マガジンのカバー画像

『一九九一年未刊詩集 青春』

11
人に読ませることのできる詩を書けるようになったのはおそらく、十七歳か十八歳、高校三年生か大学一年生のころのことだと思う。人に読ませることのできる文章を書けるようになった時期とほぼ…
運営しているクリエイター

#図書館

『一九九一年未完詩集 青春』

『一九九一年未完詩集 青春』

 01 序 詩人論01

この作品を純粋無垢な[詩集]と考えるのには、多少の無理があるかも知れない。まず、書いた本人が純粋の詩集として読者諸氏の鑑賞に耐えるだけの自信がない。最初、詩集のつもりで編集を始めたのだが、長い作業のなかで性格変化していった。よくよく読み込んでいくと、この詩集はじつは著者の個人的なドキュメントというか、ノンフィクションの装いをまとったフィクション小説であるのかも知れないから

もっとみる
詩集『青春』 作品32〜作品33

詩集『青春』 作品32〜作品33



【作品32】約束の日

暗く長い日々の果てに
巡りあった異形のもの
柔らかくうごめく闇に
仮面を付けた顔を埋めて
ひとよ
折れた膝のこころが味わう
愛の屈辱をわたしも愛そう

強いられた日々の果てに
ある朝訪れた異形のものよ
あなたもわたしに聞くのか
街に住む全ての人間たちについて
彼らの犯した全ての罪について

そうだ わたしこそ人間の世界の
もっとも醜悪な部分につながるもののひとりだから

もっとみる