ゾンビを「荒魂」、「ケガレ」とするなら、主人公が助かる方法はゾンビを鎮めてくれる半妖半人が必要です。
だから、多少の危険を受けながらも半妖半人を守ることが、ゾンビものの主人公の条件になるのです!
次回は、半妖半人のもう1つの顔を紹介します。
ありがとうございました。
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