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『一九九一年未刊詩集 青春』

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人に読ませることのできる詩を書けるようになったのはおそらく、十七歳か十八歳、高校三年生か大学一年生のころのことだと思う。人に読ませることのできる文章を書けるようになった時期とほぼ…
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#岬

『一九九一年未完詩集 青春』

『一九九一年未完詩集 青春』

 01 序 詩人論01

この作品を純粋無垢な[詩集]と考えるのには、多少の無理があるかも知れない。まず、書いた本人が純粋の詩集として読者諸氏の鑑賞に耐えるだけの自信がない。最初、詩集のつもりで編集を始めたのだが、長い作業のなかで性格変化していった。よくよく読み込んでいくと、この詩集はじつは著者の個人的なドキュメントというか、ノンフィクションの装いをまとったフィクション小説であるのかも知れないから

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詩集『青春』 第一章 作品01〜03

詩集『青春』 第一章 作品01〜03



【作品01】 八月の風

恋人よ
八月の風はあまいか
八月の光は視界にきらめくのか
教えてくれなくてもいい

いや 教えてくれ
わたしたちがついに訪れなかった
八月の海の光をあなたは知っているか

八月の日の光は熱い
わたしたち自身が太陽でありたいと願い
ついに発光体ですらありえなかった
わたしたちの皮膚に
八月の日の光はみじめに熱い

野望は潰え
情念は虚しく枯れて

人よ
八月の海の伝説に

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