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【マンガ業界Newsまとめ】調査報告「鬼滅の刃」リーチも支出もNo1、AI作画の新サービス次々など|9/11-068

マンガ業界ニュースの週1まとめです。動きの早いマンガ業界・Webtoon界隈のニュースを出来る限り一か所に集め、業界の方が短時間で情報を得られることを目指しています。

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「鬼滅の刃」2021年リーチ力1位、支出430億円を喚起 博報堂グループが調査

博報堂グループが「コンテンツファン消費行動調査」の2022年版レポートの販売を開始しました。

リーチ力、支出喚起力(ファンがどれくらいお金を使うか)を数値化し、2021年はともに1位が『鬼滅の刃』で、リーチ力が1485万人支出喚起力が430億円とのこと。リーチ力では2位以下に、『呪術廻戦』『名探偵コナン』『ONE PIECE』と続き、支出喚起力では2位以下に、「モンスターストライク」「関ジャニ∞」「ポケットモンスター」と続きます。

現在、マンガ業界のデータとして公式に使用されているものは、基本的に書籍やアプリの売上データのみで、作品のライセンス展開市場規模が、作品軸で横断的に明示されているものはほとんどありません。貴重なデータかと思います。

2021年調査では、支出の内訳の中でリアルイベントの影響が上がってきているそうです。


まんが原稿そのままアニメに DNPが「ライトアニメ」事業化

DNPによるマンガのデータをもとにアニメをつくるツールが発表されました。制作時間で約12分の1、費用で約10分の1の提供を目指すということで、かなりのインパクトです。

アニメが手軽にできるということもさることながら、これをマンガのプロモーションや特典として出していくというのは、現在のデジタル環境を考えると期待できるところです。

現在、中国の快看漫画では、Webtoonの更なるライトユーザー喚起に、Webtoonの簡易アニメ化を行いサブスクで提供するなどしています。現在のWebtoon作品が増えつつある日本の環境にも、将来的には事例が増えていくのではないでしょうか。


インボイス制度はなぜ必要?専門家に“中立的な視点”から教えてもらった

単に税理士であるということだけではなく、芸術・文化・創造的な活動への支援プログラムを運営する、Arts and Lawの代表も務める山内真理さんらによる、インボイス制度の設立の経緯などです。これはもう、そのまま是非お読みください。

インボイス制度については、
・フリーランサー(漫画家など)の納税額が実質増
・事務処理が壊滅的に煩雑
・下請法まわりの問題
・本業の実力と無関係に、商売の機会損失に繋がる懸念
・条件付きだが、匿名活動している漫画家の本名がバレる可能性がある
といったかたちで、複数の課題があります。

どこを問題とみるかで、議論の性質が変わります。この記事でわかることとしては、増税とみられているものは益税という時限措置だったということと、この制度導入は長く計画されてきたことで、そうそうは政府の方針は変わらないのであろうという、改めての確認というところでしょうか。

漫画家の本名バレについては、ちょうど以下のような記事が出ていました


ミニ特集:AI作画がマンガや漫画家に与える影響

ついに「CLIP STUDIO PAINT(クリスタ)」で画像生成AI「Stable Diffusion」を動かすプラグインが登場

漫画家の作画ツールとして最も普及しているクリスタ上で、テキストから画像を生成するAI作画ツール「Stable Diffusion」を動かすプラグイン(システム間を繋げるの意)が登場しました。

クリスタ上でAI作画素材が簡単に作れて加工できてしまうという仕組みですね。これをもとに自在にマンガを作れるかどうかはともかく、背景などではすぐに利用できそうな気がします。


画像生成AI「DALL・E 2」で絵柄はそのままに背景や続きを追加する新機能「アウトペインティング」が登場

こちらは、完成したイラストから、その背景のタッチに合せた画像を自動生成するというものです。
記事内の例として、フェメールの「真珠の耳飾りの少女」の絵から、少女のタッチに合せた家具や背景が生成されて、あたかももともとこういう大判の絵(本物は少女しか描かれてません)があったかのようです。驚異的です。

