六甲茂子(ロコモコ)短歌集ーコロナの時代(その3)
予想をはるかに超えて、今でも続いているコロナ禍をテーマにした歌をまとめました。その1、その2に続き、相変わらずの粗製乱造ぶりですが、今の気持ちを忘れないために…
突然に押し寄せる余波コロナ禍のなす術もなく逃げ切れもせず
マスクとはほんの少しの思いやりたとえ見知らぬ土地と言えども
毎朝のマスク選びも楽しみにニューノーマルな通勤姿
あの店もこの店も去りもう二度と戻らぬという夏が来るのに
本来の島の姿と旅人がもたらす富とのジレンマに泣く
パタパタと暦はめくれ髪は伸びマスクしたまま歩みゆく夏
掌に明日への祈り握り込め耳澄ましつつ道探る日々
されどなお笑顔絶やさず穏やかに地に足つけて今を生きねば
淡々と生ききる強さ自らが選んだ道に誇りを持って
我が街が日毎に歪むあたたかな笑顔がマスクで見えないうちに
これはもうジョークにあらずあの人も昨日検査を受けたと聞いた
駆け抜ける時間の尻尾がむしゃらに掴んで手繰り寄せつつ祈る
2月から白紙だらけのカレンダーめくる頻度も日々はやくなり
週明けと思っていたら金曜日仕事は卒なくこなしているが
毎日のマスク選びもいつからか惰性となりて濃色ばかり
もう真夏けれど心は3月の戒厳令時に留まったまま
単調な日々の中でもされどなお湧き出てくるは希望というもの
ジリジリと気づけば包囲されていた心の準備整わぬままに
毎日の小さな幸せ束ねつつ光差す場所へそっと飾ろう
ジリジリと寄ってこないで2メートル空けておこうよお互いのため
目覚めたらコロナの前に戻ってた…なんて奇跡があってもいいのに
すぐ先の未来も見えぬ希望など口にするのも憚られるが
厳しいな真綿で首をゆっくりと締められるようこのコロナ禍は
(以上23首)
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?