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農村ホームステイの意義

超久し振りにブログを書きます。
おそらく文章力が相当低下していると思うのですが、ちゃんと書けるかなー?

よし書くか。

農家民宿(体験型民宿)を始めて今年で13年目になりますが、うちの宿泊者の客層は次の4つに分類できます。

利用者数が多い順に挙げていきます。
①都会のファミリー層
②農村ホームステイ(都会の中高生)
③インバウンド(外国人旅行者)
④①~③に該当しない層(友達同士やカップル、一人旅など)

このうち②の農村ホームステイ(都会の中高生)に焦点を当てて、運営側目線からこのタイプの宿泊施設の魅力について説明します。
こういった宿泊施設の需要はこれからまだまだ伸びていくと思うので、参入を検討している方の参考にもなればと思います。

コロナで一時中断した時期もありましたが去年から完全に受け入れを再開しました。
毎年毎年、何故都会の中高生たちをホームステイで預かっているかというと “やりがい” という一言に尽きます。

1回の受け入れで預かる生徒は4~5名、滞在は基本的に一泊なので、預かった日の翌日お昼前に生徒たちを送り出しますが、その時の生徒たちの表情を見ると、こちらも充実感で満たされます。
「帰りたくない」とか「大人になったらまた泊りに来るので僕のこと絶対に覚えといてくださいよ」とか。
本当にそういう反応の子達が多いんですよ。

彼らに何をしたのかって?
一泊二日一緒に過ごしただけです。
ただその内容が彼らにとっては刺激的で内容が濃いんです。
私にとってはいつもの日常の暮らしです。
私のいつもの日常に彼らを巻き込んでいるだけです。

彼らは都会の中高生です。
今まで絶対に経験したことが無いようなことをうちで経験したり、ビックリするような話を聞いたりして帰って行きます。
それも演出ではなくリアルです。私のガチな日常に彼らを巻き込みます。

その日によってやることは異なりますが、例えば田んぼや畑での作業(植え付けや草むしりなど)、これはごく普通ですよね。生徒たちもそれを想像して泊まりに来てますから。
でもうちの場合、農作業だけでは終わりません。

農作業後、「一緒に犬の散歩に行くぞ」というとみんな喜んで付いて来ますが、すぐに普通の犬の散歩ではないことに気が付きます。熊五郎と一緒に山の中をひたすら走る(笑)。

野球部やサッカー部の生徒でも音を上げます。
生徒「あとどれくらいですかー?」
私「まだ半分も来てねーよ」
生徒「散歩っていうか走ってますよね、これ毎日してるんですか?」
私「そうだよ♪ 体力つくよ♪」

そしてヘトヘトになっている終盤、滝へ行きます。疲れが吹き飛んでテンションMAXです。
私「凄いだろ♪ ここ俺のお気に入りの場所なんだよ」

またある時は解体した鹿の頭や内臓、骨といった廃棄部位を山奥へ埋めに行く作業を一緒にします。
全員にスコップを持たせてひたすら穴掘り作業です。
鹿の廃棄部位を埋めて線香を立てて、みんなで手を合わせて帰ります。

鹿の有害駆除の現状やなんで俺がこういう活動をしているのかをちゃんと説明します。
「駆除したら食べる、それが当たり前の社会を作る」
3年前にこの熱い想いをぶつけた弁論大会で優勝した時の賞状です。

夕食は囲炉裏を囲んで焼肉&鹿汁です。
夕食のときも色々な話をします。のちほどご紹介します。

翌朝は送り出すまでに時間があれば “てっぺん公園” まで散歩に行きます。いや、熊五郎も連れて行くので朝からみんなでランニングです。
そして到着したら魔法のホウキを使ってみんなで空を飛びます。

まぁ、うちにホームステイに来た生徒は滞在中にこういった経験をして帰っていくわけですが、数週間後に必ず手紙が届くんですよ。
だいたいの学校が3泊4日の修学旅行で、そのうちの一泊がホームステイというケースが多いです。残り二泊は観光地へ行ったり宿泊も旅館やホテルだったり、残り二泊はいわゆる修学旅行の定番プログラムです。
届いた手紙にこう書いてくれる生徒たちが結構います。

「3泊4日の修学旅行でホームステイが一番楽しかったです」

そう言ってくれるのが俺は本当に嬉しいよ。
でもそうだよね。
俺が逆の立場(都会の中高生)でも絶対にそう思うもん。

自給自足の暮らしをしてるとか言ってるし、農作業して疲れてるのに犬と一緒に山の中を走らされたり、滝を見に行ったり、自分で捌いたという鹿肉が夕食に出てくるし。
こんなぶっ飛んでる面白い大人と一緒に過ごすって、俺が彼らの立場でも絶対に楽しいって思うもん。

このホームステイ事業、元請けの会社があって、うちのように受け入れを希望する農家が手を挙げて生徒たちを預かるのですが、年間の受け入れスケジュールが終了すると地区ごとに反省会が開催されます。
元請け会社の社長や担当者を交えて、各自反省点や共有した方が良い情報などを話し合う場です。

その反省会で、この地区ではなく別の地区で残念なことがあったという話が社長からありました。
当然、具体的な話は出来ませんが、生徒との向き合い方を間違えた受け入れ農家がいて、一人の生徒が心に傷を負って帰っていったという話でした。
話の通りだとすると98%受け入れ農家が悪い、残り2%は生徒にも態度に多少の問題があったんだろうなという2%です。
話を聞いていて胸が痛くなり、その生徒うちに来ればよかったのになぁ・・・ と思いました。

