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子供のためのオルセー美術館(33)今日は三日月🌙 旅人の夢は/シャヴァンヌ

8月18日から、日没後にちぼつご三日月みかづきられます。
夏休なつやすみもわる31日が満月まんげつです。
ときどきそらてまるくなる月を観察かんさつしてみましょう。

きょうはそんな三日月みかづきよるのシャバンヌの絵です。

もう何日なんにちあるいたでしょう

ここはどこ?
三日月みかづきのほんのすこしのひかり
あたりをらしました。

うみ
もうある元気げんきもない

旅人たびびとつかれていました。
根元ねもとあたまをのせてよこたわると
なみおとと まつの松やにのにおいがしました。

そら三日月みかづきだけが旅人たびびと寝息ねいききました。


どのくらいの時間じかんがたったのでしょう。
どこからかなつかしい いいかおりがします。
むかし うらにわにあったあのはな

ああ、だれ?


旅人たびびと足元あしもとには
うすいピンクのバラのはなびらがおちていました。
 

するとこんどは 

カラカラとかわいたおとをたてて なにかひかるものがふってきました。
つきのかけらのようにもえました。

ほし?なんてきれいなコインだろう

これはきっとゆめにちがいない
いったいあなたはだれなの?


するとまた 

こんどは月桂樹げっけいじゅのかんむりをったひとがあらわれたのです。月桂樹げっけいじゅっぱはつよ勇者ゆうしゃのしるしです。



なつかしいはなびらと、幸運こううんのコインと、勇者ゆうしゃのかんむりと。
旅人たびびとにはえたのです。



旅人たびびとは すうっとひとつしずかな寝息ねいきをたてました。

三日月みかづきは さっきからかわらず
旅人たびびとかみについたつちをやさしくらしていました。


Pierre Puvis de Chavannes
Lyon 1824 - Paris 1898
Le Rêve 1883
ピエール・ピュヴィ・ド・シャヴァンヌ
 1883

ピエール・ピュヴィ・ド・シャヴァンヌの《Le rêve》が1883年にサロン・デ・アーティスト・フランセーズで展示された際、展覧会に添付された小冊子には、この主題について次のように説明されている。
美しい月明かりの下、おそらく旅人であろう青年が傍らに荷物を置いて木の根元で眠っている。3人の若い女性が夢の中で星空を飛びながら彼の前に現れる。1人目は手にバラを持って愛を、2人目は栄光の月桂冠を振りかざし、最後の1人は幸運のコインをばらまく。風景は非常にシンプルに様々な形状は極限まで単純化され広い平面で表現している。ピュヴィ・ド・シャヴァンヌは、三日月に照らされるだけの情景を淡い色調のパレットで描いた。

musée d’orsay 

象徴主義芸術は主に 1880 年代半ばから 1990 年代の終わりまで続く。より前の世代の画家、ギュスターヴ・モロー(1826-1898)、ピエール・ピュヴィ・ド・シャヴァンヌ(1824-1898)、またはイギリスのラファエル前派エドワード・バーン=ジョーンズ(1833-1898) は 1860 年代の先駆者。
象徴主義は何よりも人間と自然を支配する憂鬱、夢、純粋さ、神秘、死など、内面の精神に関連した非物質的なテーマを好む。

musée d’orsay 

お読みいただきありがとうございました。
ピュヴィ・シャヴァンヌはマネやクールベと同じ時代の人ですが、どこの派にも属さず独自の道を築きました。オルセー美術館では象徴主義の分類でいろいろな連作が並べられ、どれも数多くない絵の具の色、油絵を感じさせない水彩のような透明感で描かれています。マティスやピカソにも影響を与えた画家でもあります。

ちょうど日本は三日月が美しく見えたと聞き、この絵をご紹介しました。


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