見出し画像

2023年度東都大学野球1部秋季リーグ チーム紹介


青山学院大学

■春季リーグ☆優勝 勝ち点5(10勝1敗)
■全日本大学野球選手権☆優勝
▲投手力S 攻撃力A 守備力D+

 まずは春季リーグで勝ち点5の完全優勝を飾った青学です。投手陣から見ていきましょう。

Defense

 

 なんと言っても下村海翔(④九州国際大附属)、常廣羽也斗(④県立大分舞鶴)、松井大輔(④県立岐阜商業)の4年生3枚看板は非常に強力です。
 140キロ代後半の速球とカットボールが武器の下村は7月上旬に行われた日米大学野球でMVPに輝き日本代表の優勝に大きく貢献しました。

下村


 
 また、150キロを超える速球とスライダー、スプリットのコンビネーションで三振の山を築く常廣は今春から先発として初めてフル稼働、リーグ戦では好不調の波がはっきりしていたものの全日本の舞台では圧巻の投球を披露、特に決勝戦では東京六大学代表の明治大学を9回完封と圧倒、日米大学野球でも素晴らしい投球を披露しました。ちなみに常廣の母校である大分真出高校は県でも有数の進学校であり、彼は指定校推薦で青学に進学し一般入部で野球部へ入っています。

常廣

 そして青学の春季二冠は松井大輔抜きには語れないでしょう。1年時から先発として活躍し一部昇格に貢献、青学にとって久々の一部となった2年春も47回1/3を投げ防御率1.52と残留に貢献、その後不調に苦しみましたが3年秋にAチームに復帰すると今春はリリーフエースとして大車輪の活躍、リーグ戦では規定投球回にも達し最優秀防御率を獲得、全日本選手権でも活躍し日本一に貢献しました。

松井大輔
松井

  
 下級生ではTJ手術を経て東都初登板を果たした中西聖輝(②智辯和歌山)、昨春に先発として活躍した児玉悠紀(③日大三)、公式戦初登板で亜細亜大学相手に6回無失点と堂々の投球を見せた渡辺光羽(②金沢学院大附)、最速150キロの速球が武器でOP戦を沸かせた大型右腕、鈴木泰成(①東海大菅生)、ついにそのヴェールを脱ぐことが期待されるヴァデルナ・フェルガス(②日本航空)などがおり、バックアップ体制も盤石です。

 1年生キャッチャー渡部海(①智辯和歌山)のリードも素晴らしく、物怖じすることなく先輩投手陣をリード、タイムのタイミングなどもバッチリで、強力投手陣を形成できたのは彼の存在も大きいといえるでしょう。

常廣と渡部

Offense


 攻撃面では、1番に座る主将の中島大輔(④龍谷大平安)が.333(39-13)、5盗塁を記録。彼が初回に出塁した後盗塁、後続のバッターが返すという攻撃パターンでゲームを序盤から支配、終始優位な展開でゲームをコントロールしていたという印象です。
 2番佐々木泰(③県立岐阜商)、3番小田康一朗(②中京学院大中京)、4番西川史礁(③龍谷大平安)、5番松本龍哉(②盛岡大附属)の中軸は破壊力抜群で、相手投手に大きなストレスを感じます。 下位に座る渡部、初谷健心(②関東第一)、藤原夏輝(②大阪桐蔭)らも長打力があり非常に気の抜けない打線となっています。特に初谷は低打率ながら甘いボールは軽くスタンドに放り込める能力を持っているためかなり危険な存在です。
 またベンチには選球眼抜群の中野波来(④大阪桐蔭)、一発のある谷口勇人(①大阪桐蔭)、ミート力の高い星子天真(①大阪桐蔭)、青木颯汰(④聖望学園)、堅実な守備が持ち味の手塚悠(④常総学院)などが控えており近年の大学野球界ではトップクラスの完成度を誇っています。
 開幕戦は愛媛県での開催ということもあり愛媛の名門、今治西高校出身の山本英錬(③県立今治西)に注目です。春はなかなかベンチに入ることができませんでしたが、夏季OP戦では早稲田大学からホームランを放つなどアピールを続けています。

中島
佐々木
小田
西川
中野
山本(28番)

