読書感想 『マナーはいらない−小説の書きかた講座』三浦しをん
実は、最近ずっと小説を書きたいと思っている。
読書が好きな人は、誰でも思ったことがあるのではないでしょうか。
中学生の時、友人との交換日記に、小説のようなものを書いていた。
部活のかっこいい、アコガレ男子とのラブストーリー。
中学生の時ハマったのがコバルト文庫で、わたしは、氷室冴子さんの作品が大好きだった。
『なんて素敵にジャパネスク』『蕨ヶ丘物語』『多恵子ガール・渚ボーイ』『さようなら、アルルカン』。他にもたくさん。
細やかな、揺れ動く思春期の気持ちが描かれていて、わたしは共感し、そして救われていた。
ある日、図書館の棚をぶらぶら見ていて、本書を見つけた。
三浦しをんさんも大好きな作家の一人。
また、本書が「WebマガジンCobalt」での連載をまとめたものだと知り、コバルト小説がまだ続いているのがなんだかうれしくて、今回借りてみた。
本書の著者・三浦しをんさんの小説は、好きな作品がいくつもあり、また、エッセイもとても面白い。
読むたびに、吹き出してしまうほど爆笑するのだけど、エッセイの内容自体は、大きな行動や出来事が書かれているわけではない。
わたしは、しをんさんと弟さんとのたわいないやり取りが好きだ。
日常の中に面白い場面を見つけて、切り取る才能が圧倒的だなと感じる。
また、しをんさんの想像力、妄想力ひとつで世界が無限大に広がるような感覚がある。一歩も部屋から動いていないはずなのに、どうしてこんなに面白いことが書けるのかと、おどろいてしまう。
本書は、そんな要素を散りばめつつ、小説を書きたいという人に向けて丁寧であたたかなアドバイスが書かれている。
しかし、本書にも書かれている通り、理論を身につけても実践が伴わなければ意味がない。結局は、試行錯誤しながら、小説を書く感覚を身につけていくと言うことだろう。