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子供のためのオルセー美術館(5)ドガ・こんなものはじめて見た、びっくりだよ!

お子様向けお話 ぼうしの数を数えます。

ななめの床をかくドガ


ドガは おじさんやいとこ、しんせきの
くことにしました。

ここはむかしのアメリカの会社かいしゃです。

フランス人のドガが まれてはじめて見たもの

わあ!なにこれ

ふわふわのまっ白だ 綿わた
つくえいっぱいの。

そうだ!ここをこう。


会社では、たくさんの人がはたらいています。
いったい 何人なんにんいるんでしょう。

全部ぜんぶで14人 みんないそがしそうだけど

おとうと新聞しんぶんんでいるし
もうひとりのおとうともそこに立って、みんなを見てるだけ。

いちばん前にすわってるのは、おじさんだよ
いとこは 手にいっぱいの綿わたをもって
だれかとはなしてるしている。

みんな、てんでばらばら。こんなたくさんの人
描くくのはじめて。

だけど ぼくは全員ぜんいんみんなをうまく描けるんだよ。
だって床をななめに描くんだから!


<もんだい>
ぼうしをかぶってる人は
なん人いるでしょう。よく見てね。


<こたえ>

Edgar Degas (1834-1937)
Portraits dans un bureau (Nouvelle-Orléans)
[dit aussi Un bureau de coton à La Nouvelle-Orléans]1873
Huile sur toile
エドガー・ドガ
オフィスでのポートレイト
[ニューオリンズのコットンオフィス] 1873
オルセー美術館 企画展Manet/Dogaより Pau, musée des Beaux-Artsより借用 2023年7月23日まで

1873年、ドガはニューオリンズに住む商人の家族に会うため、ニューオリンズを訪れた。その際、家族から肖像画の依頼を受けた。ドガは集団の肖像画を描くことを決意し、このジャンルに挑戦した。
ドガが綿花をテーマにしたのは、彼にとって綿花が大発見だったからで旅をするまでは、綿花を見たことがなかった。また、このテーマによって、綿花が蔓延するアメリカを表現することができた。
ここでは14人のもの人物が限られた空間に描かれており、ドガは、この難しい構図に対して、空間に制約されることを承知の上で奥行きの表現に取り組んだ。この絵では、左側の壁にいくつかの対角線があり、見る人の視線を絵の奥に引き寄せる。人物の分布でそれぞれの背景が増え空間が広がった。
鑑賞者は部屋の隅に立っており絵に対して斜めの位置にいて空間の透明感が増して見える。ドガはこの空間の透明性と全ての人物を鑑賞者に見せるために、傾斜した床を描くという技法も用いている。叔父ミュッソンの足から下がカットされているのも写真のような視覚効果がある。

緑、黄土色、白、金、蜜色といった柔らかいパステルカラーを使用し背景の男の青いズボンや、キャンバスの右側にある紫色のあぶらとり紙など、いくつかの色彩的な斑点がある。綿の白は衣服の黒とマッチしており、どちらの色も支配的ではない。

Le Bureau de coton à La Nouvelle-Orléans musée d’orsay, wikipedia 

1872年10月、ドガは母の先祖が住むニューオリンズへ半年間旅立った。
この絵は、叔父のミッシェル・ミュッソンのオフィスで当時高価な綿花の品質を手際よくチェックしている様子が描かれており、画家の2人の弟は綿花という「貴重な素材」から距離を置いて、ひとりは新聞を読み、もう一方はカウンターに何食わぬ顔で寄りかかっている。
ここでドガは、「綿のために、綿によって生きる」人々が暮らす場所で初めて見る綿花に驚き心動かされた。そしてマンチェスターの裕福な紡績業者に売りたいと願ったこの絵は、彼の最も野心的な作品だった。
1978年、ドガにとっては初めて、フランスの美術館がこの絵を買い取った。

musée d’orsay

お読みいただきありがとうございました。
綿花の白と黒のハットスーツの印象が強いこの絵ですが、一度に多くの人の動きをとらえる視覚的効果にドガの才能を感じます。
お子様とは、絵の中のみんな何してるのかな、白いわたのフワフワ感、ハットをかぶっている人を見つけながらお話ししてみてください。
こういう地味な色の絵にも、お子さんは興味を持たれるかもしれません。






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