展望


 
よほどのことがない限り優勝で堅いのではないでしょうか。全日本を戦い、日米大学野球に青学からは5人日本代表として選手が派遣されましたがOP戦の様子を聞く限り勤続疲労などの心配はなさそうです。
 あえて懸念点を2点挙げるとしたら小数精鋭であるが故、けが人が続出したらチーム運営が厳しいという点、そして開幕節の相手が天敵・中央大学であるという点くらいでしょうか。
 いずれにせよ彼らが秋も大学野球最高峰の野球を披露してくれることに疑いようはないでしょう。


日本大学

■春季リーグ2位 勝ち点2(6勝5敗)
▲投手力B 攻撃力D- 守備力C+

続いては大方の予想を覆し、後半戦4連勝を飾りAクラスフィニッシュを達成した日本大学です。

Defense


 
春の躍進を支えたのは何と言っても市川祐(②関東第一)でしょう。140キロ台中盤の力のある速球、スライダー、スプリットが武器の右腕です。彼の持ち味は制球力であり、春は47回1/3を投げ与えた四死球は7(6四球1死球)、与四球率は驚異の1.33でした。かなりのイニングを投げたため秋は各校により研究が進むでしょうが、高校時代試合終盤になってもコンスタントに150キロ近い速球を投げていた彼であればさらなる進化をもって対策を上回る投球を見せてくれるのではないでしょうか。

市川


 終盤戦4連勝の立役者に坂尾浩汰(③龍谷大平安)の名を挙げるものは多いでしょう。身長162㎝のこの左腕の最大の武器はストライクゾーンにテンポよくボールを投げ込める制球力です。速球は速くて130キロ台後半程度ですが速球とスライダーを低めに次々と決めてくる彼の投球に第4節第2戦で対戦した中央大学、第5節第1戦で対戦した駒澤大学は大苦戦を強いられました。どのカテゴリにおいても技巧派左腕はなかなか打ち崩すのが難しい存在であるため今秋要注目投手の一人ではないでしょうか。

坂尾

 先に名前を挙げた市川、坂尾の二人と比較すると若干悔しい結果に終わったのは今年度から18番を背負う山内翔太(③市立習志野)です。140キロ前後の速球、スライダー、カーブ、ツーシームが武器の選手ですが開幕戦からなかなか打線の援護に恵まれず、投球内容もなかなか安定しませんでした。亜細亜大学との第3節第2戦ではタイブレークの裏の場面で登板するも味方のエラーが重なり敗戦投手に。試合後は悔し涙を流しました。しかし春季リーグ最終登板となった第4節第2戦の中央大学戦では2回1/3を無失点で抑えゲームを締めいい形でシーズンを終えました。秋季リーグはおそらく市川、坂尾の二枚が先発だと予想されますがショートスターター、ロングリリーフ、先発など多くの役割を果たせる山内の存在は重要になってくるでしょう。

山内

 日大からは春季リーグ、夏季OP戦を通してリリーフ陣も着実に整備されてきた印象を受けます。リーグ戦で短いイニングながら安定した結果を残した柏崎日祐(②樹徳)を中心に清水虎太郎(②日大藤沢)、榎谷礼央(①山梨学院)ら速球が武器の右腕はブレイクが期待されます。
 まだリーグ戦での登板はありませんが背番号11を与えられている前川佳央(②日大札幌)も楽しみな存在の一人です。

柏崎

 主将で正捕手の友田佑卓(④九州学院)は東都1部でも屈指の強肩です。春季リーグではタイプの異なる先発陣を見事リードしAクラス入りに貢献しました。終盤戦になるにつれ打撃の調子も改善し、秋季リーグではラインドライブの鋭い当たりを期待したいところです。

左から友田、山内

Offense

 野手陣は4年生を中心にバランスよく各学年の選手が活躍した印象です。
 1番サードで固定された菊地弘樹(①木更津総合)は小柄ながらコンスタントにヒットを重ね3盗塁、4得点とチャンスを演出しました。
 爆発的なスプリント力を持つ千田泰智(③昌平)は瞬足を武器に攻守において印象を残しました。
 活躍が期待された角田勇斗(③習志野)、林拓馬(④大垣日大)、高垣広大(④山梨学院)は物足りない数字に終わりましたが終盤戦で器用された花崎成海(④県立広島商業)、小濃塁(④仙台育英)は持ち前の長打力を発揮、1年生ながら4番に座ることもあった山口雄大(①西日本短期大附属)もインパクトを残しました。
 昨春の新人賞、星憂芽(②日大三)は広大な守備範囲を誇ります。
 主に代走のスペシャリスト、川崎大也(②佐野日大)も1点が重くのしかかる東都1部においては重要なキーとなるでしょう。

