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ヴィーガンを目指す動機

色んな人々がいろんな動機でヴィーガンやベジタリアンになると思いますが、大まかにいってその動機は3つくらいに要約されるようです。

ひとつは環境保護。家畜の飼育に関わる水の使用量からメタンガスなどに至るまで、肉食を避けることにより地球にやさしい食生活を営めると考える人々。

2つ目は畜産動物の置かれた過酷で劣悪な飼育環境から、いわば動物たちを解放しようという考えに基づいてヴィーガンになる人々。

3つ目、自身の健康のため肉や酪農製品等々を摂取しない人々。

私の場合は動物愛護の観点が大きな理由ですが、3つ目の自身の健康のためというのががよく分からなかったりします。何か欠落しているように思えてなりません。

そもそも1944年に設立されたイギリスのヴィーガン協会は「人間による生体解剖や狩猟、労働、畜産物や食物と、その他動物搾取に関連する動物の利用を無くすことを目指す」と誓約しています。

もちろん何のためであれ肉や酪農製品を避ける人々が増えることはうれしいことではあるのですが.....

ただこの辺の根本的な部分の理解なしにヴィーガンと自任してよいのか?という疑問が湧きおこります。

中には自身の健康どころか流行りだからヴィーガンになるという方もいるかもしれません。

世の中にはヴィーガンのためのレストランがあり、ある面おしゃれなスポットのようですが、もしかしたら普段は肉を口にする人々が、「今日は趣向を変えてヴィーガン料理でも食べてみようか」というノリでそういったレストランを訪れる可能性もあるかもしれません。

ヴィーガンの料理を提供するレストランに行くという感じではなく、日常的に家庭で食べる料理からまず肉を排除していきましょうというスタンスの方がうなずけます。

そしておしゃれなヴィーガンレストランがポツリポツリとできるのではなく、身近なところにあるファミレスなどでプラントベースの料理が提供されるようになった方が、ヴィーガニズムの広がりには大きな影響を及ぼすと思います。


先日私はピーター・シンガーという方の書いた「動物の解放」という本を図書館から借りて読み始めたのですが、恥ずかしながら第1章を読み終えることもなく早々に挫折しました。哲学などの訳書にありがちがな、読み進めるのに非常に骨を折る内容だったというのが主な理由です。
(加えて字が小さい!)
版を重ねているかもしれないので、もう一度トライしようとは思ってます。

それでもこの本の冒頭の部分に述べられていた大事な個所が心に残ります。

ピーター・シンガーはこの著書の中で、”種差別”により抑圧されている動物たちを解放することが必要だと主張しています。

白人が黒人を差別し、男性が女性を差別したのを当然視していた時代があったように、人間という種が、人間以外の動物という種を差別しているのが現況であると。

そして差別されているかどうかの判断基準として「苦しむことができるか否か」を提示しています。

環境保護ももちろん大事だとは思うのですが、その前に現時点で苦しんでいる動物たちがいる。その一点は忘れてはならないと思うのです。


ところで、ヴィーガンレストランのお店で働く人々はすべてヴィーガンなのでしょうか?
あくまでも仕事としてそうしたお店に勤めているだけであって、日常生活では肉を摂取しているという方もいるような気もします。

大豆ミートの製品開発や製造に携わる企業の社員が皆ヴィーガンではないのと同じ構図かもしれませんね。



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