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第三章 選択〜普通の町で〜

その町の駅前はロータリーになっていて、市内を走り回るバスの停留所やタクシー乗り場があり、その広場の周りに新しい建物のデパートとか、しゃれた小さなファッションビル、ホテルの看板を出した建物とか、煉瓦作りのポーチをもつイタリア・レストラン、それに舗道にテーブルを持ち出したオープン・カフェのレストランなどがあった。ここがどんなところなのか、それを知るのが先決、このあたりの地図でももらえれば、と考えて彼は駅の改札口のキップ切りの駅員に観光案内所の所在を尋ねた。田舎町のこと、あらかたの乗降客が改札を通っていってしまった後で、初老の駅員はメガネをずらして新聞を読みながら、お茶を喫み、美味そうに煙草を吸って一人で時間を潰していた。

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