菊地(弘)
千田
角田
高垣
山口

花崎

展望

 質の高い投手陣を武器に、秋もAクラス入りすると予想します。市川、坂尾とタイプのまったっ異なる先発二枚の存在は大きな武器であり、打線も片岡監督が意図するようなものに仕上がってきている印象を受けます。
 片岡監督はバントを多用しないため、打力が増せば一気に得点も増えてくることでしょう。

亜細亜大学

■春季リーグ3位 勝ち点3(7勝6敗)
▲投手力B+ 攻撃力C- 守備力B

Defense

 エース草加勝(④創志学園)を中心とする強力投手陣が持ち味です。草加は直線的で伸びのある美しい速球とスライダー、シュート、スプリットを武器に凡打の山を築く投手です。日米大学野球日本代表にも選出され堂々の活躍を見せました。

草加


 春季リーグでは第1戦で草加、第2戦でショートスターターとして齊藤汰直(②県立武庫之荘総合)、ロングリリーフで岩本龍之介(④岡山理科大附)といった起用が目立ちました。
 齋藤は矢のような速球とカーブ、スライダーが持ち味の右腕で好調時のストレートは東都一部でも屈指の質を誇ります。
 岩本は145キロを超えてくる速球が武器の左腕であり2月に行われたプレシーズンマッチでインパクトを残すと開幕節第2戦の中央大学戦で東都デビューを果たし、リーグ戦でも安定した投球を見せました。岩本は長いイニングを投げるだけの体力もある投手なので草加、岩本の二枚看板が形成できればかなり強力な先発陣を形成できます。

岩本


 昨春にブレイクした本田峻也(②東海大菅生)、山城京平(②興南)のサウスポー二人はなかなか登板機会に恵まれませんでしたが能力は十分であるためブルペンの中心戦力として期待が持てます。

本田
山城

 正捕手小山翔暉(④東海大菅生)も攻守両面で安定感を持ち、チーム目標である「一部残留」に貢献しました。

小山

Offense

 切れ目のない打線が持ち味です。 
 トップバッターの天井一輝(④広島商業)は身体能力が高くパンチ力のある打者です。後半戦から夏季OP戦では上位打線に入ることが多い的場北斗(②東海大山形)、浦林祐佑(④県立小林西)の二遊間コンビは打撃、守備、走塁もハイレベルで長打力も持ち合わせています。

天井
的場
浦林


 主将で主に4番に入っていた松浦隆己も昨年に引き続き安定した成績を残しました。

松浦

 1年次からライトで不動の地位を獲得していた右田稜真が故障で出場することができない中、古山慎吾(④東北)、西川凱斗(③育英)、石川ケニー(①明秀日立)らの活躍によって穴を補いました。

石川

 特に、石川は開幕戦でいきなり4番を任され中央大学の西舘勇陽(④花巻東)から広角にタイムリーツーベースを放ち、西川は終盤戦以降レギュラーに定着し結果を残しました。

展望

 6月14日、亜細亜大学は2004年から監督を務めていた生田勉氏が体調不良により監督を退任することを発表しました。
 後任には亜大OBで東都の審判を務めていた鈴木一央氏が就任しました。
 監督交代などがあり、毎年8月に北海道釧路市で開催されるプレシーズンマッチ、タンチョウリーグに亜大は参加しませんでした。
 しかしOP戦などの様子を見る限り草加ら投手陣の状態はよく、浦林を中心に打線も結果を出しています。
 何より的場、的場、浦林のセンターラインは鉄壁であり、チーム目標である「一部残留」に向け視界良好といえるでしょう。


 

國學院大學

■春季リーグ4位 勝ち点2(6勝8敗)
▲投手力B 攻撃力C- 守備力B+

Defense

 左のエースでショートアームからミサイルのような速球をコーナーに投げ分ける左腕、武内夏暉(④県立八幡南)、右のエースでオーバースローから美しい軌道の速球、打者のタイミングを外すチェンジアップが武器の右腕、坂口翔颯(③報徳学園)の二枚を中心にする投手陣を形成しています。
 昨年秋、鬼神の如き働きを見せリーグ優勝に貢献した武内ですが春季リーグではテークバックを変更したことにより中々以前のような圧倒的な投球を見せることができませんでした。しかし夏季OP戦では好投を続け、8月28日に行われたU18ワールドカップ壮行試合では高校日本代表相手に自己最速である153キロの速球を投じ、開幕に向け状態を上げてきています。

