子供のためのオルセー美術館(52)ドーミエ・悪だくみ/ミケランジェロにたとえられた実力派ドーミエ
ヒソヒソ コソコソ ないしょばなし
ドーミエは、フランスの作家モリエールが作ったお話の中から、スカパンという人を描きました。
スカパンは悪知恵が働いて、悪だくみを考えるのが得意です。
ほら、誰かきた。
またなにか悪いこと頼まれている!
ムフフフフフフフ… スカパンは笑いました。
「人をだますのはお得意さ」
「どうだ、いい考えだろう? 我ながら最高のできだ!」
スカパン、ほんとに悪がしこそう!
彫刻家でもあるドーミエは、人間の表情を少ない色で見事に描きました。
ドーミエは日常生活でよく見る景色も絵にしました。
ここはパリ、向こうにセーヌ川が見えます。
大きな荷物をかかえた人と子どもがやって来ました。
洗濯の仕事をやっと終わって セーヌ川の急な階段を上がって来た人でした。
ドーミエは、辛く厳しい仕事をする人を、金色の夕日がつつんでいるように描きました。
そしてやっぱりこの色!
ヴィーナスのライラック色に、青灰の鉛色と 緑。
ドーミエの好きな色です。
Honoré Daumier
Crispin et Scapin autre titre : Scapin et Silvestre Vers 1864
オノレ・ドーミエ
クリスパンとスカパン 1864
Honoré Daumier
Scène de comédie, dit aussi Un Scapin Vers 1860
オノレ・ドーミエ
スカパン 喜劇の場面 1860
Honoré Daumier
La Blanchisseuse Vers 1863
オノレ・ドーミエ
洗濯をする女 1863
お読みいただきありがとうございました。
悪賢いスカパン、絵から飛び出して不気味な笑いが聞こえそうです。
ドーミエの絵画はあまり知られていないですが、絵を描くためのデッサンや粘土での造形が大量に残っており、絵画に至るまでの準備の厳しさを思わせます。
ドガのバレエのブロンズのようにドーミエもまたその死後に、残された造形物が鋳造され、彫刻家としても高い評価を受けています。新聞に発行されたドーミエの風刺画の特徴をとらえた人物の造形物(粘土彩色)は、現在オルセー美術館の最初の部屋に多数展示されています。
ミケランジェロとゴヤをミックスしたような才能と言われたドーミエ!改めて作品を見つけて、ご紹介したいと思います。
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