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相続放棄〜生き別れた父の死〜(後編)④

2022.7.12(火)相続放棄手続き終わる

6月5日、家裁宛に自らの意思で相続放棄を申し立てたかどうかの「照会書」に回答したものをポストに投函した。これまでの一連の手続きは20日サイクルで動きがあったので、6月末くらいまでには何らかの進展があるだろうと思われた。

ところが、7月に入っても何ら音沙汰がない。まぁ、裁判だって審理を終えて判決が出るまでが一番時間を要したりする。
結局、7月11日に自宅ポストに「相続放棄申述受理通知書」なる書面が届き、裁判所の手続きが終わったことを知った。あとは父が居住していた役所にそれを連絡するだけだ。放置しておくと固定資産税を課してきかねない。

翌7月12日の朝、役所の開庁時刻ちょうどくらいに電話をする。担当者に繋いで、福岡から電話をしていることを伝えると、すぐに思い出してもらえた。まぁ、なかなか九州から電話がかかってくることもないのだろう。

「では、裁判所から届いた相続放棄申述受理通知書のコピーを送っていただけますか?」
「え?相続放棄申述受理証明書を別途取得しなくていいんですか?」
「はい、わざわざ取り寄せる必要はありません」

裁判所の郵便物の中には、通知書と一緒に、各役所や金融機関(たとえば、被相続人に負債があってその取り立てが来た場合)に対し、水戸黄門の印籠の如く「私は相続放棄をしております」と証明するための書面については別途有償(1通150円)で証明書の取得が必要との説明が同封されていた。しかし今回はそれを取り寄せる必要はないのだという。意外とあっけない幕切れであった。

そんなわけで、父の死を知って約5か月で、相続放棄は終わった。
費用は19万円と決して安くない金額ではあったが、専門家に頼らず自力で手続きを進めていたら、途中で心が折れていたかもしれない。また、誰にも相談もせずすんなりと相続をしてしまっていたら、不動産の売却や固定資産税の支払いなどが待っていたし、もしかしたら父が抱えた負債を背負わされたかもしれない。

今回の一連の文章は、ぼくが父の死を知ったときに、片っぱしから相続、あるいは相続放棄についてウェブで検索し集めた情報で、最も参考になったことが、体験者自身の記述であったことから、ぼく自身の体験をこうして公開することで、誰かの参考になればと思い書いたものだ。

ただ、前編は父のことを書いているうちに幼い頃の父との思い出や、母や弟のことも思い出して、それらのエピソードも多く盛り込んだため、肝心な手続きに関することが埋もれてしまったのではないかと反省している。逆に後編は、司法書士を交えながら費用や期間、必要な手続きなど、なるべく事実だけを書くことを心がけた。ただ、お金がらみのところは多分に自身の感情が反映されてしまったことはご容赦願いたい。

最後に、相続放棄についてスムーズに進めてくださった司法書士さん、丁寧に説明してくれた役所の職員、何の利益にもならなかったのに父の所有物件の登記簿まで調べてくれた地元の不動産業者、無料相談に応じてくれた弁護士さん、また、この文章を読んでコメントしてくださったFacebookのお友達の皆さん、感想を直接伝えてくれた職場の同僚や先輩方にこの場を借りて感謝申し上げます。ありがとうございました。

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