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透明な部屋 序章

私は恵まれている。好きなことをするために応援してくれる家族に囲まれて。今まで色々なところに連れて行ってもらった。貧しいと感じたことはない。家族はよく出かけるほど仲が良く、なるべくみんなが揃ってご飯を食べ、コミュニケーションが絶えない理想的な家庭環境。

私は今までに両親に与えてもらってきたものが多すぎて、感謝せずにはいられない。しかし、なんでも把握し、行動を制限し、子供を管理しようとする親と過ごすのは窮屈で、不自由で、気が休まらない。私はこの2つの感情の狭間で生きてきた。

もっと大変な思いをして生活している人はきっとたくさんいる。だからこの程度の悩みは小さなことで、贅沢な悩みで、上手くやっていけない私が悪いのだと、そんなことを尊敬できる人に相談したことがある。その人はこう言ってくれた。「周りの環境は関係ない。あなたがそのことで長い間悩み、しんどいと感じているのだから、それはあなたにとって大きな問題だよ。」

側から見たら私は恵まれた環境で育ってきた娘だ。しかし、人には十人十色の人生があり、見えていない家庭環境があり、悩みがある。誰かに伝えたくても難しい。親を悪者にもしたくない。
早く家から出たい。

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