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【マンガ業界Newsまとめ】2027年のWebtoon世界市場は1.8兆円!=現在日本漫画市場の3倍!? など |12/12-030


マンガ業界関連の日々のニュースを、およそ週1更新でまとめています。

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グローバルインフォメーション社によるウェブトゥーンの世界市場調査によると、2027年の世界のWebtoon市場は約1.85兆円(164億米ドル)ということで、史上最高となった2020年日本漫画市場の6126億円の約3倍の市場規模になると試算しています。(1ドル113円換算)

同じ試算で、2020年の同市場は約2600億円(23億390万米ドル)と試算しています。日本のWebtoon市場が3-400億円位として、ざっくり10倍弱というところでしょうか。

なお、同調査では、北米、欧州、アジアなど、地域別に試算をし積み重ねています。現状の各地域市場規模に対して、毎年平均30%アップの複利計算で市場規模が拡大すると試算してるとのこと。また、現時点でアジア市場が70%のシェアとのこと。

非常に高価レポートなので私も実物は見れておらず、どなたか見せていただけないでしょうか(切実

しかしあれですね、本音を言うとホンマかいな?というとんでもない規模感ですね。。。


ピッコマの本尊、韓国カカオエンターテイメントのグローバル進出計画です。李代表によると、向こう3年は3倍の成長率を目指し、北米アセアンに注力するとのこと。フランスのみ、日本のカカオピッコマと共同進出するとのこと。


こちらは、マンガ動画でトップとされながらも、アカツキ社のプラットフォーム(PF)開始宣言以来、Webtoonに注力を開始したソラジマ社など、各社のWebtoonの動きを書いた記事です。

ソラジマ社は2022年中に26作品の連載開始を予定しているとのこと。PF側の要求として、開始時に2-30話一括納品を要求されることの多いWebtoonにおいて、26作品並行制作はかなりの経営リソース(主にお金と人)が必要になると思ったんですが、小学館、集英社から資金調達してたんですね。なるほど。

そして早速、そのソラジマ社が人材募集を兼ねての、マンガ編集者になるためのウェビナーを予定しています。これだけ沢山作って、制作についての自信を深めているというところでしょうか。

同じ方向性の話題で、Webtoonスタジオとしてハイエンド型を志向しているフーモア社の制作責任者井本氏が、自社のWebtoon制作体制をTwitterで図示していました。興味深いです。

フーモア社は、もともと数千人のイラストレーターや漫画家が登録するネットワークを持ち、ゲームイラストや広告漫画の制作などを分業制で進めてきた蓄積があり、スタジオ型制作ノウハウについては一日の長があります。ツイートの先には、井本氏の考えのつづきに作家さん募集のツイートがあります。


Webtoon制作系で少し気になったのがこちらのニュースです。

コミックイラスト制作ソフト国内No1のクリップスタジオのセルシス社を擁するアートスパークホールディングスが、第3者割当増資を行い、それをWebtoonEntertaiment社が引き受けるとのこと。

WebtoonEntertaimentは、世界最大規模のWebtoonマンガアプリを持つ会社ですが、日本との関係性としては、LINEマンガを運営するLINE Digital Frontier社の親会社と言ったほうが通りが良いかもしれません。

日本の国産マンガではクリスタのシェアが圧倒的ですが、今後急成長が期待されるWebtoon業界の中でも、クリスタがそのシェアを維持できるかどうか、試金石となる動きと言えましょう。


今週に、漫画家ミライ会議も盛況のもと終了したナンバーナイン社ですが、その漫画家ミライ会議開催の最中に、INCLUSIVE社の傘下に入る発表をリリースしました。

同時に1億円の資金調達が行われ、これを原資にWebtoon制作を強化するの事。代表の小林氏のnoteによると、「Webtoonにフルコミット!」とのことで、ソウルフルな宣言がされています。

これに近いタイミングで、ナンバーナイン社からはニコニコ静画への進出もリリースされていました。


LINEマンガの今年のランキングが、女性『女神降臨』男性『喧嘩独学』だったとのこと。ほか、注目作品の「全知的な読者の視点から」にも触れられています。

韓国のWebtoon制作技法を日本語訳して紹介する貴重なnoteですが、今回は連載3回目の「キャラ設定」です。Webtoonでは8頭身以上の高い頭身のキャラでないとウケないという声もあります。その作り方は興味深いところです。


