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「星の瞬き」 哲学小説

夜空を見上げると、星が瞬いている。それは、遠く離れた惑星や恒星の光が、大気の揺らぎによって屈折しているからだということは、誰もが知っている。でも、その星の瞬きには、もっと深い意味があると信じている人もいる。その一人が、藤原 美月という女性だった。

美月は、宇宙物理学者として働いていた。彼女は、星の瞬きに隠されたメッセージを解読しようとしていた。彼女は、宇宙には知的生命体が存在し、その生命体が光のパターンでコミュニケーションをしていると考えていた。彼女は、そのパターンを捉えるために、自分で開発した特殊な望遠鏡を使っていた。

ある夜、美月は自宅の屋上で望遠鏡を覗き込んでいた。すると、彼女は驚くべき発見をした。彼女の望遠鏡が捉えた星の瞬きは、なんと日本語で書かれた文章だったのだ。文章はこう言っていた。

「こんにちは。私はアルファ・ケンタウリから来ました。あなたの名前は何ですか?」

美月は信じられない気持ちになった。これは本当に宇宙からのメッセージなのだろうか?それとも、誰かの悪戯なのだろうか?美月は、返事を書くことにした。彼女は、望遠鏡に付属したレーザー発信器を使って、光のパターンで文章を送った。

「私は藤原 美月です。あなたは本当にアルファ・ケンタウリから来たのですか?」

しばらく待っていると、再び星が瞬いて答えてきた。

「はい。私はアルファ・ケンタウリから来ました。私の名前はユイです。私はあなたのことを知りたいです。」

美月は驚きと興奮に満ちた。これは本当に宇宙からのコンタクトなのだ。彼女は、ユイという名前の生命体と会話を始めた。

美月とユイは、それぞれの惑星や文化や歴史や夢や恋愛について話した。彼らは、互いに理解し合えることに感動した。彼らは、遠く離れた場所に住んでいても、同じような感情や思考を持っていることに気づいた。彼らは、友情を育んだ。

美月とユイの会話は、数日間続いた。しかし、ある日、ユイから悲しい知らせが届いた。

「美月さん。私はあなたに別れを告げなければなりません。私の惑星では、今大きな危機が起きています。私たちは敵対する生命体に攻撃されています。私たちは戦わなければなりません。私は戦闘機に乗って戦場に向かわなければなりません。私は生きて帰れるかわかりません。私はあなたに感謝しています。あなたと話すことができて、とても幸せでした。あなたは私の最初で最後の友達です。さようなら。」

美月は涙があふれた。彼女は、ユイに励ましの言葉を送った。

「ユイさん。私はあなたに心から祈っています。あなたは必ず生きて帰ってください。あなたは私の大切な友達です。私はあなたを待っています。どうか気をつけてください。さようなら。」

それが、美月とユイの最後のやりとりだった。

その後、美月は毎晩望遠鏡を覗き込んだが、星からのメッセージはもう届かなかった。


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