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【マンガ業界Newsまとめ】 『ベルセルク』連載再開!ジャンプアプリ開発コンテスト3年ぶり開催!など|6/12-055

マンガ業界の週1ニュースまとめです。昨今動きの早いマンガ業界・Webtoon界隈のニュースを出来る限り一か所に集め、忙しい皆さんがなるべく短時間で情報を得られることを目指しています。

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「ベルセルク」連載再開、「自分たちの中に根付いた『三浦建太郎』を真摯に紡ぎたい」

今週誰もが驚いたのが、この『ベルセルク』連載再開ですね。

急逝された三浦建太郎氏の遺志を継ぎ、親友でもありネームづくりの相談や、今後のストーリーの説明も受けていたという森恒二さんと、スタジオのスタッフが制作を手伝い、完結まで運ぶとのこと。

作者が亡くなられても続いた作品としては『クレヨンしんちゃん』『ゴルゴ13』などもありますが、作家性が極めて強く、分業のイメージも無かった『ベルセルク』がそうなることは、多くの人が驚いたと思います。

関わる方々には本当に色々な思いがおありと思いますが、英断と思いますし、楽しみにしたいと思います。


(ご注意:非公式なリーク情報です)
『俺だけレベルアップ』 AniplexとCrunchyrollによりアニメ化!ってホント?

今のところ日本国内では記事が確認できてないのですし、英語圏でも6/6にこのAnimeHypeという非公式ツイッターのみがつぶやいているのみなので、真に受けて良いかわからないのですが、『俺だけレベルアップ』(英名:Solo Leveling)が、アニメ化されるとリークされています。

アニプレックス・クランチロールの大座組で、スタジオはA-1とのことで、何か本当にらしいものですね。いやどうなんでしょう。そんな気配はありますね。いや、ホントにどうなんでしょう。


“新しいマンガ創出”の可能性探る「ジャンプアプリ開発コンテスト」3年ぶり開催

「マワシヨミジャンプ」や「瞬刊少年ジャンプ」など、ユニークな取り組みが生まれるきっかけとなっていた「ジャンプアプリ開発コンテスト」の第4回が開催されます。

海外にジャンプ作品をサイマル翻訳で届けるMangaPlusや、誰でもネームが描けるWorldMakerβなどを作ってきたジャンプ+が、新たな事業展開をしていく礎となるのでしょう。編集部コメントはジャンプらしく熱くて必見です。

記事最後の告知でも紹介しますが、コンテスト開催に合せオンライントークイベントも開催される予定です。


マンガアプリ戦国時代、“無料”サービスのその先は? 雑誌が育んだマンガ文化延命の鍵に

カカオピッコマ常務執行役員の熊澤森郎氏のインタビュー記事です。いくつか面白い内容がありました。

『「失敗したくない」ユーザーの心理、“満足度を担保する”ことの重要性』との小見出しから、「待てば無料」機能のユーザー利用心理について触れています。やり続けての言語化が「失敗したくない」ユーザー心理なのでしょうね。なるほど。

また、「レーベルとユーザーのマッチング」という点にも触れています。このあたりは、今年3月に韓国経済新聞で発表された「ピッコバスの取組」の顕在化でしょうか。


やはりお前らのウェブトゥーンは間違っている(追記

この匿名ダイアリー、言及するか迷ったんですが。

まず、言説としてこれまでの経緯から現在までのこととして、書かれていることは正しいと思います。特に、今絶好調のマンガ業界の中で現場に近い方からすると、まだまだ国内では金額的に小さいWebtoonを見ると、こうした見方になるのは至極全うな現在地の風景だと思います。尋常じゃなく調べられてるとも思いますし。

ただ、時代の変換点になると「隆盛を誇る市場の現場の過去現在」と「これから伸びそうな市場の未来」が併存した時、こうした議論はとにかく歴史的に繰り返されてきました。

最近だと、電子コミックが伸びかかった2010年代前半、当時はあまり文章に書く人はいなかったですが、出版の現場では「電子コミックが上手くいくわけがない。それは●●からも明らかだ」という言説はとにかく沢山ありました。

ホントに現場で力のある方々もそうした論調だったので、とても説得力がありました。今回の記事も、どの言説も説得力ありますよね。しかし数年後、電子コミックの売上は紙を上回りました。

そのことを数値的に予見していたのが、インプレス社の『電子書籍ビジネス調査報告書』でした。当時の数字の動きを見ながら、淡々と未来予測をしてました。そしてホントに数字がほとんどその予測通りになっています。(当時この予測数値真に受けてなかった空気がね、、)

そして、今のWebtoonについては、中国のリサーチ会社が2026年にグローバルで1.8兆円の市場規模と予想しています。

こうした数値をどう計算しているかというと、データサイエンス的にいうと、なるべく綺麗な基礎データ取得と変数設定さえ設計できれば、作業そのものは割とシンプルで、現在から数年遡った過去からの推移から、未来を計算するだけです。実は専門家にとってはそんなに難しい計算では無く、そしてインプレスの例のように、意外と当たっちゃいます。

ただ、忙しい現場からすると、そんな数字遊び見せられてもって、肌感的に気持ち悪いのもよくわかるんです。。。

また、韓国や中国が「Webtoon市場」と言う場合の内訳には、日本のように単行本収入がない代わりに、映像化やグッズのライセンス収入が入ってます。日本の出版や漫画の市場規模で数値化されてるものは、あくまで「本や電子コミック、アプリの作品売上」です。

現時点でこの市場規模については、内外でモノサシが合ってないので、必ずしも同じ基準で真に受けられないのですが、とりあえず成長しそうな数値的根拠はある程度ありそうです。