これ、マンガでやったらどうなるんですかね。トーンとかも再現するのか?タッチはどこまで?モブがもりもり描けちゃったりする?と、疑問が続々出てきますね。多分試す人が出てきますので、見つけたら続報します。


画像生成AI「Stable Diffusion」でプロンプトやパラメーターを変えるとどういう差が出るか一目でわかる「Prompt matrix」と「X/Y plot」を「Stable Diffusion web UI(AUTOMATIC1111版)」で使う方法まとめ

現状のAI作画は、文章を入れてイラストを作るため、思った通り絵が出ない、、、というような見方があったと思うのですが、あっという間にパラメーター調整でイラストを調整して作れる状態になっています。ツールも凄いですが、こういった周辺ツールがあっという間に出来てしまうスピード感も、またすごいですね。

それにしても、3連続でGIGAZINEさんの記事を紹介させていただきましたが、詳しい方がいらっしゃるんでしょうね。

絵師の“AI学習禁止宣言”に意味はあるのか? AIに詳しい弁護士に聞いてみた

先週紹介させていただいた、他人の絵柄で新しい絵が描けてしまうmimicについての、弁護士さんの見解です。著作権侵害になるケースとならないケースの現時点での可能性に触れています。

法規制というか、AIで絵が作られる世界観というものが新しすぎて現時点では規制以前の問題という状況ですね。もともと著作権法は、本を紙で刷っていた時代の前提で作られており、ネットがある前提に合せることは急務とされ、未だに課題解決できてない現状かと思いますが、AI作画の登場で、更に混沌として行きそうです。


今週のWebtoon新規参入・新たな動き

今週、Webtoon界隈に目立った動きは無かったのですが、一つお知らせを。

今週、デジタルコンテンツ白書2022の発刊が発表されました。
この中で、コンテンツの分野別動向のマンガパートに、本まとめでも何度か紹介させていただいた、ウェブトゥーンカオスマップが掲載されています。

制作タイミングの都合で、本書中では4月に発表したものが掲載されていますが、現在は7月版から、一度微調整されたバージョン3.1が、コミチ社サイトにて公開されています。

https://comici.jp/webtoon より


海外News

およそ20年ほどの歴史とみられるウェブトゥーンですが、この韓国内での傾向を振り返るものとして、Googleトレンドなどから話題作の注目度をはかったという記事です。

これを見ると、作品の存在そのものは2000年代からのものもありますが、大きく伸びたのは2010年代、特にその作品にドラマ化が絡んだタイミングからとのこと。また、原作は持たないが大ヒットした「イカゲーム」と比較すると、その影響力には大きな差があるということで、伸び代もあるという課題感も示されていました。


好調が伝えられる、映画「ONE PIECE FILM RED」の中国展開に伴い、中国のレジャー施設で正規版権の展開が行われるとのこと。「中国」「レジャー施設」「日本アニメ」とくると、あまり良いニュースも少なかったころから考えれば、こうしたニュースが読めると、ホッとしますね。


個人の方のnoteですが、一読の価値ありです。

最近「日本のエンタメがガラパゴスである」という主張に対して、販売面はともかく、制作面においては「むしろガラパゴスじゃないと、独自性を保てないのでは?」という声もちらほら出ています。その点において、興味深いことを書かれているなと思いました。

また、前半部のアメコミ、日本マンガの北米漫画市場における実情データについては、北米の流通が日本と大きく違うことや、データの出方の違いなどで、綺麗にデータを読めない現状があること、識者も長年指摘していました。本当にそうで、海外の正確な数値を読み取るのはなかなか難しいんですよね。

このあたり、クールジャパン系の政府系のエンタメの取組などで、数字を出来る限りきちんとつくるなどの努力が出来ないものかと考えます。データは、世界進出の地図みたいなものですので。