武内


 右のエース坂口は昨秋のリーグ戦をけがで欠場したものの復帰後の神宮大会で素晴らしい投球を見せたため春にかかる期待は大きいものでした。序盤戦は変則的な日程により中々先発する機会が少なかったものの、シーズンを通して先発、中継ぎでフル回転、1年時の輝きを取り戻すかのような投球を見せてくれました。

坂口


 リリーフでは、近年の國學院を支えていたサウスポー、楠茂将太(現ENEOS)が卒業しましたが楠茂と同じ左腕であると飯田真渚斗(②明秀日立)が春季リーグで台頭、速球もMAX147キロを記録するなどインパクトを残しました。

飯田


 リリーフでは左腕の當山渚(②沖縄尚学)、冨田遼弥(①県立鳴門)、粗削りながら東都でトップクラスのスピードを誇る谷幸之助(④関東第一)などが控えており、かなり強力な布陣となっています。

冨田


 神里陸(③東海大相模)がマスクを被り続け、厳しい春季リーグで残留をつかみ取りました。

神里

Offense

 一昨年、昨年と比較するとどうしても攻撃力の低下は否めませんでした。
 しかし首位打者に輝いた柳舘憲吾(③日大三)、10安打13四死球で驚異の出塁率を誇った切り込み隊長、神山福生(④國學院久我山)、主将の吉川育真(④岡山理科大附)第5節第3戦中央大学戦でチームを残留に導くホームランを放った神里などの活躍が光りました。
 冨田進悟(③横浜)、昨秋の首位打者ながら怪我明けの田中大貴(③県立観音寺第一)、強打が持ち味の伊東光亮(③大阪桐蔭)らが不調に苦しみましたが、立花祥希(②横浜)、室木太陽(③金沢商業)、中西流空(②県立岐阜商業)などサブメンバーが存在感を発揮、秋に向けて楽しみな存在といえるのではないでしょうか。
 また、Future's Leagueで存在感を発揮した田井志門(①大阪桐蔭)の公式戦デビューも楽しみです。
 サブ組で最も注目していただきたいのは走塁のスペシャリスト、落合俊介(②八王子学園八王子)です。爆発的なスプリント力が持ち味であるこの選手は、終盤1点勝負という展開が多い國學院において非常に重要な役割を果すこととなるでしょう。

柳館
伊東
田中
落合(33番)

展望

 武内次第ではありますが、東都一部において最も優勝争いの経験が豊富なのはこのチームであるため秋三連覇の可能性も十分にあると思います。
 春はなかなか打線がつながらず得点力不足に泣かされました。優勝を目指すのであれば柳館の他にもう1,2人、率が残せる強打者が出現することが必須でしょう。

 

中央大学

■春季リーグ5位 勝ち点2(5勝8敗)
▲投手力C- 打撃力C 守備力D 

Defense


 西舘勇陽(④花巻東)、石田裕太郎(④静清)、岩本大地(④石岡一)の4年生右腕3人が中心です。
 西舘は剛速球と鋭く曲がるスライダー、カットボール、スプリット、大きく曲がるカーブが武器の速球派、石田は伸びのある速球、スライダー、スプリットが武器の本格派、岩本は重い速球と鋭く曲がるスライダーを低めに集める本格派です。
 中央大学は春季リーグにおいて優勝候補に挙げられていましたが、西舘がOP戦からの勤続疲労と各校による研究の為序盤戦思うような結果を残すことができず中々勝ち星を挙げることができませんでした。

西舘


 先発を担うことが予想された石田も、序盤戦はリリーフで短いイニングでの起用など適正に見合わない起用をされ中々結果を残せませんでした。
 しかし後半戦になるにつれ西舘、石田共に本来の力を発揮し始め土壇場で1部残留を決めました。彼らが後半戦で本来の調子を掴めたことは苦しい結果で終わった春季リーグにおける収穫の一つではないでしょうか。

石田


 岩本も第3節青山学院大2戦では5回まで青学打線をノーヒットに抑える好投を見せてくれました。

岩本 

 また、三奈木亜星(②浦和学院)、岩城颯空(②富山商業)、山口謙作(②上田西)ら2年生投手陣の活躍が光りました。150キロに迫る速球とスライダーが武器の三奈木はリリーフエース大栄陽斗(④仙台育英)が不在の中ブルペンを支えました。

