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【読書】サステナベーション

「サステナベーション」を読む目的

・今注目されているSDGsに基づく「サステナベーション」とは何かを理解するため。
・起業のアイデアにつなげる。


「サステナベーション」の要点・まとめ

○サステナベーションとは、「サステナビリティ(持続可能性)」+「イノベーション」を組み合わせた造語。

サステナビリティを実現するためのイノベーションのこと。

○サステナビリティ(持続可能性)とは、「将来世代の欲求を満たしつつ、現在の世代の欲求も満足させること」

国連が2015年に採択した、世界各国が達成すべき「持続可能な開発目標」として掲げたSDGs(Sutainable Development  Goals)から世界中で広まっている。

○地球上で将来にわたって生きていく上で、サステナビリティが脅かされている領域が現実としてある。

人口増加に伴う食糧不足、環境の悪化、資源の枯渇、気候変動、教育や医療の格差、金融排除など、あらゆる社会問題がとても複雑に絡み合って、広範囲で山積みとなっている。
これらのサステナビリティが脅かす諸問題を解決するために、「サステナビリティを生み出すイノベーション」=「サステナベーション」に取組む必要がある。

○サステナベーションを取組むための3つの視点
①社会問題(SDGsなどで取組が推奨されているもの)を解決すること。
②ITやテクノロジーをうまく活用すること。
③持続できる仕組みがあること。

すでに顕在化している社会問題をITやテクノロジーの技術を活用して解決し、自身の儲けを含めて実現を維持できるような取組が大事。
ボランティアや慈善活動ではなく、「本業で利益を得ながら社会貢献する」ことが重要。

○サステナビリティを担保するイノベーションに資金が集まる。

サステナベーションの実現には「資金的なサポートが不可欠である」と声を上げていて、実際に実現しているプロジェクトには国や自治体の投資が拡大している。

○サステナベーションの例
①スラム向け火災報知器をベースに保険販売と融資への取り組み
②漁業文化と水産物の流通に関するエコシステムの構築

①スラムの住民がこれまで高くて加入することができなかった火災保険に低価格で加入できるようにした。2013年にスラムで起きた1000棟あまりの住居が焼失した火災を契機に、火災報知器を低コストで取り付けられ周辺の温度の上昇率を計算することで火災の発生を通知してくれる、新たな早期警報型の火災報知器を開発。さらに火災報知器から得られる様々なデータによって、小口保険を提供することが可能になった。
⇨ 熱感知式の火災報知器というIoTデバイスを活用するスキームによって、これまで保険という金融商品の恩恵を受けられなかった人々の問題を解決した。

水産物の流通について、ITを活用することで非効率な面が大きかった産地(水揚地)から消費者に届くまでの作業のムダを省く。これまでは、商品の魚が産地の荷受け→産地の仲買人→消費地市場の荷受け→消費地市場の仲買人→飲食店・小売店と渡るごとに、それぞれ別の伝票を起こしては書いて渡していた。
これに対して、産地での荷受けから消費地で飲食店などに販売するまでを一貫したデータでつないで、紙の伝票やファックスなどを使わなくても効率的に伝達していくシステムを構築。産地で起こしたデータがシールとなり、それを貼り付けた箱を流通させることで簡単に消費地まで遅れるようにし、商流の各ポイントで統合されたデータを参照できるようにした。
⇨ 1回の作業時間を3時間削減し、国内漁業全体でのコストの1500億円前後の削減につなげる。

○今後の日本と日本企業にとって挑戦すべき課題となるのが、イノベーション。

日本は「サステナビリティは大切である。」というのは誰に教わった訳でなくとも「自明の理」として心身に備わっている。しかし、イノベーションに対する取組みは他国と比べて遅れをとっている。今後は、「サステナビリティの強化」と「共生社会の拡大」を生み出すという観点から、どうイノベーションを生み出していくかが重要な課題となってくる。


アクションプラン

・身近なサステナビリティじゃない部分(社会的課題)を探す。
・社会的課題を解決するには、どういったサービスや商品があればいいか考える。
・海外のサステナベーションの取組みを調べる。


メモ

世界が今後、サステナブルな社会や環境、経済を目指していくためには、特にIT(情報技術)の分野でさらなるイノベーションを起こしていくことが不可欠になると考えています。
サステナベーションがもたらすのは、持続可能な社会や環境、経済とともに「誰もがその恩恵に俗することができる」という共生社会の実現も含まれます。
一般に、ある国でモータリゼーション(自動車の急激な普及)が始まるのは、その国の1人あたりのGDPが3000米ドル(約31万円)を超えたあたりから、と言われています。
ITは、指数関数的(エクスポネンシャル)の速度で進化する点で、これまでの技術とは異なる特性があるといえます。
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直線的変化とは、従来型のビジネスの成長のように、投下した資本が利益を生んでいけば、右肩上がりに直線的に成長が続いていく変化のことを指します。しかし、ITに関する技術やサービスの普及スピードは①はじめは「水平的」(真っ平ら)でほとんど変化のないように感じられる期間が長く続くため、従来の右肩上がりを描く直線的変化の方こそ成長が早いと思われてしまうのですが、②ある時期から急に変化が感じられるようになり、一気に直線的変化を追い抜き、③その後は限りなく「垂直」に近いような伸びをするような変化曲線を描く。 ー これが、ITが示す「エクスポネンシャル曲線」なのです。
人間は本来的に「現状維持バイアス」という、保守的でリスクをとりにくい気質を持ち合わせています。しかし、関係性の範囲を拡大して、より広がった共生社会を実現するためには、時代とともに変化するイノベーションによって関係性を変える勇気を持つことが重要。
企業が手がける本業を通して社会にもたらしたトラスト(信用)こそが、社会経済の持続的な発展に欠かせないとしています。
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本業に対する社会のトラスト(『この企業があるおかげて社会がよくなっている』という信用)が持続的な共生関係を維持・発展させていくために必要な視点
他人や他社を意識しすぎることは横並び的な発想にもつながります。そのため、特に近年「日本ではイノベーションが起きにくくなっている」という指摘が増えているのではないでしょうか。
日本の高度経済成長期にあった「あそび」や「余裕」が減ってしまったとも思えるのです。今では米国の企業人の方が「クォーター(四半期)ごとに数字を管理していても、本当に良いものは生まれません」と主張するようになっています。日本でも、高度経済成長期は「まずは、やってみようじゃないか」と、良い意味での「あそび」を容認する風潮があったと思います。それが新しいものを生み出すことにつながった面もあったでしょう。
新しい世代の若い人たちがこれからの時代を引っ張っていく時にも、いかに様々な体験を積み重ねるかは非常に重要なポイントになります。
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機会を見つけてショートタームで評価し、少しづつ失敗を体験させ、それを積み重ねてもらうチャンスを与えていくことが、これから必要になるでしょう。イノベーションは、そうして小さな失敗の積み重ねから生まれることが多いと筆者は考えています。


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