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大阪市咲州メガソーラー入札に関しての考察3

本事案に関して状況が混沌としてきた。今後、大阪市で百条委員会が設置されての追及が必要だろうが、選挙前のプロパガンダとも思える抵抗の構造が露わになってきているのだ。普通に考えて、この様なプロパガンダは、あらゆる意味でマイナスにしか働かないのだが、選挙までの短期間逃げ切りを狙っているとしか思えない。論点すり替え、非論理的強弁が増える困った状況になっている。

最初に明確にしておきたいが、本事案は次の二つの視点に分けて検証するべきである。

1. インフラ事業における国防上のリスク
2. 前述のリスクを発生させた構造上の問題性有無

これ以上でも以下でもない。

もう少し突っ込んだ整理をすると、1のリスクがある前提でその対処法の議論の入り口として、本リスクが埋め込まれたプロセスを解明し再発防止含めた議論が必要という事である。つまり1のリスクなど無いと言い切れば、2の検証は不要である。

しかしながら、1のリスクを否定できないなら、現状指摘されている事実を前提に、2の当事者に説明責任が発生するのである。それは今後の再発防止、現実リスクの低減策の為に、当事者でしか確認できない経緯も調査・究明し、説明する事がスタートなのである。それはアカウンタビリティ(説明責任)の基本であり、リスクコミュニケーションの鉄則だからだ。

2の当事者とは、当然ながら当時の責任者、現任の責任者、拡大するならば両社に共通する政党・政治組織以外にあり得ないだろう。

<説明責任を果たすべき当事者の反応の問題性>

当事者である当時の市長、現任の市長はこれまで前述の国防上のリスクに触れてこなかった。否、正確に言うと、それは国政の問題であり、自治体の立場では責任はないという論旨の発言に終始している。

そして当事者が所属する維新の幹部・国会議員、維新を応援する人達(当事者達のステ垢が含まれているとの噂もある)を中心に、今行われている擁護論は、1に関しては基本一切答えない、或いは国政の責任と責任転嫁して自信を蚊帳の外に置いている。その前提で、2に関して違法性は無く、通常行われている入札であり、外資参入は国の責任である。追及したければ具体的証拠、違法性を示せと論点をずらしてツイッターなどで執拗に絡んでくるのだ。

誰かの責任を追及する事が目的ではなく、国防上のリスクを低減する事が目的なのに、その論点は逃げの一手、証拠を出せ一択なのだ。

そもそも証拠と言っているのは、違法性の立証を指しているのだろうが、何度でも言うが、違法性の有無は二の次なのだ。そもそも違法性を立証するのは公的に捜査が行われ、司法の判断に委ねられるのが当然であり、魔女裁判を行うものではない。

いやむしろ、違法性の無いプロセスが国防上のリスクに通じるのならば、その方が問題の根は深い。早急に立法措置が必要であり、遡及出来ない現在の状況にも時間をかけてでもクリアする方法論を模索する必要があり、リスクに向き合った低減策が必要なのだ。

従って、橋下徹氏や維新は、明確に「国防上のリスクは無い」と言い切れば論理は通じるだろう。その場合、ドイツのエネルギー政策の失敗から転換した事実を学ぶ姿勢の欠落が問題視されるだけで、一部の国会議員が維新こそは経済安全保障を予てから訴えて来たと言う趣旨の発言と矛盾し、虚言に等しかったと評価する以外に無くなってしまうだけだろう。

日本の国益視点で、問題に向き合う姿勢が無いのは嘆かわしい限りなのだ。

参議院選挙直前の陰謀論を振りかざす擁護派もいるだろうが、だからこそ、維新としてこのリスクに向き合い、与党を追及出来る絶好のチャンスだったのが、自己保身に奔走、違法性が無ければ問題ないとの事なら、健全野党としての地位は危うくなって当然であろう。国民をバカにしない方が良いだろう。

<検証が必要な事実関係整理>

検証が必要である事実関係は

・    一帯一路として公表される(発電)事業が日本中に広まっている
・    大阪咲州の実績が日本全国に水平展開(前例踏襲)した
・    大阪咲州では発電事業ではなく土地賃借として入札された
・    大阪咲州土地賃借入札は舞洲での発電事業入札とスキームが異なる
・    大阪咲州案件の応札は1グループでありながら予定価格が公開された
・    大阪咲州案件落札社と異なる事業者が後から参入している

等であろう。これに対して当初の橋下徹氏の反応が、「WTOルール」「入札は適正」「外資排除は出来ない」「違法性はない」「当時の市長は知らない」「外為法申請で国政マター」「証拠を出せ」等、子供じみた強弁に終始し、一切問題解決に向かうどころか、責任はない論が展開された。

この時点で既にリスクコミュニケーション観点では完全アウトであろう。

違法性有無等は問題の本質ではない。今の状態が国防上のリスクと認識するか否かが問題であり、当時はどの様な判断が行われたのか、現時点でどう判断するべきと考えるのか。問題であればその事態に陥っている原因究明し、問題解決に向かうべきなのだ。

それこそ国政の問題で手の打ち様がなくとも、問題意識があれば、大阪市民に問いかけ、問題提起すれば良かったのだ。得意のマスコミを使えば良かったのだ。それをしていないという事は、問題意識が無い証と言われても仕方が無いだろう。

そして何より、肝いりで絶対儲かる事業であり、地元に利益を還元するべき事業とまで言っていた事業を舞洲の様な入札形態をとらず、人目に触れにくい土地賃借とした。確かに土地賃借であれば入札期間が短かったり、告知が最小限だったりは当然かもしれないが、儲かる事業が前提なのだから、土地賃借の形態をとった判断自体が疑惑を持たれる大元であろう。

それこそ副市長案件であろうとも全く本質には関係しない。

基本的にサイレントインベージョンと言われる静かな侵略は、違法性の無い脱法的行為をプロセスとして使うのが常套手段である。違法性が無い、証拠を出せと言う論法は、意識していようとそうでなかろうとも、結果としてサイレントインベージョンを手助けする行為なのだ。

本質論から目を背けず、煙に巻く強弁に騙されずに、客観的事実による健全で論理的かつ建設的な議論環境が保たれなければならないだろう。その環境を破壊しようとする輩に与する事はあり得ない。


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