まっくらなよるに

軽く自己紹介したところで書くことがない
ネタ切れである。どうしましょう。

と、言うことで適当に書く。
突然だが私には弟と妹がいる。六歳下と八歳下。少し歳が離れている。
元々幼い頃の私が「妹が欲しい」と言い出したため、一人っ子計画をやめた両親によって生まれた二人だ。「妹じゃないね」の弟と待ち望んでいた妹であるが、何故か可愛いのは弟の方だ。
どうも私は妹でもね弟でも良くて、「お姉ちゃん」と呼んでくれる存在が欲しかったようである。
弟は穏やかで正直兄弟で1番可愛い顔をしている。母似だ。
我が家にはゲームがない。その代わりに彼の趣味はyoutubeでゲーム実況を見ることだ。どうやらマイクラが好きらしい。
妹は要領がよく人付き合いも上手い。マイペース極める長女(私)とおっとり素直な優等生()の長男からは一人系統が違う。しっかりしているが「あんたお笑い芸人目指してるの?」と言いたくなるような末っ子だ。

今回はこの三人にまつわる話。
高校一年の夏。巨大な台風が日本を襲った。私の家は内陸地にある。その台風で木が薙ぎ倒され電柱をへし折り、電線をぶつ切りにした。近隣は停電状態となった。
見た目ふわふわな母は外見の通り箱入り娘なのだがその一方でガッツ溢れる逞しい人間であり、サバイバル知識が豊富である。父との出会いがスキーとキャンプのサークルだったと言うことからして大変お強い。まさしく鬼子母神様である。
その母が我が家のキッチンで頭にヘッドライトを装着し夕飯のチャーハンを作っている姿(我が家は停電になった時のことを考えIH式にしていない)をシュールだと皆で笑い転げた後にそれは起こった。
母のチャーハンとフライドポテトでお腹を満たし、台所で沸かしたお湯を風呂場に運んで湯浴みをし、森の中にある我が家は真っ暗である。今でこそ多少拓けているが、あくまで緑豊かな別荘地。幼い頃の私を、此処が魔女の森で私は魔女なのだと言う空想に持っていくのには十分過ぎる雰囲気のこの地。日が傾けば直ぐと夜になる。
停電の為当然灯りはない。宿題もできずやる事がないので我々三兄弟は早めに寝ることにした。特に私は明日学校でクラスマッチを控えている。
母を除く四人の寝室。奥から順に私弟父妹の順で寝ていた。父は寝相の悪い弟と私のバリケードである。
私は自分の布団に向かっていた筈だった。足元に何やら重みのある布の塊があった。私はそれに思い切りつまづいた。
体が宙を飛んだ。幼少期に顔面アタック達人の称号を得ている私は顔を強打しないようにと手を前に出した。床や部屋の奥にある箪笥までは距離があった筈だった。
激しい衝撃が私の頭を襲った。
まるで舞台照明の白がいきなり目一杯集中したかのような眩しさが瞼を駆け巡る。
声にならない悲鳴が二つ上がった。私と、弟である。声変わり前の弟と私の声はそっくりであった。妹が私の足元で「おんなじ悲鳴の声っヒィ〜〜〜〜」と悶えていた。

一体何が起こったのか。事は単純ではあった。
まだ妹は階下にいると思い込んでいたが、一足早く寝室にいた彼女がタオルケットに包まっていた。
彼女の定位置ではなく父の定位置に。
私は迷いなく暗闇を奥へと進み自分の寝床に行こうとした。妹の定位置を避け、父の定位置を通過して。
そこで妹につまづいた。
自分の寝床を整えていた弟の頭がその先にあった。
弟は石頭である。
私も、弟には及ばないが一般的に言えば石頭の部類に当たる。
よって悲劇は起きた。

つまり戦犯は妹であった。
笑い転げ続ける末っ子が上二人の怒りを買ったのは言うまでもない。
とは言え末っ子にあまり制裁を加えると親に叱られる。特に歳の離れた長子である私が割を食うのだ。その為末っ子に痛い目を見せられず、甘やかされる彼女は益々のさばっていくのだ。
そして台風の季節になるたび妹はこの一件を持ち出す。すると我々兄姉は痛々しい記憶を掘り起こされて思わず頭を抑えるのである。

クラスマッチはどうなったか?さて記憶にございません。

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