「プロダクトは添えるだけ」ログラス代表の布川が"製品を売らない"理由
こんにちは。ログラスの布川です。プロダクトローンチから9ヶ月が経過しました。最近SNSの発信やnoteの手がひたすら止まってしまったのも、本業に追われていたからだとお察し下さい・・・笑
皆様のGWの読み物として、今までずっとファイナンスキャリアだった自分がお客様にサービスについて説明する、セールスをするという新しい経験をする中で、少しセールスに関する、今の自分考え方をまとめたnoteを出そうと思いました。
このnoteは、セールスパーソンだけでなく、ログラスのお客様や製品に関心のある方、これからログラスに入ることを少しでも検討頂く方、起業を目指している方にもお読み頂きたい内容になっています。
いわゆるテクニック!!みたいなnoteでは全くないので、その辺期待せずでお願いします。どちらかと言えば、0→1フェーズで創業社長がやるべき泥臭いフェーズについてと、ログラスという企業のセールスに対する向き合い方について記載しているnoteになります。
真の課題からひたすら逃げていた
Loglassローンチ前、β版を引っさげて様々なお客様になりえる企業様にヒアリングという形でお時間を頂きました。恐らく100社は確実にヒアリングしました。
β版とはいえ、既にご契約を期待できるレベルの製品にはなってきていたため、とても関心を持っていただける企業様にはご契約の話しもする前提でした。
当初の私のヒアリング・商談の進め方はこうでした。
①自己紹介も特にせず、会社説明を始める(投資家ピッチと同じ資料で)
②企業様の業務フローをお伺いする(所謂、状況質問)
③「課題はありますか?」と聞く(問題質問的な何か)
④デモはしない、スライドで機能イメージを伝える
⑤「もし興味があればお声がけ下さい」で締めくくる
いかがでしょうか?
はい、そうですね。全くダメです。
当初、私はヒアリングだから・・・という謎の枷を理由に、お客様と本当の意味で向き合うことから逃げていました。
その時出会ったのが、向井さんと石井さんです。
2人ともセールスの一流人材です。
この2人から当時言われたことは正直正確に記憶していませんが、唯一鮮明に覚えていることは
「これはピッチであって、セールスではない」
ということです。ピッチとはあくまで投資家や大衆に向けて行われるものであり、領域の当事者であるお客様からすれば自明のことを延々と説明されたり、自分と関係のない話をされる事はストレスでしかない訳です。
さらに言えば、お客様が一番聞きたいことは、自分の今の問題がどう解決され、どんな理想の世界に行けるのか?でしかありません。にも関わらず、状況質問をされ、明確な問題質問もない、示唆質問もない、そんな時間を過ごしてログラスから製品を買いたいとは思いません。
特に自分の中で反省が大きかったのが、問題の掘り起こしと理想の定義です。私自身も経営企画として経営管理領域・FP&A領域を担当していましたが、仮に布川の分身みたいな人がやってきて、スラスラと理想と今の問題を話せるかと言えば、そんなことは全くなかったと思います。
これが非常に重要で、殆どのビジネスパーソンは自分の業務の問題と課題と理想の違いを日々明確にしながら生きていません。私自身もそうでした。
※問題と課題の違いについては以下のnoteが参考になります。
つまり、先程のプロセスの③である「課題はありますか?」というワードを発するだけの課題深堀りには何の価値もないということです。もしここで、「問題と課題は●●とxxなんですよね」と即答できる方がいれば、その方はその問題を解決する方法を既に用意している可能性が極めて高いか、極めて優秀であるが故にセールスには製品のデリバリーだけを求めている可能性があります。
問題は今起きている事象であり、課題はあるべき姿と現状のGAPなのです。セールスは必ずお客様の理想の姿を描く必要があります。
そして、その理想とのGAPこそが真の課題です。
最初はひたすら機能の説明をしていた
さらに、肝心なサービスに関する説明も結構なひどさだったと思います。今も改善がまだまだ必要なフェーズなのですが、当時はさらに残念な感じでした。以下、過去のプロセスを再掲します。
①自己紹介も特にせず、会社説明を始める(投資家ピッチと同じ資料で)
②企業様の業務フローをお伺いする(所謂、状況質問)
③「課題はありますか?」と聞く(問題質問的な何か)
④デモはしない、スライドで機能イメージを伝える
⑤「もし興味があればお声がけ下さい」で締めくくる
製品の説明は④ですね。なんとスライドで製品、特に機能の説明をひたすらしていたのですね。これではまるで、武器屋で剣を買いたい人に、防具や弓も含めて説明しているのと同じです。しかも、実物ではなくカタログしか見れない状態と同じです。
