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『 モコミ~彼女ちょっとヘンだけど~』を観て子育てを考える

テレビ朝日で土曜放送されているドラマ『 モコミ~彼女ちょっとヘンだけど~』のお話。
(※一部ネタバレ内容含みます)

草彅剛主演の『僕シリーズ』を筆頭に、数々のヒューマンドラマを手掛けてきた脚本家・橋部敦子が初めてテレビ朝日系で手掛けるドラマである。
『僕シリーズ』の他にも『Around40〜注文の多いオンナたち〜』『フリーター、家を買う。』『A LIFE〜愛しき人〜』など、多くの素晴らしい作品を世に生み出している脚本家さんだ。

小芝風花演じる主人公〝萌子美(モコミ)〟には、感情を持たないとされているモノの気持ちがわかってしまうという繊細な〝感覚〟があった。

幼い頃はこの感覚を隠すことが出来ず、モノの気持ちを〝代弁〟することで、周囲との間に波風を立てることも少なくなかった。

変人扱いをされたり叱られたりしてきたため、そういう一面を極力人前で出さないようにしてきたモコミ。

変なことを言ってしまわないか?という思いから、自分の気持ちを言葉にするのに時間がかかり、コミュニケーションに問題があるとされ、モコミ自身もそういう人間として生きてきた。

小学5年生から中学と学校に通わなくなり、高校は通信制の学校に在籍したものの卒業してから20歳まで家におり、20歳から母の勧めで工場で不良品をチェックするアルバイトを始める。
しかし自身の意志でそのアルバイトを辞め、兄が経営する花屋の仕事を手伝うようになる。

そしてモコミは加藤清史郎(大人になっていてビックリ!)演じる、俳優を目指す年下男子に出会い、恋心を抱く。
モコミが公園で花たちと〝会話〟をしていたと告げても彼は全く驚かず、人見知りなモコミにとってはとても意味のあるハッピーな出会いだった。

確かに…、道端に落ちている石や咲いているお花と楽しそうに話をしている友達を見かけた時『うわ〜ステキ!』と素直に思える自信は私には無い。

富田靖子演じるモコミの母の気持ちも分からなくもない。
決してそういう立場でないから『わかるわかる!』とは言い切れないが、娘を守りたいが故に、小さい頃から必死に頑張ってきたのだ。

田辺誠一演じる夫に突然キレられる時は悲しかった。
モコミが心配ということの陰で、いつしかそれは過干渉で支配的なものへと変化してしまっていた。

母親の愛情を感じとれなかったのは、工藤阿須加演じるモコミの兄もそうだった。
彼は小さい頃から常に〝いい人キャラ〟を演じていたのだ。

父方の祖父が営んでいた花屋を継ぎ、近隣の人々にも親しまれている。
しかしモコミが花屋を手伝うことになり、モコミの類稀なる感性で店がリニューアルされ賞賛を浴びたことにより、兄のキャラが崩壊してしまう。

前回までのお話は概ねこんな感じだ。

妹への愛は確かにあったであろう。
しかし周りの大人たちは常に自分ではなく妹のモコミを心配していた。
兄である自分はいつしか〝優等生〟キャラを演じることが日常化してしまい、本当の自分の気持ちを吐き出す場所がなくなってしまったのだ。

このお兄さんの心境は、なんだか少しだけ私にも当てはまる気がしている。

私にも兄が居て、10も離れたその兄はとんでもない甲斐性無しで、それを見て育った私はなんとなく〝いい子キャラ〟を演じていたところがある。

ーー私はいい子でいなきゃ
ーー私だけは親に心配かけちゃいけない

幼いなりに、そんな風に思っていたところがあった。

だから私は嫌いだった勉強を頑張り、テストでいい点数をとり、母の言うとおりに進学し、母の言うとおりに手に職をつけ、母の言うとおりに就職した。

それがすべて無駄だったとは思っていない。
女手一つで育ててくれたことにも感謝している。

しかし、このモコミの兄のように、本音を吐き出す場所がどこにもなかったのは確かだ。

子育ては難しい。

果たして私の子育てには、そのような落ち度はひとつもなかったと言えるのだろうか。

ひとりで頑張りすぎるあまり、支配的にはなってなかっただろうか。

いまさらそんなことを3人の子供達に聞くことなどとても怖くて出来ないが、モコミ家族を観ていて、ふとそんなことを考える。

ドラマはいよいよ佳境を迎える。
モコミの兄がどうやって心を立て直していくのか、脚本家・橋部敦子さんに期待している。




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