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「私が知っている中で最もファンキーなヘルパーの話」

6年前に親元を独立し、障害者向けシェアハウスに入居してからというもの、本当にたくさんのヘルパーと関わるようになった。

今回はその中でも、私が知っている中でおそらくは最もファンキーで個性的であろうヘルパーについて詳しく紹介していこうと思う。

年代は40代中盤。身長はさほど高くないが割とがっしりとした体つきで、体重40kgの私を軽々とひとりで持ち上げられるだけの体力はある(おかげで移乗には困らない)。

金爆(ゴールデンボンバー)の熱狂的なファンで、休日を利用してわざわざライブに行くほどの熱の入れよう。特にボーカルの鬼龍院翔のファンらしく、髪型・髪色も一貫して「キリショーヘア」だ。

ついでに言えば、メンヘラ女子にはモテるらしい。

それでいてがっしりした体つきであるから、ひと目見て介護職だとわかる人はおそらく少ないだろう。見た目だけでいえば、道端ですれ違う際にはさりげなく視線をそらしたくなるレベルではある。キリショーヘアも本人が言い張っているだけで、客観的にはブレイク直前の藤本敏史(FUJIWARA)か、バラエティに出まくっていた頃の元巨人軍・元木大輔にしか見えない。

前職はシステムエンジニア。基本的に理系人間らしく、PCやスマホの扱いには詳しい。

性格は、フランクで大ざっぱ。料理はどちらかというと苦手らしく、手作りで提供する朝食が毎日同じメニューになっても気にしない。

細かいことには気づかないタイプなのか、電動車椅子の充電コードが密林のように絡まり合っていても平気である。

ただ、基本的に「言えば素直に直してくれる」タイプなので、本当にミリ単位のことは目に入らない世界で生きているのかもしれない。

あるいは、「言われたら直せばいいか」という思考パターンなのだろうか。

介護職としては割とベテランで、介護福祉士など、上級資格もいくつか保有しているらしい。時として丁寧さよりも自己流の効率を優先させる傾向があり、私に対しては多少荒っぽい口調になる時もあるが(私も当然言い返す)、シェアハウスの同僚や上司と今後のケアプランについて冷静に話し合っている様子を見ると、「やっぱりプロなんだな」と思う瞬間もある。

もちろん、ケアが時折大ざっぱになるのは6年間という私との信頼関係があるからだ……と、一応のフォローは入れておきたい。

以上、私が彼について知っている(今のところの)すべてである。

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