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家出娘

体調が良かったので、撮っていたドラマ〝家出娘〟を観た。

3月22日に NHK で放映された一夜限りのドラマ。

次世代の脚本家を育てるため、NHK と放送作家協会が共催している「第45回創作テレビドラマ大賞」にて、応募作1047本から選ばれた大賞受賞作「カントリーロード」(船越凡平さん作)。

「家出娘」と改題され、テレビドラマ化されたらしい。

(※以降、ネタバレ内容含みます)

初めはもっとコミカルなドラマかと思っていた。

娘に家出されるが、結局は仲直りするようなハートフルなファミリーストーリーだと。

少なくともこれほど泣かされるとは微塵も思ってなかった。

このドラマは「自死遺児」がテーマとなっていたのだ。

監督は石塚嘉さん。

あの「ひきこもり先生」など、社会問題をテーマにしたドラマを多く手掛けている監督である。

「ひきこもり先生」も、とても考えさせられたドラマ。

すでに子育てから手が離れた私が、ある意味とてもショックを受けたドラマだった。

そして自身もこんな歳でも受けたハラスメント。

結果、心を病み、自宅療養中であったからこそ、なおも考えさせられたのだろう。

「家出娘」を観て、母を亡くした主役の10歳の少女だけでなく、叔母役を演じたファーストサマーウイカ側にも気持ちが入り込み、母親が自死で亡くなったと分かったところから最後まで、ずっとずっと涙が止まらなかった。

なぜなら私も早くに姉をがんで亡くしており、それが少し重なって見えたから。

病という見えない敵に太刀打ちできなかった悔しさや、どこにもぶつけることのできない怒り、もっと何かできたのではというとてつもない後悔が、亡くなってしまった後からずっと、そう今でもずっとそれらは薄れることなく此処にあるから。

でも、もしそれが病ではなく自死だったとしたら…。

怒りや後悔というものが、遺された者にどれほど強く残るのだろうか。

そんなことを考えた。

このドラマを観る前に、JUJU が唄うユーミンの『ひこうき雲』をたまたま聴いていたこともあり、人の死について深く考えさせられたドラマだった。

彼女は父親に反発し、咄嗟に家を出る。

そして叔母と共に時間を過ごし、そこで父親がずっとはぐらかせていた母親の死因を確信。

母親が生まれ育った祖父母の元へ、叔母に連れて行ってもらうことに。

母親の墓の前で祖母が作ったおはぎを食べ、叔母とふたりで大声を出して泣くのだ。

そのことが、ほんの少し、彼女を大人にするきっかけとなる。

ドラマの最後、母親が沈んでいった海に向かって力強くつぶやくシーンが印象に残る。

「…生きてやる」

その瞳は海にも負けないくらい、キラキラと輝いていたのだった。


最後までお読みいただき有難うございました♪

ではまた。        Tomoka (❛ ∇ ❛✿)

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