三奈木

 140キロ台前半の速球、横に曲がるスライダーが武器の岩城も要所要所で素晴らしい活躍を見せました。

岩城

 130キロ台後半の速球、スライダーが武器の技巧派山口もワンポイントで結果を残し第2節駒澤大学第2戦では嬉しい公式戦初勝利を挙げています。 

山口

また、夏季OP戦では140キロ台前半の速球をスライダーが武器の村山太一(②札幌光星)がアピールを続けており、春季リーグ戦にて1年生投手で唯一のベンチ入りを果たし今秋は背番号16を受け取った平山颯士(①県立水戸商業)も楽しみな存在です。

村山
平山

 捕手では綱川真之佑(②健大高崎)がマスクを被りました。中々厳しいシーズンとなりましたが要所要所で見せる打撃は流石といえます。

綱川

Offense

 鮮烈デビューを果たしたルーキー伊藤櫂人(①大阪桐蔭)、パワーヒッター高橋隆慶(④明秀日立)、左の大砲櫻井亨佑(③習志野)、春季リーグで自身初のベストナインを獲得した皆川岳飛(②前橋育英)が攻撃の中心です。おそらく彼らの前を任されるであろう繁永晟(②大阪桐蔭)、主将中前祐也(④浦和学院)の働きが重要になってきます。

伊藤(櫂)
髙橋
櫻井
皆川


 アベレージタイプの繁永、バントがうまく四球が選べる中前でチャンスを作り、上記で挙げた4人で得点を奪うパターンを形成したいところです。
 春季リーグ戦では繁永、中前の調子がなかなか上がらず中大は得点力不足に悩みました。そのため、伊藤、櫻井、皆川らの個の能力に頼ることが多く組織的な攻撃ができずにいましたが、中前はリーグ戦最終盤で公式戦初ホームランを放つなどを見せる活躍、繁永も夏季OP戦では結果を残しているため彼らにかかる期待は大きいです。

繁永
中前(右)

 非常に苦しんだ春季リーグでしたが、野呂田漸(②県立秋田中央)、坪井洸之介(②創志学園)、松嶋晃希(②浦和学院)ら2年生に初ヒットが生まれるなど収穫もありました。

野呂田
坪井
松嶋

 1年生安田淳平(①聖光学院)も存在感を示しました。負けたほうが入れ替え戦行きとなるシチュエーションであった駒澤大学との最終戦、中大は序盤に3点を失う苦しい展開でしたが5回に安田がライトスタンドへ反撃の狼煙となるホームランを放ち逆転勝利を呼び込みました。安田にとってこのホームランがリーグ戦初ヒットであったものの、凡退した打席の内容も非常に良いためシーズンフルで使ってほしい選手の一人です。男気溢れるプレーも持ち味の一つで、彼の最後まであきらめない姿勢は雰囲気に流されやすい中大においては非常に貴重です。

安田

 同じく福島の東日本国際大昌平高校出身の1年生、佐藤壱聖(①東日本国際大昌平)もトッププロスペクトの一人です。春季リーグでの出場はなかったものの、筆者が話を聞いた1年生によると守備がずば抜けており今春は背番号も貰ったため試合で姿を見ることができるのではないでしょうか。

佐藤(壱)

展望

 正直なところ中大に関しては全く読めません。春のように入れ替え戦寸前のところまで行く可能性もあれば優勝争いをする可能性もあるといえます。
 中大は良くも悪くも雰囲気に流されやすいチームです。これに関してはは試合における振る舞いを見ても、部員と直接話を聞いていてもひしひしと感じます。
 上位に進出するためには大前提として守備を安定させる必要があります。中大はずば抜けてエラーの数が多いわけではありませんが記録に残らないミスが多い印象です。
 筆者が提案する内野陣は右から中前、繁永、石井巧(④作新学院)、伊藤です。中前はバント処理に若干の難があるためサードよりファーストに置いたほうが無難でしょう。伊藤は大阪桐蔭時代からサードで好守を見せているのでおそらく安定した守備を見せてくれるでしょう。ショートには守備に定評がある山本聖(③鹿屋中央)が控えているため、状況によっては併用してもいいでしょう。

