LOCALBOOSTERローンチにあたって-地域から価値をつくる-
こんにちは。
Coelacanth代表の佐藤です。
独立してはじめてのサービスをローンチします。LOCALBOOSTERと言います。これまでの友人・知人はご存知の通り、こういう時の私の文章は長い。しかも、すごく長い。笑
今までは長いんで読まなくていいです、と書いてきました。でも、今回は、できたら最後まで読んでいただきたいです。私の想いと関わってくださった全てのみなさまへの感謝、いろんなものを120%注ぎ込んだサイトです。よかったら、ぜひ最後までお付き合いください。
1. 地域から、価値をつくる
このサイトは“茨城”をフィールドに
「ローカルでチャレンジしたい」「⾃分の価値観に根差した暮らしをつくりたい」そんなひとを応援するサイトです。
出会いの掛け算で、アイディアが・地域が・誰かの⼈⽣がBOOSTする。誰かのチャレンジが、新しい価値を作り出す。
茨城で、自分だけの一歩を踏み出す、最初の⼊り⼝へようこそ。
これは、LOCALBOOSTERの最初のコピーです。
このサイト、そしてここに至るまでの活動は、12年間住んでいた東京・神奈川の仲間やご縁で実行できました。この体験がいまの私をいろんな場面で支えてくれています。
そして、この活動に命を吹き込むことができたのは茨城で出会った、仲間やつながりのおかげです。
東京か、地方か、ではない選択肢
このサイトがそうですが、東京か、地方か、ではないんです。東京と地方と。なんです。コモンズ投信の渋沢健さんが「これからは『と』の時代」とよくおっしゃっていますが、その通りだと思います。
マイナス×マイナスはプラスだし、ひとのネットワーク、エリア間のネットワークこそが価値を生み出す時代がすぐそこに来ていると思います。長野県佐久市のみなさんが言っている、東京から90分圏で「ローカルシフト圏をつくろう」というのもとても面白いと思います。全部、自分で、とか、おらが町じゃなくていいんです。足りないものは出し合えばいい。寒い時は茨城で、夏は長野で。それが毎年変わっても。伊豆でも、湘南でも。それでいいと思います。日本で減っていく人口を取り合うのではなく、日本のすてきなひとをつないで、世界をみて、新しいことをつくっていくことが必要な時代だと感じています。直感的に。
首都圏と地方の関わり方もだいぶグラデーションが出てきました。仕事で月1関わるのもよし、週末二拠点もよし、移住もよし。何もかもも捨てて一大決心で地方にいくのではなく、足りないものを補完し合う関係になれたらいいなと思い、このサイトを作りました。
参勤交代があった江戸で、出会いと文化の化学反応が起きていたように、ローカルで、都市で、日本の至る所で、出会いと文化の化学反応が起きる時代に。
2. このサイトがやりたいこと、3つ。
① 学び/職業選択の幅を広げる。地域とのかかわりしろをつくる
② ローカルでチャレンジしたいひとの応援
③ コミュニティの新陳代謝
これが、LOCALBOOSTERでやりたいことです。日本全国で、といっておきながら、なんで茨城がフィールドなの? 茨城がフィールドなのに、なんでサイト名に茨城が入っていないの? ということは、この後書いていきたいと思います。
3. ① 学び/職業選択の幅を広げる。地域とのかかわりしろをつくる
自分自身がそうでしたが、首都圏にいるときに「地域に関わりたい」などと思っても、イマイチ、どうか関わっていいか、何をしたらいいのか、わからないんですよね。それは自分が地方出身者であってもです。東京での仕事もそこそこ忙しいし、茨城のような、東京に近い地方だと、地元の友達も半分くらい東京に出て行ってしまっています。強いつながりといえば、家族くらい。
でも、そのときに、ふと、地方や地元に気が向いたときに開かれている、「ドア」みたいなものを作りたいと思いました。
なぜなら、今、私がこうして自分のやりたいことを言語化できるようになったのも、多くの地域でのさまざまな出会いがあったからだし、地元に帰ってなんとかやれているのも、そういう「ドア」を開いてくれる先輩がいたからです。
私の20代の仕事のほぼ全てが「まちづくり」でした。
そんなまちづくりを通して、たくさんの視点・生き方を知ることができました。
たとえば、長野で林業をしている木こりの方。彼はオーダーメイド家具のための木の伐採などを行いながら、精神障害者の方の就労支援を実施していました。林業や農業は自然の中で行うので、精神面への良い影響もあるのだそうです。今ではまちぐるみでこの活動をされています。
はたまた南伊豆で南伊豆くらし図鑑を運営している友人。
