子供のためのオルセー美術館(42)マネ・スペインを描く①/マネが感動した史上最高の画家は?
1850年代後半、そのころマネは、スペインを主題にした絵を何枚も描いていました。
まだスペインに行ったことはなかったけれど、
あの異国情緒たっぷりのスペインは様々なインスピレーションをマネに与えたのです。
マネの本格的なデビュー作、
サロンの展覧会に初めて入選したのはこの絵でした。
黒いスペイン風のフリルがついたジャケットに黒いぼうし、灰色のズボン
左ききでギターを弾くスペイン人、
緑のベンチにすわってずっと向こうを見て歌っています。
白いよごれたズックの足もとには 何があるでしょう。
玉ねぎと赤いテラコッタでできたワインのつぼ。
あ、タバコのすいがらも。
この絵はその時代に生きていたスペイン人を感情的にならずに、
色も自然に、大らかな力強い筆づかいで描いたので評判になりました。
マネは、「この絵を描くために、マドリードの巨匠たち、そしてルーブル美術館にあるハルスを思いうかべていた」
と言いました。
尊敬するドラクロワ、有名な詩人のボードレールからも「すごいよ、マネ!」と称賛されたのです。
はじめての大成功でした。
ところがその後
マネは、パリでとても人気のあるスペインのバレリーナ、ローラを描き大変なスキャンダルとなっていきます。
マネが史上最大の画家と言ってたのは…
続きはまた次回に。
Édouard Manet (832-1883)
Le Chanteur espagnol [dit aussi Espagnol jouant de la guitare) 1860
New York, The Metropolitan Museum of Art,
エドゥアール・マネ
スペインのギターを弾く歌い手 1860
オルセー美術館企画展マネ・ドガ展 メトロポリタン美術館より借用
Frans Hals(オランダ)
Le Bouffon au luth 1623 / 1624 (1e moitié du XVIIe siècle)
フランス ハルス
リュートを弾く道化師 1623-1624
ルーブル美術館所蔵
お読みいただきありがとうございました。
ようやく正統派サロンに入選果たしたマネ、しかしその後に描いた絵の次々におこるスキャンダルから、前衛芸術家としての地位を確立していきます。
写真に撮ると残念ながらその黒の素晴らしさがお届けできませんが、マネの色彩、黒に赤の利かせ方、地味な作品ですが是非もう一度ご覧ください。
お話は続きます。
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