ZHD(Yahooグループ)とLINEの経営統合で縁戚関係を深める両社ですが、上場しているため決算数値が公表されるebookjapan社に対して、LINEマンガはあまり売上の情報が出てこないので、貴重な情報です。

決算期のタイミングがずれますが、ebookjapan社の決算資料によると、今期の着地は電子書籍売上尻上がりの法則で、だいたい350億円くらいかなと。それを考えると、LINEマンガ側の売上は450億円くらいかなと言う見方もできるのかなと。

ただ、ebjは取次もするうえ、LINEマンガはメディアドゥからebjに仕入れやシステムを切り替えるなど、慌ただしくなっているため、その辺りがどうなるかですね。


こちらは、国産アプリ分析ツール「アップ・エイプ」による調査レポ抜粋です。

MAU(月間ユニーク訪問者数)は、6アプリで首位から順に「LINEマンガ」「ピッコマ」「マガジンポケット」「少年ジャンプ+」「マンガBANG」「ゼブラック」とのこと。

他社データでは売上でトップはピッコマでしたが、訪問者数だとLINEマンガがトップということのようで、拮抗しているのでしょう。今期、各社が「すごいことになってる」と、その出稿量や『はじめの一歩』の電子化第1弾企画など、かなりの力技でユーザーを増やしたマガポケは3位に。

このマンおとこ編1位『ルックバック』の巨大バズや、毎週連載更新のたびに100万PVを超える3作品を連載する「ジャンプ+」ですが、この6アプリの中では最もWeb側の作りや運用が充実しており、アプリのデータだけだとこの位置ですが、Webも合わせるとまた違った見え方になってくるかと思われます。

「ゼブラック」も後発ですが健闘していますね。ジャンプ+との位置づけの差など気になる所です。


「9月、出版大手の講談社とネット通販大手アマゾンが取次会社を介さない直接取引を開始し、出版業界に大きな衝撃が走っている。

と、あるのですが、実際に流通に携わっている業界人には既知のこととして、特に衝撃は走っておらず、出版流通に普段関わらない人たちが驚いているのが実情というところでしょうか。

中盤から後半は一般論的な説明が続いていますが、このあたり正しく説明するのは長い説明が必要になりますね。(この説明がおかしいということではなく、ホントに複雑なのです)

紙もそうですが、デジタルの取次も、今後どうなっていくかというところは、それだけで一冊書けそうな気がしますが、一度とりあえず関係者集まって飲みにでも行ったら良いかなとおもったり。


これは、触れるかどうか迷ったのですが、そういうこともあるよね案件としてご紹介です。

アダルト同人も扱うデジタルコンテンツ販売サイト大手のDLsiteですが、VTuber集団にじさんじの公式コラボをやった結果、にじさんじの成人向け同人作品が発売中止になったということです。

DLsite社は90年代から同サービスを続けてきたという、いにしえのデジタル同人サービスです。その歴史の中には当然二次創作も多く含まれており毀誉褒貶あったわけです。デジタルコンテンツ隆盛の現在、その歴史的経緯と現実問題がぶつかってきているというところですね。

個人的には、こういう風にひとつひとつ対応していく以外ないなとは思っています。馬の娘さんたちの件とかもそうですね。冷静に、大人の対応を、たんたんと。というところでしょうか。


好決算を続けるメディアドゥ社の現在地記事です。

ちょっとテクニカルなことを書くと、紙の出版と取次(紙の)会社の商習慣からの流れで、出版社(仕入先)への支払いサイトが長いんですよね。そこが記事中に紹介されてるCCCの特質点でしょうか。

LINEマンガのことは気になりますが、新規事業も次々作っていますし、好調に甘んじず手を打ち続けているので、引き続き頑張って欲しいです。古巣ですし。


少し前に、中国テンセントとの単独連携をリリースしたKADOKAWAですが、この例では冒頭にマレーシアで作られた児童書が国内でヒットしたというニュースですね。

出版大手の中では、現地法人をたくさん作り「ビジネスはその場に自社拠点を作ってナンボ」という姿勢を続けたKADOKAWAらしい動きです。カブトムシって国によってだいぶ違いそうだから、ローカライズ大変じゃないかなと思ったり。