山本

 外野守備は右から安田、皆川、櫻井でよいと思います。春季リーグ戦で不安定な守備を見せていた髙橋はDHに置き打撃に専念させるべきです。現状皆川の守備におけるタスクが多いため彼の負担軽減という面においてもこの布陣で臨むべきだと強く主張します。
 走塁でのミスも目立ちました。特に伊藤(櫂)が牽制、ライナーバックのミスにより刺される場面が複数回あったため秋までに絶対改善してもらいたいです。 
 中大の開幕戦の相手は青学です。春季リーグにおいて青学が唯一苦戦したのは全国でも中大だけです。選手の能力的にも中大は青学に充分対抗し得ると筆者は信じています。開幕戦で勝ち点が取れれば一気にチームが乗ってくると思うので開幕戦に今秋の全てが懸かっているといっても過言ではなりません。

左から石井、中前

東洋大学

■春季リーグ(2部)☆優勝 勝ち点5(10勝3敗)
■1部、2部入れ替え戦☆昇格(2勝)
▲投手力C+ 攻撃力D  守備力C+

Defense

 東洋大学は絶対的エース、細野晴希(④東亜学園)を中心に岩崎峻典(③履正社)、野澤秀伍 (④龍谷大平安)、島田舜也(②木更津総合)、石上佑介(④東洋大牛久)、佐伯成優(③高岡第一)、柿本晟弥(③東洋大姫路)など数多くの投手陣を要するチームです。
 第1戦は細野が先発、第2戦はブルペンデイで乗り切るという投手運用で二部リーグを勝ち上がってきました。
 エース細野は140キロ台後半の速球に大きく曲がるスライダーが武器の本格派左腕で、2年時の21年春には東都1部において34回2/3を投げ防御率1.56と素晴らしいスタッツを記録しています。また牽制技術が高くいやらしさも兼ね備えています。

細野

 岩崎はストレート、スライダー、スプリットが武器の右腕、野澤は140キロ前後のストレート、スライダー、チェンジアップが武器の左腕でギアチェンジが上手い印象を受けます。 
 島田は150キロを超えてくるストレート、スライダーが武器の右腕、石上(佑)は140キロ台前半の速球、スライダーが武器の左腕、佐伯は140キロ台前半のストレートを変化球に織り交ぜ打者を打ち取る技巧派右腕、柿本は145キロに迫る直球を持っていますが若干制球に難がある右腕です。 
 捕手は後藤聖基(④京都先端科学大附)が基本的にマスクを被り、打撃で結果を残している政所蒼太(②天理)などが控えています。

Offense

 打撃陣の個の能力も高く、橋本吏功(④花咲徳栄)は長打力があり三振が少ないトップバッター、中軸に入る宮下朝陽(②北海)は直球に強くパンチ力のあるユーティリティープレーヤー、主将で4番の水谷祥平(④竜谷大平安)は打撃面で苦しみましたが13四死球でチームに貢献、入れ替え戦ではホームランを放ちました。

宮下

 春季リーグは2番に入ることが多かった石上泰輝(④県立徳島商業)は一発のある強打の遊撃手、昨年春の入れ替え戦では中央大、西舘から満塁ホームランを放つなど大暴れしています。
 下位打線に入ることが多い加藤響(③東海大相模)も.281(32-9)とハイアベレージを残しました。 
 東洋打線は春季リーグ戦の犠打数が21と手堅くランナーを進め着実に1点をもぎ取るというスタイルです。2年半ぶりの1部リーグにおいてこのスタイルがどこまで通用するか非常に楽しみです。

展望

 1部昇格したてのシーズンということもあり、苦戦が強いられると予想します。細野は前回1部にいた際も好成績を残しており、彼の能力をもってすれば十分通用すると思いますが細野以外の投手がどこまで計算できるか未知数です。細野も細野で毎試合ハイクオリティを発揮できるのかに関しては疑問点が残るため、厳しい戦いになると予想します。
 打線も1部投手陣を打ち崩す姿があまり想像できないため、2部時代とは異なり細野を中心に1点を守り抜く野球が求められるのではないでしょうか。
 一方他チームにデータをあまり収集されていないという点はアドバンテージであるため、それを活かせるかどうかにも注目です。

最終順位予想

1青山学院大学
2日本大学
3國學院大學
4亜細亜大学
5中央大学
6東洋大学

 終わりになりますが現時点での筆者の順位予想を載せました。「戦国東都」の言葉の通り、非常に予測が難しいリーグですので話半分に読んでいただけると幸いです。
 各チームには筆者の予想を覆すような活躍を期待しています。
 

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?