デンマークのヒューマンライブラリーを参考に作られた1対1での暮らし体験コンテンツです。彼自身も素晴らしいし、暮らし図鑑の取り組みを通じて、ネイチャーガイドとして第二の人生を生き生きと過ごされている方や、素晴らしい狩猟の技術を持つ猟師さんと知り合うことができました。今回のサイト制作でもたくさん参考にさせてもらったし、知り合う以上に、人となりがわかる体験をさせて頂いたことで、今では年に数回、その方達に会いにいくために、南伊豆町にいくようになりました。
木こりの生き方も素晴らしい。
ネイチャーガイドも、猟師も。
でも、こういうことのほとんどは、学校では習いません。
そもそも、私は大学に行って、会社に入って、サラリーマンになる以外のお金の稼ぎ方を、想像すらできませんでした。
ですが、生き方はさまざまです。地域ごとの風土に根ざした、驚くほど多様で、豊かな暮らしがあります。
大人になって、その豊かな世界に触れるたび、私は感動したし、
そのひとたちがとても好きになりました。
今だってそうです。
このサイトに協力してくださる方と日々、企画を練っています。梅干し屋さん体験も、日本酒作り体験も。そのひとたちの生業に毎回、新鮮に驚き、そして尊敬します。暮らしや生業の体験をさせてもらうことで、そのひとたちが生み出すものをとても好きになります。
そして、そういう感動を重ねるたびに、こんな素晴らしい体験を自分だけが独り占めするのはもったいないと思うようになりました。
私が、実践の先輩方と触れ合うことで、自分が何に感動して、何を大事に思うのか、少しずつ理解をしていったように、他の誰かにとっても、そういう「ドア」をつくりたいと思いました。
まずは、たのしんで。気軽に。
そういう想いで作った企画が「DIVE LOCAL」です。
学校教育を否定している訳ではなくて、選択肢を増やしたい。考えるきっかけをたくさん用意したい、そう思っています。
4. ② ローカルでチャレンジしたいひとの応援
私がまちづくりをしているのは、単純に、自分が住んでいるまちがたのしくなったらいいな、と思うからです。故郷ってそんなに簡単にぽいっとできないし、それならたのしい仲間が増えてほしい。だから、ローカルでチャレンジするひとが少しでも増えたらうれしいし、応援したいです。
茨城で、新しい挑戦の⼊り⼝をつくる。
でも、等⾝⼤でいい。
さっきも書いたように、やわらかい「暮らし」も「まちづくり」もやっぱりキーになるのは「地域でどう仕事をつくるか」です。
お金は別に悪い物ではありません。稼ぐことも。「生きる」ということは、おそらく、他者と関係性をつくり、その中で何かを受け取ったり、渡したりしながら、暮らすことです。ワークとライフは別々にはできないし、ライフの中にワークは含まれるし、近所のひとに子育てを手伝ってもらうことは、それはワークを効率化させたとも言えるし、ライフを豊かにしてくれたとも言えるでしょう。暮らしって本当は境界線なんかなく、いろんなものがつながっています。そういうつながりの曖昧さと豊かさを、大事にしたいと思っています。
そして、その個人が生み出す小さな豊かさに対して、時に「ありがとう」と言う言葉が発せられたり、お礼の野菜が渡されたり、お金が渡されたりするのです。
そして、その仕組みをもっと自由に、たのしく、学べる・触れる機会を増やしたいと思っています。
チャレンジするひとは、大体不安です。
私だって不安だったし、いまも不安です。最後の会社を退職する前に、友人の家に遊びに行って、自分で決めたくせに、会社辞めるのがこわいと、こっそり泣いたりしました。今も不安になりますが、ばあちゃんがおやつに焼き芋をくれて、それをむしゃりむしゃりと食べていると、こうして元気に芋を食べているし、まあ、すぐに死ぬなんてことはないだろう、と、なんとなくどうでもいいような気持ちになって、また仕事に向かいます。そんなもんです。
で、なんで不安になるのかな? と思った時に、社会にある成功事例がかっこよすぎるからなんじゃないかと思いました。起業しました! 雑誌に掲載されました! とか、なんかキラキラしてるじゃないですか。キラキラでいいんですけど、そのキラキラに至るプロセスが不明すぎて、どうやって稼いでいるのか、どうやってその場所借りたのか、よくわからないことが多いです。
きっとみなさん苦労されているはずですが、キラキラだけ、ほいっと渡されると、そのひとたちが「すごすぎて、よくわかんない」。だから、自分にできるかなあと不安になるのだと思いました。(ちなみに私も先日、友人にキラキラしているように見えるよ、と言われてハッとしました。もう少し、不安になって芋を食べたり、焚き火の準備で小枝を拾ったりしていることを伝えていこうと思いました(?))
