子供のためのオルセー美術館(22)ティソ・赤とヴィオレット、季節のスミレのブーケ
マネやドガの友だちのティソは
黒と赤のドレスの少女の絵を描いてみんなを驚かせました。
黒のドレスはたっぷりふくらんでいて
セーターの赤い色が ぱあっと目をひきます。
ティソは これまで むかしのお話の絵をいつも描いていたのですが
この赤いセーターのマドモアゼルの絵は
今までとは全然違う絵だったので、みんながびっくりしたのです。
どうしてこんなに変わったのでしょう。
ティソは思ったのです。
もっと自由に思うとおり、見たまま描きたい。
後ろのかがみには
ブルターニュの服を着た小さいころの昔の写真がうつっています。
テーブルの上にあるスミレのブーケが見えますか。
季節のお花、ヴィオレットです。
フランスではこんな風に スミレの花をぎゅっとまとめてブーケにします。
ほんの少しのスミレの紫に 赤のセーターとリボンのはなやかなこと。
女の子が 絵の中からすっとこちらにやってきそう!
James Tissot
Nantes 1836 - Chenecey-Buillon 1902
Portrait de Mademoiselle L. L., dit aussi Jeune femme en veste rouge; Jeune femme dans un intérieur
ジェームス・ティソ
マドモワゼルL.L.の肖像
Le départ de l'enfant prodigue / Le retour de l'enfant prodigue (1862)
James Tissot – Petit Palais, musée des Beaux-Arts de la Ville de Paris
放蕩息子の出発/帰還
お読みいただきありがとうございました。
赤を見事に描いたティソ、その画風の転換を感じられましたでしょうか。
スミレの愛らしいブーケはほんの一時期の季節の花ですが、その紫、是非実物を皆様にも見ていただきたいです。(もしかして日本にもあったでしょうか?)
晩年は宗教画に回帰していくティソですが、この時代からいきいきとした女性の肖像を次々と描きイギリスやアメリカでも成功をおさめます。
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