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お盆農家嫁仕事から考える「シェアリングエコノミー」の必要性

農家のお嫁さんのお盆とお正月は想像以上に目が回る。

一言でいうと、小さな旅館の女将さん

多いときで、自分たち含めて20人分程の朝ごはん、昼ごはん、夜ご飯。

だけでなく、いっぷくや布団の準備。

20人いっぺんなら良い方で、いらっしゃるタイミングが見事にズレて入れ替わりともなれば、8月と1月は一ヶ月近く"おもてなし"が続く。

日数が増えるごとに、畑で採れる野菜の材料は変わらない料理のメニューを被らずどうお出しするかで私の頭の中はいっぱいだった。

買い物は1日2回、朝ごはん・昼ごはん・夜ご飯の準備から片付けをしているとインターバルなくほぼ台所にいるような一ヶ月となった。

おまけにお盆と言えば、盆棚の準備やお墓の掃除、迎え火焚いたり御中元の挨拶まわり、地域お寺のお盆のお祭り手伝いなんかもある。

ちなみに、我が家は加えて桃農家

桃農家はまさに8月は超繁忙期。

日の出とともに収穫→午前中うち出荷→午後は仕分けや箱や伝票や諸々の雑務などなど。

やる事自体はシンプルに書いてあるけど、家の中の雰囲気はまさに戦争

そこに、女将さん業が諸々加わり一ヶ月続くとなれば、さすがにタフな私も最後のお客様をお見送りした直後に熱を出して寝込んだこともあった。

ちなみに今振り返ると、子どもが生まれた頃はこの状態でお乳をあげながらだったわけで、、子育てだけでも大変な事だったからちょっと思い出そうとしても記憶が曖昧。それこそ、お乳をあげる以外はどうしていたんだっけ。。

そんな感じでなんとか、かれこれ10年近く嫁業をしていたが、今だに慣れない。

逆に正直なところ、年を重ねるごとに「なんでこんなに頑張らないとなんだろう?」と冷静に思ったりもしていた。

だから、義母がこの仕事を何十年も淡々とこなしているのを見ると本当にすごいと思っている。

この状況は、他の農家お嫁さんがどうかは分からないし、全く同じ背景のところはないと思う。

だけど、同じような立場のお嫁さんとは多くを語らずとも「大変だよねー」の一言でほぼ通じる程。戦友のような仲間意識さえ生まれる。

もっと面白いのは、一回り以上離れたいわゆる自分の母世代の「お嫁さん」は、細かく話さなくてもかなり察してくれてとにかく私を褒めてくれる。

「その空間で生きていることがもうすごいね」と励ましてくれて、私はマルシェや販売会で出会う世の「先輩お嫁さん」のその言葉で励まされ続けて生きてこれたようなもんだ。

そんな感じで、農家嫁業とは伝統のようなもので、もちろん代々伝えられていくものもあるし、料理を学んだり人との関わりを大事にしたり良いところも沢山あるし、残すべき大事なこともそこにはあるとは思う。

と、言うことは前提だが、、、、

なんか、もう、無理するのはやめよう!とも思う。

もちろんそれ自体が楽しくて幸せな人はぜひ続けて頂きたい。

だけど、そうじゃないならやめるべき

もっと自由で、自分を大事にして良いのではないか。

「お嫁さん」がそういう殻を破るには並大抵でない勇気と覚悟がいる。

それでも、やめた方がいいと今はわかる。

私だってそこのところに行き着くまでには、その作業や仕事の中から楽しみを見つけたり、やりがいを見出したり、前向きな試行錯誤はとことんしていた。

自分のSNSでは、農家のお嫁さんの楽しみなんかを発信して"前向き"に装っていることで、本当に楽しいと感じられたり、某雑誌で何回かアイディアを取り上げて頂いたりと、それなりに成果や充実感もあった。

だけど、ぶっちゃけ本当は根本的に料理は苦手だし、掃除は嫌い。(元々嫁失格だ。笑)

完璧なお嫁さんをどんなに求められていてこなせていたかもしれないが、どこか冷めていたし、そんな環境で頑張っている自分が褒められることだけを世間に求めていたように感じる。