エルデンリングの漫画版がギャグだったというので話題になりましたが、これ、11か国語展開予定なんですね。さすが世界のフロム。他、なんというかジャンプアニメの展開は、相変わらずすごいですね。リーチや経済波及を数値化してみたいです。


国内News

9月16日まで行われている「ジャンプアプリ開発コンテスト2022」の3回にわたって行われたオンラインセミナーのまとめ記事です。今回、個人的に3つのセミナーのうち2つを見ましたが、今までなかなか見れなかったジャンプ+の数値を知ることが出来て驚きました。(過去記事に一部まとめあり)

配信動画も期間限定でアーカイブ配信されています。

このコンテストは門戸も広く、エンタメの開発系ベンチャーにとっては、大きなチャンスが沢山あると思います!
ジャンプアプリ開発コンテストの申し込み締め切りは9/16まで。
詳細やお申し込みはこちら↓


先週お知らせした、ジャンプの海外作家向けのインディーズサイトですが、もともと以前から行っていた、ジャンプの素材を用いて海外の作家さんが作品作りの練習を出来る仕組みが踏襲されているようですね。

結果的に、ファンサブ的な作品が生まれたりしているのをライターさんが実際に見ているのですが、これは面白いですね。


LINEマンガとebookjapan、合わせると月間売上が100億円を超えるとのこと。規模感が凄いですね。これで、国内の電子書籍サービスとしては、1位なのか2位なのか、実はデータが開示されて無いのではっきりしたことは誰にもわからないのです。これより大きい売上を、今上げている会社がいたとしたら、そこくらいにしか。


Minto社は、前身の会社時代からSNSマーケティングに巧みな企業でしたが、そのMinto社が小学館の強い漫画をきっちりSNSでプロモーションした場合、かなり強力なコラボになるのではないかと感じました。


ウェブトゥーンまわりの記事を書かせたら第1人者のひとり、飯田一史さんが、IMART2022に登壇するにあたり、記事をまとめてくださっています。こう並べると、ウェブトゥーンまわりで骨太でインパクトのある記事を沢山書かれていますね。


これは時代の流れですねー。良いサービスだと思うのですが、確かに電子書籍全盛の現在、なかなか難しいのかも知れません。特にマンガにおいては。

この件について、9/20で再び絶版本が700作品以上できるという状況の様子、9/11の20時~は、これについてのTwitterSpaceも行われます。


記事のみ紹介


告知関連

#GIGATOON Studio 縦読みマンガ大賞

https://comici.jp/stories/742dec1ad68b6

DMMグループが設立したウェブトゥーンスタジオ「 GIGATOON Studio 」とコミチが共同で漫画賞を開催!

大賞受賞者は連載確約!! タテ読み・ヨコ読み・カラー・モノクロ・オールジャンルなんでもご応募いただけます。

締切:9/14 23:59まで

横描き漫画家がウェブトゥーン作家になる方法~GIGATOON Studio 縦読みマンガ大賞オンライン勉強会-youtube
GIGATOON編集長の五十嵐悠さん、沢山のWebtoonを作ってきた編集者ユーナの鈴木愛美さんの動画は好評で、多くの方に見られています。


#連載・読切形式どちらも応募可 !!ネームで連載獲得!!ウルトラジャンプ漫画賞

https://comici.jp/stories/a654a9a857c97 

連載・読切形式どちらも応募可!!ネームで連載獲得!!ウルトラジャンプ漫画賞

求む、”ウルトラジャンプで連載したい”マンガ企画!ネーム応募で連載権が確定!!

締切:9/30 23:59まで

ウルトラジャンプ漫画賞Specialインタビュー「編集者と距離をおいて知った、編集者の必要性」千田浩之先生

ネットでの活躍を経て、ウルトラジャンプで連載デビューした千田浩之先生のインタビューは、現在の漫画家さんたちに大切な気づきを伝えています。


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