旧東海道ひとり旅_3【神奈川宿】
東海道五十三次 3番目の宿場町は、神奈川です。
しかし、今回は、神奈川宿観光をする前に見ていただきたいものがあるのです。
こちらの写真(↓)をご覧ください。
イタリア時間午前2時。僕はアンドレアに鬼電して、やつを叩き起こし、拡大していない方の写真を送りつけた。
そして、
「ねぇ! この写真にすごいものが写ってるんだけど、何だか分かる?」と言うと、
「分からない、眠い...」と返してくる。
「なんで分かんねぇんだよ! ちゃんと探せよ!」と圧をかけると、やつは、
「鳥が一羽足りない...」と呟いた。
こいつ、永遠に見つけられないだろうな、と思い、拡大した写真を送ってやると...
「あー... エイだね。去年、水族館で見たね」
僕は、その反応の薄さに腹が立ち、
「エイが川で泳いでんのに、なんなんだその態度!」と声を荒げ、そのあと何か怒鳴り続けたことは覚えているが、何を言ったかは記憶にない。
...というわけで、神奈川宿には、江戸湾と全国の湊を結ぶ水運の中継地、神奈川湊があり、陸運と海運の両面を兼ね備えた宿場町として栄えたそうです。
今回はガイドブックを参考に、
・慶雲寺
・神奈川の大井戸
...を訪れることにしました。
■慶雲寺
神奈川宿は、浦島伝説の地だそうです。
ガイドブックには『通称「浦島寺」といわれる慶雲寺には、浦島太郎が竜宮城から持ち帰ったとされる、観音像が祀られている』と書かれていますが、たぶん嘘です。
それはともかく、この寺の近くには浦島ヶ丘や浦島町、亀住町など、浦島太郎にちなんだ地名があるそうです。
■神奈川の大井戸
帰宅後、
「こんなちっちゃい井戸、大井戸でも何でもない」と毒づく僕に対して、アンドレアは、
「そんなことない。趣があって、俺はこういうの好きだよ」と言う。
僕のエイには全く興味を示さなかったくせに。あのエイのほうが、ずっと趣があったもん。
この連載では、"1記事につき、できる限り1首または1編の短歌かイタリア語の詩を詠む" というルールを設けていますので、ここで1編...
Nel mezzo del cammin del Tokaido antico,
trovai una razza nel fiume.
“Vieni qui, diventerai mio amico!”
Nel cuor urlai con tutto il volume,
ma andò via lo stesso sventagliandosi con una pinna pettorale,
a pel d’acqua lasciando solo un lume
come se volasse via con le ale.
(日本語訳)
旧東海道を歩いていると、
川で一匹のエイを見つけました。
「こっちへおいで。友達になってよ!」
心の中で、あらん限りの声を張り上げたけれど、
それでも、行ってしまった。胸びれを扇ぎ、
水面に一筋の光だけを残して、
まるで翼で飛び去るように。
東海道五十三次 3番目の宿場町、神奈川はここまで。
次回は4番目の宿場町、保土ヶ谷へ行ってみたいと思います。
最後までお読みいただき、ありがとうございました!
参考図書
・ビジュアル版 鑑賞ガイド 地形がわかる 東海道五十三次 (大石学[監修]、朝日新聞出版)
・東海道中膝栗毛(上) (十返舎一九[作]・麻生磯次[校注]、岩波文庫)