私は「農家の嫁」として家族にも世間にも認められることばかりを目指してしまっていた。

でも、それって全然しあわせじゃなーーーーーーーーい

しあわせなわけがない。

それよりも、仕事をすることの方が楽しいと思っていたし、農家だろうが何だろうが子供との時間や自分の休みも含めた時間を大切にする方がどんなに大事か。

そんなことを深く感じ悟る出来事もたくさんあるのだが、長くなるのでいつか別に書きたいと思う。

 ところで、前置きがかなり長くなってしまったが、題にある「シェアリングエコノミー」

シェアリングエコノミー(共有経済)とは、ヒト・モノ・場所・乗り物・お金など、個人が所有する活用可能な資産を、インターネットを介して個人間で貸し借りや交換することで成り立つ経済の仕組みのことです。Wikipediaより

ご存知の方も増えているが、時間や持っている技術、着なくなった衣類、使っていない駐車スペースや部屋・家等、所有している人がそれを必要とする人に必要なタイミングでシェアするという考え方。

例は以下。

■Uber(ウーバー):アメリカの配車サービス

■Airbnb(エアビーアンドビー):インターネットで空き部屋を貸し出すサービス

■カーシェアリング:時間貸し駐車場等で車を利用することができるサービス

色んな課題はそれぞれあるにしても、この考え方を「農家嫁業」に取り入れたらどうなるだろうか。

例えば、家事は、お料理が得意で大好きなお友達の主婦の方に空き時間にケータリングやお弁当をオーダー、来て作ってもらってもいい。

お掃除もそういう会社もあるし、畑の作業だって繁忙期じゃない農家友達に来てもらったりしてもいい。

その時間を大事な家族との時間や農産物をよりいいものを作るための勉強、自分がまたしっかり働くための休憩時間、そういうのを大事にすることの方が結果的に自分も家族も仕事もしあわせに生きられるのではないだろうか。

もちろんお金との相談にもなるかもしれないが、自分が大事なものに優先順位をつけていけば、あとは人に任せていいと思う。

この「人に任せること」が、農家は苦手だ。

昔ながらの農家や田舎であれば、まだまだそういうのを利用する発言をすること自体が「悪」という雰囲気や否定は続いている。

その中であえて「農家こそ使おうよ」と言いたい。

今まではすべて自分の家族の中で完結することが美学とされ伝統として引き継がれてきた。

誰かの何かの犠牲の上で。

でも、SNSが普及し発信とフィードバッグを受け取る中でお嫁さん達にはこのような新しい選択肢を知る機会も増えてきているし、「本当にこのままでいいの?」という気づきをしてくる人も増えてきた。

これからきっともっと、「シェアリングエコノミー」は発展していく。

もしかしたら自分も提供する側になる可能性だって十分ある。

(というか、前記事でも書いたけど、農家こそ副業の最先端でしたから。)

とにかく使う使わないは別でも、この考え方を持っていることできっと農家の未来も女性の未来も変わっていくに違いない。

今までは「悪」とされてきたこと。

でも、きっとこれって、お嫁さんというよりも世の女性すべてに当てはまるかもしれない。

仕事も育児も家事も頑張っている、今の時代の女性たち。

周りに頼ることが何となく「悪」と感じて一人でいろんなものを背負って頑張ってきていた。

でも、これからは、きっと大丈夫。

本当に自分が大事にしたいことを決めれば、それは「悪」でなくなっていくこともある。

これからまだまだ増える「シェアリングエコノミー」に、私は人生をかけて期待している

フリーランス農業女子:愛実

\今日のManami’s comment/
大変だった盆正月の嫁業。でもいままでの経験を活かして、農家民宿とか農家ごはんなんかも今はたのしそうだなと思っていて、それこそAirbnb構想を膨らませています(*^^*)


【Berry's Garden】
福島発アグリブランド、Berry's garden代表。「Pocket of “love berry” time:日常のちょっとしたスキマに、愛、実る時間を。」 をテーマに、クオリティや想いを大事にした日常の一息つけるスキマ時間を幸せに感じられるアイテム・イベント・ライフスタイルと「可愛い楽しい農」を提案。“あなたのスキマに幸せをお届けしたい”という想いをブランドを通じて発信している。
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