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川の流れは絶えずして

ここのところ、冬支度作業の疲れが溜まっていたり、雨続きだったこともあって、久しぶりの散歩

 季節はもう冬…のはずなのだが、まだ雪はちらつく程度。
 空から落ちて来るのは雨ばかりの毎日、日本海側に住んでいる者にとって、冬の空は重く冷たい雲に覆われているのが日常なのです。
 以前、関東から引っ越してきた人が、冬のあまりの日照の少なさに驚いて、たまに太平洋側まで日向ぼっこに行っていたと聞いたなぁ。
 空っ風の吹く晴天の冬が当たり前の人からすれば、この陰鬱な空が続く毎日は気分まで沈み込んでしまうのだろう。私たちにしてみれば、冬にお日様が見えないのは当たり前で、空が白く薄曇りであったとしても、感覚としては「晴れ」である。青空が見えるなんてラッキーでしかない。ましてや澄み切った晴天の下、遠くの山々まではっきりと見えた日にはテンション上がりっぱなし。そのぐらい冬の晴れ間はありがたく貴重なものなんですよ。
 それにしても今年は比較的暖かい日が続いているけど、冬に雪が降らないのも、またおかしな感じがするものです。まあ、降ったら降ったで大変なんですが。

水面に浮かぶ鴨の群れ

 今日は久しぶりに雨も上がって日も射してたんで、いつもの河川敷をぶらぶらと散歩。
 やっぱり冬になると鴨が増える。水の中に魚影も見える。たぶん鯉だな…尺を超える鯉が数匹群れを成してる。水温も下がってるだろうから、あまり動き回らない。
 それにしてもたくさんいるな…食い物に困ったら網でも仕掛けておこうかと思うぐらい。以前、カニもいるのを見かけたから、何かの時の非常食としては考えておこう(笑)
 鴨も美味そうだし…そう言えば昔、玄関前に鴨が死んでたときがあったな。たぶん散弾で撃たれたか何かで、ちょうど力尽きたんだろう。捌いて鴨鍋にしても良かったのだけど、妻に反対されたので川に流してきた。普通は丸のままの姿の鳥を捌こうとは思わんわな。
 自分もせいぜい鳥までだな…魚は捌くけど、獣は無理。ぶら下がってる枝肉は平気だけどね。サバイバルはちょっと難しいかも。

山は雪化粧

 平地に積雪は無くても、遠くに見える山はすっかり雪化粧。ついこの間、紅葉狩りに行ってたのがウソみたいだ。
「ゆく河の流れは絶えずして、しかももとの水にあらず。淀みに浮かぶうたかたは、かつ消えかつ結びて、久しくとどまりたるためしなし。世の中にある人とすみかと、またかくのごとし」(鴨長明 作 「方丈記」より)
 世は刻刻と遷り変わって行く。昨日と今日が違うように、今日と明日も、また違う。
「毎晩お前が眠った五分後に宇宙が終わり、毎朝お前が目覚める五分前に宇宙が生まれているとしたら・・・だとしたら・・・〝死〟は何を意味しているのだろう?」(「サイバーパンク桃太郎」より)

 非常に哲学的な問いだろうな。私たちがそれぞれ感じている世界が、全部同じだと証明することは出来ないのだから。
 記憶は神経の接続と電気刺激、感じていることは全てただの幻想に過ぎないのかもしれない。
 季節は廻り、また冬が来た。去年とは違う冬。自分の寿命が、あと何年残っているのかはわからない。10年残っているなら、この体験もあと10回だ。それが多いか少ないかもわからない。
 6年前にガンの宣告を受けたとき、自分の寿命の残りを考えた。
 幸いにして治療が上手くいって生きながらえているが、3年前には転落事故で死にかけたし、家族には心配のかけ通しだ。その上、還暦を目前にして不安定な状況に身を置いている…見捨てられてもおかしくないけど、見捨てられないだけ有難いと思う。

夕暮れ


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