中国のリサーチでは、Webtoon市場規模の半分くらいをアプリ上のWebtoonそのものの売上としてるので、それだと26年に約0.9兆円ですね。それでも、日本の市場規模のMAX値より大きいですが。

ただまぁ、あくまで未来の話をしてるので、技術革新や戦争など、様々な要素がある中で絶対ということは言えないですけども、とりあえず状況としてはそんなところかなと思います。(この件はSNSでは触れません)


今週のWebtoon新規参入

企業向けマンガサービスを展開するトレンド・プロがWebtoon×広告マンガの新サービス「Biztoon」を提供開始

今週のWebtoon進出は少しユニークで、広告漫画専門のトレンドプロ社さんが、広告マンガの分野でWebtoon進出するというものです。

これは例えば、連載作品を作ってマンガアプリで販売するというようなものではなく、言葉通り広告マンガを縦スクロールカラーマンガで制作するということですね。スマホ対応を考えれば、そりゃそうだという流れですね。

作例にLINEの広告マンガ例がありまして、LINEの広告Webtoonをトレンドプロが作っているのは興味深いですね。餅は餅屋と言いますか。


国内News

イラストコミッションサービスのSkebが、暗号資産「Skeb Coin」を開発すると発表、同時に「NFTに関する事業に今後も関与する予定がない」とも発表しています。

決済を行うにあたり、特に成人向けで日本で一般的な内容でも、海外はもちろん、決済サービスを行っている日本企業にとってその表現は看過できないということで、決済を止められてしまうという問題が長くありました。これを解決するためのSkeb Coinということですね。

そして、イラスト販売とは一見相性の良さそうなNFTを「やらない宣言」という流れ、業界内でも屈指のテックリテラシーを持つ経営者、なるがみさんの選択は、余人には出来ない視座からの現実的な判断と思われ、興味深いところです。


「ジャンプのあの海賊マーク、名前なかったん!?」という多くの声がSNSで上がって話題になりました。沢山の候補の中から「ジャンプ」の編集長ら3名が力尽きるまで悩んだ末決定したそうです。少年誌的で面白いですねw


WorldMakerは絵が描けなくてもネームが出来るスマホのツールです。そこで行われたネームコンテストに、現役プロ漫画家が作画をつけたということで、とても良い漫画が出来上がってます。ユニークなツールでユニークな賞を開催したところが面白いですね。当然、仕上がったマンガはとても良かったです。


『ホリデイラブ』『私たちはどうかしている』『恋と嘘』など、恋愛作品の実写化が強い印象のマンガボックスですが、今回のTBSとの取組でその路線をメインとすると思いきや、思い切り今時のWebtoon寄りの作品が出てきましたね。果敢なチャレンジだと思います。


このサービス、とにかくとても良いですね!


これはもう、準備委員会の方々が100回目開催に向けて、並々ならぬご苦労をされていることが垣間見えます。夏コミは8/13-14の2日開催なのはそのままに、前回5.5万人とした参加上限を8-9万人に引き上げるとのこと。


海外News

韓国コンテンツ振興院の発表によると、韓国の2021年のコンテンツ産業売上高が14兆円に達して復調したとのこと。Webtoon等の漫画の他、広告、知識情報、コンテンツソリューションが対伸び率で、映画は前年に続いて減少したようです。

また、そのうち輸出が1.82兆円で、輸出の中の7割がゲームとのこと。
輸出の中でも、Webtoonや音楽が好調だったようです。

日本においても、この翻訳語と同じ「コンテンツ産業」という定義がありまして、その市場規模も同じく2021年は14兆円と発表されています。ただ、リンク先にもあるように、その内訳は大きく違うものなので、数字の読み取り方としては注意が必要です。


これは、Googleのコントロールが厳しいですね。hon.jpメルマガ内のコメントによると「Googleがアプリ内決済のガイドラインを変更し、規約を厳格に適用し始めたのが原因」とのことです。


BTSなどとのコラボなども取り入れているNAVERに対して、カカオは持ち前のカカオトークによるオープンリンクというオープンチャットの仕組みでWebtoonを盛り上げていくという趣旨のことを書いています。


セルシス社のCLIP STUDIO と提携するなどして、Webtoonの制作環境の整備を進めるNAVERですが、AIベースのWebtoon編集ツールを今年後半に発表する計画を持っているそうです。

ここでは、自動着色ツールの他、海賊版を発見したり、暴力的、煽情的なコンテンツをブロックするAIなども予定しているとのこと。確立すれば、Webtoonを取り巻くビジネスが一歩ずつ前進しそうですね。


記事のみ紹介


告知関連

ジャンプのミライ2022 - 6/29

第1回 ジャンプの現在位置:2022年6月29日(水)18:30-20:30
視聴無料です。申し込みはリンクから。
第2回 ジャンプの挑戦:7月下旬予定
第3回 ジャンプのミライ:8月下旬予定


日本マンガ学会第21回大会 - 6/18-19

6/18-19に秋田で開催。オンライン配信あり。
オンライン配信の申込期限が6/18となっています。詳細は記事へ


著作権入門セミナー1「近時の法改正と出版契約」講師村瀬拓男弁護士

主催:日本電子出版協会事務局 事務局:JEPA著作権委員会
日時:2022年6月29日(水)16:00~17:30
料金:どなたも無料

Voicy、マンガ業界News深掘り生配信収録(アーカイブ1か月)

スペースのアーカイブは30日間残ります。追ってVoicyで編集したものを出します。今回は、WebtoonInsightJapanの福井さんがゲストです!

―――(編集後記)
3月にオープンなった、トキワ荘マンガミュージアムそばの「マンガピット」で、クラファン参加者限定トークイベントでお話してきました。

マンガピットは、“学び”につながるマンガを集めた読書空間ということで、とても良いので、是非いらしてください。詳細↓。あの松葉の2つ隣です。

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