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後期高齢者のキッザニア

「来世は異世界に転生するあなたが後悔しないようあらかじめ現世で体験しておいていただきたいんですよ」

 訪問販売すらやってこない儂のアパートにやってきたのは、訪問販売員の方が信頼できそうなほど胡散臭い女だった。
 西洋の女神のような格好をした女はパンフレットを儂に押し付けた。

「ふむ……まあ、仮にあんたの話を信じるとして、なんじゃその間違いのない人生を遅れるようにってのは」

 どうせ暇だから儂が話にのってやると女は首をかしげながら答えた。

「だって間違えたでしょ、人生?」

 ぐ、と儂は言葉に詰まる。事業の失敗、借金、婚約破棄。儂の人生は確かに後悔塗れだ。

「ちなみに転生後の人生に婚約破棄コースもありますけど」
「絶対イヤじゃ」
「ね? そういうミスマッチがないように、転生後の人生を体験してもらいたいんです。ま、キッザニアみたいなものですよ」

 この歳でまだ将来のことを考えなければならんとは。生涯現役どころの話ではないな。【続く】

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小説等を書いています。代表作は「偏差値10の俺がい世界で知恵の勇者になれたワケ」