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バカと無知

自分自身の「バカと無知」に気づくためのヒント。

誰もが「バカと無知」な部分を持っていることを認めることが、より良い人生への第一歩です。

本書では、自分自身の「バカと無知」に気づくためのヒントを多数紹介。

自分の弱点を克服し、より理性的な行動ができるようになるでしょう。

3分で読める本要約(管理人)





①自分より優れた者は「損失」、劣ったものは「報酬」

噂話は、集団の中で生き延びる強力なツールだ。

面と向かって批判すれば紛争になり、最悪の場合報復されて殺されてしまう。
だが噂によって悪い風評を広めるのなら、報復を避けつつライバルにダメージを与えることができる。

こうして、「自分についての噂を気にしつつ、他人について噂を流す」という極めて高度なコミュニケーション能力が必要とされるようになった。
些細な批判に過剰に反応するのは、噂によって生死が決まる時代の名残である。

近年の脳科学では、「下方比較」では報酬を感じる脳の部分が「上位比較」では損失を感じる脳の部分が活性化することがわかった。
さらに、ルール違反をしたものを処罰するときに脳の報酬系が活性化することが確認されている。

噂話の目的は、自分より上位のものを引きずり下ろすと同時に、下位の者を蔑んで自分をより目立たせることだ。


②ダニングクルーガー効果

ある実験をおこなった。
学生たちにテストを実施し、自己評価(予想)をしてもらうという実験だ。

結果、下位4分の1の学生は、実際の平均スコアが12点だったにもかかわらず、自己評価は68点だと思っていた。
一方、上位4分の1の学生は、実際の平均スコアが86点にもかかわらず、自己評価は74点しかないと思っていたのだ。

能力の高いものは、自分の能力を客観的に把握していて、だからこそ「自分でもこれくらい解けるんだから、他の人はもっとできるだろう」と思い、自己評価が低くなるのではないかと考えた。

この仮説を確かめるために、他の学生テストの解答を得点を伏せて高得点者にいくつか見せた。
すると74点だった自己評価が77点へと上がった。
能力の高い学生は、他の学生が思ったほど正答できていないことを知って、正しい方向に自己評価を修正したのだ。

ところが同じことを下位4分の1の学生にすると、68点の自己評価が64点へと若干下がったものの、それでも実際のスコアとの大きな差は埋まらなかった。

これらを踏まえ結論、「バカの問題は、自分がバカであることに気づいていない」ことだ。
ダニングクルーガー効果では、バカは原理的に自分がバカだと知ることはできない。

私も、そしてあなたも。


③バカとの話し合い

ダニングクルーガー効果は、能力の高いものが自分の成績を過小評価し、能力の低いものは逆に(大幅に)過大評価することを明らかにした。

この2人が話し合いをすればどうなるのか。
結果は残念なことに、話し合いによって結果はどんどん悪くなり、優秀なものの結果に劣るだけではなく、コイン投げの方(運で決める)がマシになってしまった。

なぜこんなことになるかは、旧石器時代の濃密な共同体から説明できるだろう。
地位をめぐって競争しているときに、高い地位につく資格がないことを自ら認めるのは致命的だ。
こうして能力の低いものは、その事実を相手に知られないように、自分の実力を(無意識)過大評価する。
一方、能力の高いものは、相手も自分と同等の能力をもっているだろうと(当初は)想定する。

その結果、能力に大きな違いがある2人が話し合うと、(自分の能力を過小評価している)賢い者が、(自分の能力を大幅に過大評価している)バカに引きずられ、間違った選択をしてしまうのだ。

この実験でもう一つ興味深いのは、成績を上げるのに重要なのはコミュニケーションで、お互いの実績を知る必要は必ずしもなかったことだ。
能力が高い者同士のペアは、互いの成績をフィードバックされたときよりも、話し合っただけの方がよいパフォーマンスを示した。
この結果、賢い者は、互いの自信を示し合うだけで、実績を含む十分な情報を得たからだと考えた。

能力が低いものが過度な自信を示したことで、能力が高いものは自分の自信が揺らぎ、その一部は決定を変えた。
これこそが「バカに引きずられる」メカニズムだ。

それに対して、1人の能力が低いケースでは、正確なフィードバックがある方が、成績が上がった。
これは根拠のない自信の化けの皮がはがれ、より冷静な判断が出来るようになるからだろう。


『まとめ』

自分も含め、1人でも多くの人が「人間の本性=バカと無知の壁」に気づき、自らの言動に多少の注意を払うようになれば、もう少し生きやすい社会になる。


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