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I et.al.
2021年2月17日 01:35
死と生の間にはじつは境界なんて存在しなくて、それは陸続きの、明るい昼の散歩のような強度で入ってゆける。思い出のグラデーション、極彩色の陥穽のトンネルを抜けると、そこは黒い白の世界で、まさに、白が黒いこと以外はこの世と変わらないんだ。風は黒、雲は黒、傷口は白、花々は黒、脳漿は白、燻っている肉体の白―。唯一色彩を持っているのは、くちびる。無声映画の鮮烈な白と黒のほとばしりの中に、ひとすじの紅が咲く。
2021年2月10日 22:03
風景は折りたたまれる。時間と、人物と、そして言葉とともに。けれどそれは墓標ではなく、なお生きているうねりである。わたしたちの心を織りなし、わたしたちに折々の想い出を見せてくれる。少しずつ織物を編む。彼の言葉が、彼女の面影が、消えない確かな感触をもって、あざやかな色とりどりの糸となって、編まれる。綴られる。虹を架けるように生きる。地球をすっぽり覆うよう