子宮に沈める
゛母”としての重責に耐えられなくなった、シングルマザー。仕事、家事、そして幼い子供2人の世話で忙殺された新生活が悲劇的な結末に向けて崩れ落ちていく。
出演:伊澤恵美子、土屋希乃、土屋瑛輝
監督:緒方貴臣
これは考えさせられる作品だった。
最初は家事もそつなくこなすものの旦那があまり帰宅しない家事をしない家族なのかと思いきや夫は妻と幼い子供2人を置いて家を出てしまう。
もともとワンオペ育児をしていたものの夫を失い今後どうしたらいいのか悩みつつ母としての生活を送っていく。
しかし、仕事を始めると今までの歯車が一気に崩れ、部屋は汚れ、子供の世話もおろそかになり、男を連れ込むようになる。
母から女になってしまった女は扉に粘着テープを貼り子供の力では外に出られないようにした状態で姿を消す。
ここからは子供だけの描写が続くんだけど辛かった・・・
食糧もなくなっていき、乳児である弟にミルクを作ってあげようとする姿とかどんどんやつれていく姿がこれはリアルなんじゃないかと思わせてきて辛かった。
弟は死に、もう限界が近いタイミングで消えていた女が急に帰ってくる。
子供が亡くなった頃を見計らったようなタイミングなのが腹立たしい。
もうなくなっている弟を部屋の掃除をするかのようにあっさり片付け、頑張って生き延びてきた娘もお風呂に沈め一気に片付ける…。
この女はもう母ではなくて自分が生きることに精一杯になって子供を産んだことすらも後悔してるんだなとどんどん感じてくる。
でも母だけを責める気にはならない。
女から母になり居場所ができたと思っていたのにいつの間にか夫に必要とされなくなっていた。家庭を守る為に頑張ってきたのに。
母として子供の為に仕事を始めたのに日々過ごすうちに子供を重荷に感じ始めてしまう。
このタイミングで母に戻れるようなサポートや相談相手が欲しかったなぁ…(体を求めるような男のパートナーではなく)
子供たちの生活をどうやって撮影したのか知りたくなるくらいリアルだった。
この作品は心に余裕がある時に見るに限る。
弱っている時に見ていると引きずられてしまうと思われます。
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