映画〈ストーリー・オブ・マイライフ:わたしの若草物語〉
長女メグ(エマ・ワトソン)、次女ジョー(シアーシャ・ローナン)、三女ベス(エリザベス・スカンレン)、四女エイミー(フローレンス・ピュー)。主人公の次女ジョーの女性作家としての人生とマーチ家4姉妹の美しい時代を描いた映画〈ストーリー・オブ・マイライフ:わたしの若草物語〉を鑑賞した。このnoteは映画のネタバレを含んでいる。
Netflixでは2月13日で配信が終了することになっているため、まだ観ていない方はお早めに!
原作の『若草物語』は昔読んだことがあったが、長女メグが結婚するところまでしか読んでいなかった。映画の終盤でエイミーとローリーがフランスからの帰国前に婚約・結婚をすませていたのには驚いた。映画の中で、ローリーが「My wife…」と言ったところで、「今、wifeって言ったよな、、、」とジョーと同じような反応をしていた。
『若草物語』は言わずもがなの古典的名著であり、作者のルイーザ・メイ・オルコットの姉妹や家族との出来事が元になった物語だ。オルコットは次女ジョーであり、堅実なメグ、優しくおとなしく最期は病で亡くなるベス、快活で画家になるエイミーの3人の女性たちは彼女の姉妹のことだ。
(青空文庫からも『若草物語』は読むことが可能です)
売れる本を書くためには主人公が結婚するハッピーエンドが必要
映画ではラストのシーンは「結婚した」とは明確には言わないが、著作に対して建設的な批判してくれたベア(ルイ・ガレル)といい関係になる。が、出版社で編集者と著作権と印税の話し合いをするときにジョーは「(商売がうまくいくように)主人公を結婚させたんだから」と言う。
物語中では主人公は結婚したが、現実的には結婚をしたわけではない、ということで、ジョーたちが設立した学校のシーンに切り替わる。そこには、メグとメグのパートナー、ジョン、エイミーとエイミーのパートナー、ローリー、そしてジョーとジョーのパートナーらしきベアが幸せそうに学校運営をしている様子がある。
結婚だけが女の幸せではない
エイミーが氷の池で落ちてしまう場面やベスが亡くなる場面には本を読んでいた時も衝撃的だった。やはり可愛い可愛い小さい妹が憔悴し亡くなってしまうのは辛いし、自分の後ろをついて走ってきた妹が冷たい池の中に落ちてしまったのも辛い。
映画のなかで一番心打たれたのは、ジョーが結婚の話をする場面だ。結婚するつもりはないし、そんなことを露とも考えてこなかったジョーが自分の寂しさを母親にだけ吐露する。
最後の ”I’m so lonely” の切なさに涙が出る。
「たまらなく寂しい」けどその寂しさが、結婚で癒えるかはわからない。
自分の作家としての成功のほうがこの上ない幸せかもしれない。
それ以上に、ジョーは家族みんなが幸せだったことが自分自身の幸せだったのかもしれない。
ジョーのこの「寂しさ」は20代後半独身の私にはなんとなくわかる。結婚や妊娠出産だけが女性の幸せではないとわかっていても、そういう幸せもいいなと思っているところもある。強く生きようとしても、弱くなってしまうところもある。
でもそれが人間らしくていいのかなとも思ったりする。
オルコットは1888年に父親の死後数日でこの世を去る。
その時代に「結婚だけが女の幸せじゃない」といい結婚せずに家族を支えながら生きたオルコットは幸せだったんだろうか。(苦労が多かっただろうけどきっと幸せだったよね。)
彼女は自分自身の人生を満足に生きれたかな、と思いを馳せながら映画の感想をおわりにしよう。
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