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「(たくましさ)という弱さ」

映画『17歳の瞳に映る世界』をネットフリックスで鑑賞。17歳の若さで妊娠し、中絶を決断した少女の悲しく勇敢な旅路を淡々と追ったロードムービー。

暴力的な彼氏によって望まない妊娠をさせられてしまった主人公・オータムには相談するべき相手がいない。

家庭でも学校でも居場所がないオータムはたったひとりで情報を調べ、唯一の協力者である従妹(いとこ)とともにフィラデルフィアから遠く離れたニューヨークへ旅に出る。

わが子を中絶するために……。

家族にすら頼ることなく、たったひとりで中絶を決断するオータムはたくましく、だからこそ弱い。彼女たちの旅路は平坦な道のりではなく、行く先々で17歳であるがゆえの壁が立ちふさがる。

人工中絶というセンシティブなテーマを扱っているが、余計な感情論をまじえず、主人公の視点に寄り添ってただひたすらに淡々と描いているのがいい。これが日本映画なら旅路の途中で感傷的なエピソードを無理やり挿入し中絶をやめさせる方向に持っていくのだろうが、本作はそんな生ぬるい感情論を拒否している。

リアルな現実をドライに描く強さこそ、アメリカ映画の真骨頂である。

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