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人は如何に記事を読みコメントをするか、その一例

「なぁ、見て。この人が創作絵本に僕たちを出してくれたんだよ」
日本時間午後3時。今日も横浜の実家からイタリアにいるアンドレアとZoomを繋ぐ。noteのとある記事を画面共有して、僕は言った。


※この記事(上のリンクの記事ではなく、今あなたが読もうとしてくださっているこの文章)は、日本人の僕とイタリア人の友人アンドレアがイタリア語で交わした会話を、日本語に訳したものです。
ほぼ会話のみで構成されているので、どちらの発言であるかを明確にするため、僕の台詞にはL、アンドレアの台詞にはAを、「」の前に付けてお送りしたいと思います。


A「この猫知ってる! 最近 君のブログに来る猫だ」

L「まぁお前にとって、クリエイター名が日本語の人はアイコンが全てだけどさ... この人の名前は読めるだろ」

A「えーっと... と、ん、た、ん!」

L「よくできました。ちなみに、アイコン猫だけど女の人だよ」

A「えっ?」

L「既婚者だけどな」

A「大丈夫だよ」

L「...何が?」

A「...で、その絵本ってどれ? 神社のやつ?」

L「ううん、こっちの鳥のやつ」

A「か、ら、す、と、と、ん、び...」

L「そうそう! お前、今回は作者の名前とタイトル、自分で読めて偉いな!」

A「でも、音が分かるだけで意味は分かってないよ」

L「『からす』が左の黒いやつで、『とんび』がその隣の茶色いやつ。そういえばイタリアではカラスもトンビもあんまり見かけないよな」

A「そうだね。 ...本文は漢字が入ってるから発音すらできないし、Google翻訳かけてよ」

L「あ、今日は僕が訳してやる。さっき試しにGoogle翻訳使ってみたんだけどさ、酷いのなんのって...」

A「それはありがとう。でも、その前に一つだけいいか?」

L「なに?」

A「君、『noteにアクセスするのは週1回にする』って言って、この前アクセスしたばかりなのに、どうしてこの記事が投稿されたことに気付いたんだ?」

L「あー、それね。ほら、見て。記事の下の方に『Loris_M.』って書いてあるだろ。Noteってさ、アカウント持ってる人の名前を記事に入れると、その人のところへ通知が行くようになってるんだよ* それで」
(*嘘です)

A「あぁ、そうなんだ」

L「そう。こういう場合は特例として週1回の範疇には入らないってことにしただろ。だから、文句ないよな?」

A「わかった、わかった。じゃぁ訳して」

L「うん。 ...『とんびくん ぼくこの間さぁ とってもいい人に 出会ったんだ』」

A「俺のことだな!」

L「いや、僕のことだよ」

A「君が『とってもいい人』なわけないだろ」

L「あ゛ぁ?!」

A「...一行目からケンカするのはやめよう」

L「...お前がケンカになるようなこと言うからだろ」

A「いいから続けて」

L「...『そうなの? からすくん… (中略) …そうしたら 向こうから 写真撮りながら 歩いてる男の人がいたの』」

A「www www」

L「...なんでいきなり笑うんだよ」

A「だってこの絵... これ、君だろ? ずいぶん大人っぽく知性的に描いてもらえてよかったねぇ」

L「...うるさい。多少盛って描くのが一般的なんだよ」

A「多少www それに、ほら、次のイラスト見てごらんよ。この悪意のない笑顔! 君、もうこんな顔できないだろ。昔はかわいかったのになぁ... どうしてこんなことになっちゃったんだろう...」

L「なんで今日そんなに僕のことディスるの」

A「...あ、このジャケット、キングの駒のピンが挿してある」

L「そうそう! これ、かっこいいよね。僕、突発的な犯行に及ぶことになって、万が一現場に所持品を残してしまったときのことを考えて、一点ものとか、特殊な服やアクセサリーを身につけないようにしてるだろ。だから、絵本の中だけでもそういう恰好ができて、すげぇ嬉しいんだよね」

A「...言いたいことは色々あるけど、まぁいいや。続けて」

L「...『ローリスさんっていうんだ… (中略) …大きい人だったなぁ』」

A「あ、もしかしてこれ、俺?」

L「そうそう。髪の毛短くてなんだか新鮮だよね。僕は写真でしか見たことないけど、お前、何十年も前はこれくらい短かったよな」

A「...15年前だよ。確かに、軍隊にいた時はこれくらいの長さだったね。たまには髪型変えてみるか...」

L「お。いいんじゃない?」

A「考えてみるよ。続けて」

L「...『からすくん 誰なの?… (中略) …とっても 笑顔がステキで キレイな人なんだ』」

A「女の子だ! このあと俺がこの子と付き合うんだね!」

L「違う。これ、麻衣ちゃんだよ」

A「へぇ。麻衣ちゃんと付き合うのか!」

L「だから違うって。それに、何度も言うようだけど、麻衣ちゃん旦那さんいるからな」

A「何度言われても俺は気にしないよ」

L「...ばーか。麻衣ちゃんがお前なんか相手にしてくれるわけないだろ。続けるぞ。『この間 偶然見かけて… (後略)』 ...で、あとがきがあって... おしまい。この俳句、めちゃくちゃかわいいよね。僕たちもこういうのを作ったらイメージ戦略として効果的だと思うんだよ...」

A「...童話を読み終えてそういうこと言うな。でも、おもしろかったね。とんたんさん子猫ちゃんに感想を伝えたいな... 話の中に俺も出てくるんだし、彼女のコメント欄にメッセージを残してもいいよね?」

L「...絶対そう言うと思った。いいけど、送信する前に僕にテキスト送れよ。訳してやるから」

A「君に任せたらわざと誤訳するからやだ」

L「しねぇよ。いいから言う通りにしろ。Google翻訳は使い物にならないってさっきも言っただろ」

A「...分かったよ。今 文章作るから、ちょっと待って... ... できた。テレグラムで送るよ」

L「おぅ... って、何これ...?」

Aとんたんさん子猫ちゃんへのメッセージ。ちゃんと訳してね」

L「やだよ! こんなのコメント欄に載せられるわけねぇだろ!」

A「...どうして?」

L「だって、こんなこと書いたら... いいから内容変えろ!」

A「『言論の自由を侵害すんの、やめてくれない? 僕は自分が書きたいことを自由に書くんだ!』」

L「...は?」

A「君はいつもそう言って、俺のことを『腹が出てる』とか『体重100㎏超えてる』とか、あることないこと書いてきたよね?」

L「...ん? どっちが “あること” でどっちが ”ないこと” なの? イタリアはまだ肌寒いから服で体型隠せていいねぇ。なぁ、ちょっとパーカーめくって腹見せてみろよ。僕がジャッジしてやる...」

A「ローリス。さっさと訳せ」

L「...はい」

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