囲炉裏を囲んでの夕食時、生徒たちと色々な会話をしていると先ほど言いました。
これから生徒との会話の例を紹介しますが、もちろん名前を書くわけにはいかないので、実際は名前で呼んでいる所を “君(きみ)” という表現を使います。
ちょっと冷たく聞こえるかもしれませんが、そういう訳ですのでご了承ください。

また、私がYouTubeやインスタをやっていることは生徒たちに結構言っていますが、ブログを書いていることは誰にも言っていないので、たぶんうちに来た生徒たちはこのブログを見ていないと思います。
でももし見ている生徒がいて、えっ、この話俺のことかもって思ったら、そうだよ君のことだよ☆

囲炉裏を囲んで何を話しているかっていうと、思春期の多感な時期ですからね、恋愛相談されることが結構あります。
この手の話って、こういう時代ですから大人から生徒たちに振るのはNGです。
女子生徒は当然のこととして男子生徒にも「お前彼女いるのか?」なんて絶対に言ったら駄目ですからね。

相談されたときだけ自分が答えられる範囲内で話すようにしています。
って、恋愛の達人のような振りをしていますが、この手の相談をされたときに必ず生徒たちに前置きを伝えます。

私「俺はバツ2だからな、俺に恋愛相談しても無駄だぞ」
私「それに君のお父ちゃんと俺はたぶん同じくらいの歳だぞ、お父ちゃんに恋愛相談なんてしないだろ」

っていう前置きをするんだけど、どうしてもこの話がしたいみたいで、
生徒「壬生さんてモテますよね?」
私「モテないっつーの」
生徒「でもバツ2ってことは2回結婚している訳だからやっぱりモテるじゃないですか?」
私「いや、モテるかどうかと結婚は関係ないんだよ、モテなくても結婚は出来るんだよ」

こういうやりとりをしながらも一応、何を相談したいのか聞きました。

生徒「付き合っている彼女のことが本当に好きで別れたくない、何か気を付けた方がいいことはありますか?」
私「そうだな~、じゃあ俺に出来なかったことをやりな」
生徒「何ですか?」
私「相手の話をちゃんと聞いてあげな」

私「そうすれば彼女は君を信用してくれると思うよ、彼女にとって君が世界一信用できる人間になれば絶対に離れて行かないよ、まぁ俺には出来なかったんだけどね(笑)」
私「君なら出来るよ」

この日は4人うちに来ていたのですが、全員、しおりにメモしている姿が微笑ましかったです。
しおりの自由記載欄に「相手の話をちゃんと聞く」とみんな書いていました。

子供相手にいい歳した大人が何を言ってるんだか~、と思われるかもしれませんが、自分は真面目に答えています。
「俺は君のお父ちゃんと同じくらいの歳だよ」と言いつつも、そういう話をしてくれるくらい親しみ易いのかな~、って思うと嬉しいです。

また別の生徒たちには、やはり夕食時に私のこれまでの生い立ちなんかを話しました。
「小学生2年生か3年生くらいのときには将来田舎に移住することを決めていたし、みんなの歳(中学生)の頃なんか早く家を出たくて仕方なかったよ」

夕食が終わって台所で食器を洗っていると、一人の生徒がトコトコと近付いてきて相談したいことがありますと。

私「どうした?」
生徒「自分は将来何がしたいのか見付からないんです」
私「中学生なんだからそれで良いんじゃないの?」
生徒「でも壬生さんは早くに将来やりたいことが見付かったじゃないですか? どうしてですか?」
私「俺はちょっと変わっている子供で自立心が旺盛だったんだよ」
生徒「将来のことを考えるヒントが何か欲しいです」
私「親が居ない世界を想像してみな」

私「今は親の保護の元、何かあれば親が守ってくれるでしょ? この先もずっと親と一緒に居れると思ってるでしょ?」
生徒「はい。親が居ない世界なんて考えたことが無いです」
私「このまま健康な体でいれば、必ず親の方が先にあの世へ行くんだよ、親を頼れない自力で生きていくしかない状況が遅かれ早かれ来るんだよ」
私「親が居ない自力で生きていくしかない世界をたまに想像してみな、そうすれば何か見えてくるかもよ」

またある時は、やはり夕食時に鹿肉を食べながら鹿の有害駆除の最大の問題点(駆除した鹿を9割廃棄処分している)を説明しました。これをどうにかしないといけない。そのために自分は活動している。
学校名を言うと多くの人が知っているレベルの東京の超名門進学校の生徒たちが相手です。
後日届いた手紙にこう書いてありました。
「この問題について両親とも話をしました、将来、壬生さんのことを助けたいです」

もう涙が出るくらい嬉しかった。

こういうことなんですよ、都会の中高生を預かるホームステイって。
私ら受け入れ側に課せられているミッションって結構重要なんですよ。
相手は多感な中高生ですからね。
うちでの滞在を終えてお別れをする際に伝えています。
「みんなが普段接している大人って限られてるよね、お父さんお母さん、学校の先生、塾の先生、でもみんなのような多感な時期に全く違う世界で全く違う価値観で生きている大人と触れ合った経験て、今後必ず財産になるよ」

これだからやめられないんだよな、この仕事。
今年もどんな生徒たちがうちに来るのかな?
楽しみで仕方ないです♪

今回のブログはこれで終わります。
また近いうちにブログ書きますね。
次回は “移住計画” についてたぶん書きます。
実は数年前から、この土地を離れて移住したいという想いが芽生えていて、理由は家の周辺でこれからリニアの大規模工事が始まるからです。
その辺について気持ちを書こうと思います。
それでは。

農家民宿ひがし 公式HP


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