ノーラン映画はなぜこんなにも難解で、惹かれるのか【オッペンハイマー公開記念】
3月29日
いよいよクリストファー・ノーラン、待望の新作「オッペンハイマー」が日本公開される
随分と前に日本以外では公開されているが、観客、批評家ともに軒並み高評価でノーランのフィルモグラフィー以上最高傑作との呼び声も高い
※第96回アカデミー賞では作品賞含む7部門に受賞
そんな「オッペンハイマー」の公開を勝手に記念して、生粋の自称ノーラン信者である私TJがノーラン作品の魅力について改めて考察し、公開間近に迫ったオッペンハイマーの展望についても書いていきたい
「ノーラン作品はなぜこんなにも難解で惹かれるのか」というまるで恋愛ドラマのようなタイトルとなっているが、それに負けないくらいのノーラン愛をぶつけていきたいと思うので最後までお付き合い願いたい
なぜノーラン作品は難解なのか
今、最も名前だけで客が呼べる監督であるのと同時に映画公開後、最も考察記事が噴出する監督としてもおなじみのクリストファー・ノーラン
彼の映画はよく難解なものとして説明される
なぜノーラン作品は難解とされるのか?
答えは説明が最小限かつ時間軸を弄るからだ
説明が最小限というのは劇中の中でキャラクターにストーリーの設定を語らせないということと同義である
前作の「TENET」では時間軸が逆行する、プルトニウムを奪還するだのストーリーのコンセプトが革新的であるが、ノーランをそれを観客に丁寧に説明することを嫌う
むしろ「TENET」では我々と同じく理解できていない主人公に「考えるな、とにかく感じろ」と言ってしまう始末w
しかし説明が最小限であるからこそ、進行にスピード感があるのもノーラン作品の魅力の一つであり、CGに頼らない圧倒的画力をレバーに観客をレールから脱落させない力技も備え持つ
話が逸れたが、ノーラン作品が難解とされるのかという2つ目の理由として時間軸をとにかく操る
「インセプション」では夢の階層ごとに時間の進行具合を変速させ、「インターステラー」では相対性理論をもとに時間を伸縮、「TENET」では時間軸を逆行させるという前代未聞の映像的偉業を成し遂げた
我々が普遍的と思っている時間ベクトルをいとも簡単に捻じ曲げるからこそノーラン作品は難解と説明されてしまう
なぜ我々はノーラン作品に惹かれるのか
しかし何度も言うが、ノーランはハリウッドで今、一番名前で客が呼べる監督だ
なぜ自分も含め、全世界の映画ファンたちをこれほどまでに引き付けるのか
それは人間を信じているから、そしてキャンパスを最後まで埋めないからだと思う
ノーラン作品は前述の通り、説明を最小限にして時間軸を弄りまくるから難解とされる
だがノーラン自身が描いていること、描きたいことはすごくシンプルでどれも「人間への信頼」に帰着する
「ダークナイト」ではジョーカーという最恐の悪役を引き合いに出しながら人間のあり方、正義の脆さを描き出したが、それと同時に大衆が信じる正義というのも映し出される
「ダンケルク」でも人が窮地に立たされる中で、海陸海それぞれの立場から生み出された人の勇気を描いている
AIの急速な発達で人間としてのアイデンティティも揺らぎかねないこの時代に、ノーランは徹底して人間の本質を描いてきた
だからこそ今回もオッペンハイマーという題材を選んでいるのだろう
手法としては革新的なものの、ノーランが描き出したいものは実にシンプルで普遍的なものだ
だからこそ我々はノーラン作品がどんなに難解とされても惹かれてしまう
そしてもう一つ重要な点としてキャンパスを最後まで埋めないというのもあると思う
代表的なのが「インセプション」で詳しいことはここでは割愛するが、ラストは夢と現実の境界線を曖昧に残したまま幕を閉じる
これは「インターステラー」、「TENET」「ダークナイト ライジング」などほぼ全てのノーラン作品に当てはまる共通項だ
ノーランは最後に、観客へ想像の余地を残してくれる
だからこそ、ノーラン作品がどれだけ難解であっても残された余白の答えを探そうと惹かれてしまうのだ
オッペンハイマーに向けて
長々と語ってきたが、最後にオッペンハイマーに向けての展望を語りたい
もちろん執筆時点ではまだ見れていない状態なので完全な予想となる
しかしこれまで見てきたノーラン作品のアーカイブから
1.時間軸を弄る
2.人間への信頼
この2つは間違いなく要素として入ってくるだろう
全米公開から約8ヶ月を要したことでハードルは高まり切っているが、ノーランならこのハードルを簡単に超えてきてくれると期待して止まない
最後に改めてとなるが2024年3月29日より「オッペンハイマー」全国公開となる
もちろん鑑賞したらすぐに感想&考察記事も書く予定なのでぜひともいいね、フォロー、コメント等よろしくお願いします
では!
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