社会現象レベルの大ヒット『鬼滅の刃』が、各種漫画賞レースではどう扱われたか?というところ面白い記事です。アニメ化を経て本当にヒットしていったタイミングで、賞レースではどうだったか?という年表などがあり大変興味深いです。

端的に言うと、ホントにヒットしたり、面白いと評価されるタイミングが、巻数を重ねた後になる作品の場合、こうした賞レースでは上位に出なかったりするというところでしょうか。わかる気がします。

私も「このマン」ではここ2年間アンケート回答してたのですが、こうなんとなく10巻超える作品を推すのもどうなのかな?という感覚もあったりします。

そんなことは投票条件に入ってない場合もあるのですが、世に示すなら、これから伸びる若いマンガを推したいに考えてしまうんですよね。推す側としても。


今年のこのマンガがすごい2022が発表されました。おとこ編『ルックバック』おんな編『海が走るエンドロール』ということで順当でしたね。

個人的には、以下の全てが同じ担当編集者の作品ということで、
2020年1位『SPY&FAMILY』
2021年1位『チェンソーマン』
2022円1位『ルックバック』→3位『ダンダダン』 (いずれもオトコ編)
「縦にも横にも林士平」みたいになっておりまして、林さんもすごいですけど、同時にやっぱり編集者にも漫画家同様の「圧倒的力量」はあるんだなと、再確認しました。

10年前に『青の祓魔師』のプロモーションの仕事で初めてお会いしたとき以来、漫画賞の審査員をしてもらったり色々お世話になりました。『ファイアパンチ』に『地獄楽』にととにかく作品が目立つ方で、もう完全に当代のエース編集者ですね。素晴らしいです。作家さんともども、おめでとうございます。

菊池健様 (1)

こちらは、なかなかランキング上位に絡む投票をしないと定評のある、今年の私のアンケートのゲラです。『らーめん再遊記』は惜しくもオトコ編39位だったのですが、黄昏れる芹沢が最高かつ、展開されるラーメン論が歴史スペクタルもかくもというくらいの説得力で、第3シーズンに至り本当に今最高の出汁が出て脂がのってます。ラーメンだけに。

あと、オンナ編2位の『作りたい女と食べたい女』は、本当に良いマンガで、個人的にもランキングにもしっかり絡めて嬉しかったです。上位作品に投票できたのは初めてでした。好きなシーンは「唐揚定食ごはん多め」です。

しかし、今回はオトコ編とオンナ編どちらに投票するか(回答前に二択を迫られます)本当に悩みました。そうした面で時代が移ろっている感もあります。


これは個人的に感知できてなかったニュースなのですが、まずクリップスタジオのセルシス社がマンガ編集部への作品持込窓口として「CLIP STUDIO SHARE」というサービスを行っていると。

そして、秋田書店の全編集部が、その窓口を利用するようになったというニュースです。

そしてこのサービスですが、秋田書店導入の前から、ヤングジャンプ、ジャンプSQなどのジャンプ系やマーガレット、りぼんなど、結構な数の錚々たる編集部が使用していました。知りませんでした。

出版社外の電子書店やアプリが台頭する現在、各編集部は新人の持ち込み対象になるべく、しっかり媒体の旗印を掲げねばならず、このように導線をしっかり確保もしつつ、媒体としての発信も重要になっている局面だと思います。


知人のlibroさんが「北米漫画市場まとめ」始めました!
この夏までNYにいた氏の力作で、これはもう日本人でこれを書ける人は5人もいないであろう貴重なnoteになると思います!これから楽しみです。

北米市場ではNAVERやKakaoの2強の他に、「Manta」なる韓国Webtoonアプリが、300万DLの第3勢力として台頭しているそうです。

北米でもまだまだ新しい存在が出て行けるという中、日本のプラットフォームにも頑張って欲しいですね。

同じlibroさんでこれも良い記事です。

北米では、月に1.99ドルでジャンプが読めてしまう、チートなサービスがあるとか、色々うるさそうなお国柄なのに、BL専門サービスがサブスクで立ち上がってるとか、知らなかったことばかりでした。貴重です。

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週1更新ペースで書いてきましたが、おかげさまで30回です!SNSなどでリアクション下さる皆さんのおかげで続けてこられました。ありがとうございます!これからもやんわり続けていきます。



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