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【あがり症】相手に意識を向けて話すことの困難さ

あがり症の方のための、
人前で話す練習会(あがっていいとも!)を
主催しているロン毛です。


今日のテーマは、
「相手に意識を向けて話すことの困難さ」
です。


人前で話している最中に、
自分に意識が向くと緊張してしまいます。


で、こうなった時の対処法として、
以下のようなものを聞いたりします。


たとえば、

「相手に意識を向けて、
 “言葉を届ける”イメージで話しましょう」

とか、

「相手に、意識の矢印を向けましょう」

といったもの。

(聞いたことのある方も、
 いるかも知れませんね。)


私も、過去にこの方法を試したことがあります。


しかし、うまくいかなかった、、、


なんなら、余計に緊張してしまった。


今回は、そうなってしまう理由について
書きたいと思います。


なぜ、聞き手に意識を向けて話すことが困難なのか?


私が考えるには、2点あります。


1、緊張して、それどころではない状態だから。

2、緊張をコントロールする行為だから。


それでは、一つづつ見ていきましょう。


1、緊張して、それどころではない状態だから


私の場合、
「相手に意識を向ける」こと自体が
難しかったです。


なぜかというと、
緊張に圧倒されてしまうことが多く、
それどころでないから。

(身体の反応に、思考が釘付けになる感覚)

・情動的覚醒は思考を支配し制御する。(P360)

・われわれが情動でひどく苦しんでいるときには、それは何か重要なこと、おそらく生命をおびやかすことが起こっているからであり、脳のもつ資源と手段の大部はこの問題に費やされる。(P357)

エモーショナルブレイン
/ジョセフ・ルドゥー


上の引用文に書いている通りで、

緊張によって、
思考がハイジャックされたような
状態になってしまうことが多かったです。


そして、それだけに止まらず、
さらに緊張が高まることもよくあった。


どういうことかというと、

過去にトラウマ体験のある
あがり症の方は、

身体反応と、ネガティブな感情が
紐づいている場合がほとんど
だと思います。


ひらたくいうと、
「心臓のドキドキ感→→→恐い!」
みたいな紐づけですね。


こうなれば、身体反応を感じた時に、

「パニックになったらどうしよう」
「恥をかいたらどうしよう」

といった、不安を強める思考が
自動的に出てきてしまう。


結果的に、自らの思考によっても、
緊張を高めてしまうんです。

情動が生じたあと、感情ならびにその感情と「関係する思考」が生じる。

(※情動とは、身体反応を伴うような一時的で急激な感情の動きのこと。)

感じる脳(P102)
/アントニオ・R・ダマシオ


2、緊張をコントロールする行為だから


脳内に、「扁桃体」という
アーモンドに形が似た器官があります。


この、扁桃体は、人にとっての
「危険感知センサー」みたいな役割。


身に迫った、
「嫌悪すべき状況」を素早く察知し、
闘争や、逃走に備えて身体を変化させます。

嫌悪すべき状況を扁桃体が感知すると、自律神経系を含め身体の中のあらゆるシステムにスイッチが入る。引き続き、自律神経系が副腎を活性化することで、アドレナリンが血中に放出される。(P247)

・恐怖症の対象物と出会うと、扁桃体は刺激を無意識のうちに感知し恐怖を身体的に表現する。(P303)

エモーショナルブレイン
/ジョセフ・ルドゥー


さて、話を戻して、

人前で話す時に、
「相手に意識を向ける」のは何のためか?


それは、これ以上、
緊張しないようにするためですね。


裏返すと、そうしないといけない、
“危険な状況(嫌悪すべき状況)”に、
自分が置かれている、とも言えます。



するとどうなるか?


この”危険な状況”を察知した扁桃体は、
さらに身体を緊張させてしまいます。



このように、
ついつい良かれと思ってやることでも、

扁桃体にとっては嫌悪刺激になり、
逆に緊張を高めることは結構あります。


このことは、本当に知っておいた方がいい。


これを知っておかないと、

緊張しないようにすればするほど、
緊張してしまうという、
悪循環におちいりますからね。



最後に


今回紹介したように、私の場合、
相手に意識を向けて話すことは困難でした。

(むしろ、逆効果でしかなかった。)



ちなみに、現在の私はどうかというと、、、


割と、相手に意識を向けて
話せるようになりました。


しかし、それは、
意識してやっているのではありません。


「緊張しても、どーでもエエわ」
という気持ちになれた結果、
意識せずともできるようになってきた感じです。


ということで、私は、
「どーでもエエわ」をオススメします!


最後に告知です。


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(関連リンク)
なぜ緊張を受け入れるべきなのか?

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