これでは製品の良さはおろか、論点が発散してせっかくのヒアリングも台無しです。
極めつけの投げっぱなし
お客様は会社にとっては株主や従業員と同等の会社にとって何よりも大事な存在です。にも関わらず
⑤「もし興味があればお声がけ下さい」で締めくくる
という対応はあまりに杜撰な対応です。
現在のログラスでは必ず、ディスカッション終了後にその日に簡易な議事録と次回以降の進め方についてご案内するようにしています。もちろん次回の進め方はお客様と同意したもののみを記載しています。
エンタープライズクラウドサービスの購入は、オンラインで1クリックで購入したり、自販機でジュースを買うのとは全く違います。セールスが介在する意味は、大きな理想・課題・問題に対するソリューション・サービスを購入するための材料を揃え、意思決定へのプロセスを整えることができるようになることです。これをやらないセールスはサービスとは呼べません。
・・・・
とここまでは通り一遍なセールスとしての反省を書いてきましたが、ここから先は創業者だからこその持論を書きます。異論は認めます。
黎明期SaaSプロダクトは"売ってはいけない"
意味わからんという方もいるでしょうが、売ってはいけないんです。
プロダクト自体を売ろうとしたら負けます。
どういうことかと言えば、プロダクトを売るのではなく、自分自身や会社そのものを売ることが何よりも大事。ということです。
どれだけ実績が伸びていても、どれだけ素晴らしい技術を使っていても、新しい製品というのは常にチャレンジャーであり、どんな企業であっても信頼性の高い製品を採用したいと思うのが自然です。
そんな中で、お客様にとって自社のサービスが最高だと確信した上で、なぜ自分がこのサービスを創り上げる必要があるのか?を強く認識し、訴求することが求められます。
逆にお客様の視点から見た場合は、
「あなたはこの製品を絶対に成功させる覚悟がありますか?そしてどうやって弊社に圧倒的成功をもたらしますか?」
と創業者やセールスに問うべきです。実際は、この問いに結果として100%の確率で応えられることはないでしょう。残念なことに、1年後に解約することもあるでしょう。しかし、その言葉に会社全体がまっすぐと向き合い、導入決定後も全力で社をあげてサポートしてくれるかどうかはこの質問に対する応答で見抜くことができます。
これからスタートアップを考えているセールスの方の視点から見た場合は、
「自分自身を売る自信はあるか?プロダクトではなくミッションを売ることができるか?」
この問を自分に投げかけて下さい。
なぜ、そのスタートアップで自分がソリューションを販売するべきなのか、なぜミッションに強く共感できるか。これをせめて頭の中でもいいので整理できなければ、製品を売ることは全くできず、苦しい日々を過ごすことになるでしょう。
逆に、もし自分の原体験や創業者との会話の中で得られた強い共感が自分を奮い立たせ、歩くミッションとして自分自身を昇華できるのであれば、あなたは千載一遇の好機を得たと言えます。そしてその機会は一生巡って来ない可能性すらあります。今すぐにでもその会社に飛び込んで、世界を変えることをオススメします。
自分自身を売るとはどういうことなのか?
例えば創業者である私であれば、以下のnoteに記載のあるような内容をお客様に共感して頂けるかどうかでLoglassに関心を持つかどうかがほぼ決まります。
1人目のセールスであれば、ビジョンに共鳴し、共鳴するに至った原体験を含む自分自身を如何にお客様に伝達できるか?で勝負が決まります。
そう、黎明期のSaaSセールスにとって、「プロダクトは添えるだけ」なんです。お客様の理想に強く共鳴し、今の問題点を誰よりも鮮明に理解し、そこに自社の製品がたまたまマッチすればご契約頂く。これが理想です。
『スラムダンク』 第31巻
井上 雄彦 (著)
出版社 : 集英社
スラムダンク (31) (ジャンプ・コミックス)
SaaSは超長期的な価値提供が何より大事であり、ベンダーではなくパートナー
ログラスが取り組む領域は日本中の企業の経営の中枢である経営管理領域です。本記事をお読み頂いた方で、少しでも以下のような理想に共感頂けるセールス、CFO・経営企画の方がいらっしゃいましたら是非布川までお声がけ下さい。
「ログラスが目指すのは全社員が一体となって業績の向上に取り組む『スクラム経営』の実現です。日本初のエンタープライズ向けコーポレート・インテリジェンスとして、経営管理領域の課題を圧倒的に改善することで、日本全体で700兆円以上ある株式価値を圧倒的に引き上げ、数十兆円レベルのインパクト創出を目指していきます」
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