だから、今回、DIVE LOCALに協力していただいているみなさんにインタビューをして、本当に等身大のストーリーを掲載させていただくことにしたのです。本当に等身大で、困ったり、悩んだり、でも、確実に、進んでいる。そんな人たちの物語。
それがサイトのSTORYです。体験ページからも読めるし、サイトのメインページからも読めます。みなさんの等身大のチャレンジは、本当に勇気になるし、感動するし、クスッと笑ってしまうし、それがいま不安になっている誰かに届けばいいな、と思っています。
5. なぜ茨城なのか
そう、なぜ茨城なのか。それは、地元だから、でもあるし、そうでもないともいえます。私には、いまは茨城しかできない。が答えかもしれません。
Uターンしてから、自分の拠点が必要だなあと思って会う人、会う人に、「なんかいい場所ないですかねえ」と聞いていました。その時に、10年弱のお付き合いになる大洗の方にいまの場所を紹介していただきました。
その方は私が学生時代に、町中を調査していて、偶然街で出会い、インタビューさせていただいた方です。そして、偶然出会ったその場所が、現在の事務所です。
Uターン当初、そんなに貯金もありません。限られた資金でなんとかやらなきゃというときに、地元のみなさんが「帰ってきてくれたから」と応援価格で場所を紹介してくれたり、いろんなつながりで地元の製材所までたどり着いて、工務店ではなく、製材所のひとと直接相談して、物件の工事をしたり。
地域が私をBOOSTしてくれたし、
外からきた人、帰ってきた人が、地域をBOOSTさせることもある。
それを実体験として経験したからこそ、地域にはまだまだ余白がある、体力がある、と感じました。なんて心強いんだろう、と。
よく衰退する地方、という文脈で語られがちな地方ですが、実は、地方はとても豊かです。土地は広いし、安い。自分たちの食べる食材は自分で作ったり、ご近所さんからわけてもらえたりします。そういう「おかげさま」の経済の中で、そこまでキュウキュウとせずやっているからこそ、「おかえり」と力を貸してくれたのだと思います。
しかし、その「おかげさま経済圏」にはいるには、地元の「水先案内人」が必要です。私も、地域の先輩たちが案内してくれて、今があります。その入り口は自分でも見つけられますが、ちょっと時間がかかったりします。なので私は、地元で、その水先案内人になりたいなと思いましたし、私が地域で信頼して、尊敬している先輩方(各エリアでコーディネーターになって頂いています)の力を借りれば、少しエリアを広げて、茨城県全域でもそれができると予感がしました。
だから、そういう温度のあるつながりを自分がきちんと持てる茨城でなら、チャレンジをしたいというひとを、自信をもって、サポートできる。
茨城しかやりたくないというよりは、そういうことをいま、自分が責任をもって向き合える範囲が、地元だなと感じています。
6. ③ コミュニティの新陳代謝
このように地縁・血縁に助けられてきた私ですが、12年間東京や鎌倉にいて、気がついたこともあります。
かっこいい都市は、伝統を守りつつ、新しいひとを受け入れ、進化しているということです。虎屋の羊羹のように。
たとえば、最後に住んでいた鎌倉も素晴らしい都市でした。鎌倉時代から続く古都であり、長い塀を曲がるたびに時代を超えるような景色が見える街でありながら、常に新しい。日本で最初にPatagoniaが出店したのは鎌倉ですが、鎌倉のPatagoniaやその周辺地域も含めたサーファーの皆さんは、単なる「サーファー」ではなく、サーフィンを中心とした「カルチャー」になりつつあり、「プレシャスプラスチック」であったり、「free Water」であったり、常に新しい取り組みを「文化」として、行っています。
これは古くからいるひと・新しくはいってくる人の代謝が健全で、もしかしたらお互いにわからないこともあるかもしれないけど、ちゃんと相手のスペースはあけてあげる。そういう互いへの配慮があるからだと思います。
だから、このサイトも「DIVE LOCAL」でドアをひらき、もしもここでチャレンジしたい! というひとが出てきたら物理的なスペースもつくる手伝いができるように「SPACE BOOSTER」という機能ものせることにしました。これは空き家などの活用のワンストップサポートです。
私が自分の事務所をつくるときにしてもらったように、地域のみなさんと応援します。(そしてこれが私のメインの仕事であったりします)
7. これからの「超・つながり時代」に
長くなりました。もう少しです。
このように、私は、地元や地域に助けられながら、かつ、外の世界でつながったみなさんにたくさん支えられてきました。
ですが、Uターンしてから唯一、一番気になったことがあります。
それは「機会の格差」です。
東京では、ちょっと今日時間ができたから、と検索すればたくさんの展示やイベントが開催されています。
オンラインで場所や時間、関係なく情報にアクセスできるようになった現在ですが、やはり東京は目の前を通り過ぎる情報量が違います。
また、東京以外にもすてきなひと・事例はたくさんあります。むしろ、小規模な市町村であれば、同規模の市町村を見習った方がわかりやすい例もあるかもしれません。ですが、そういう他エリアの情報も、首都圏にいたときの方が得やすかった印象があります。
だから、その交差点もつくろう! と思いました。
それが、DIVE WORLDです。
他のエリアに飛び込もう。
ちがうエリアとつながろう。
同じ福祉だって、茨城と逗子でつながったっていいし、関東の建築士と北陸の建築士が、家に対して何を考えているのかとか、気になりませんか?
(実はこのコンテンツはすでに協力してくださる方にお願いしているものの、掲載準備が間に合わず、comming soonになっています。面白がって手伝ってみたいみたいな方がいたら絶賛お待ちしています。サイト全体的に…)
いま、日本中で、水の波紋みたいに面白い取り組みがエリアを中心に広がっています。
私は、それがつながって、大きな波を起こした世界に、興味があります。
いっしょに足並みを揃えてってことじゃないんです。
地方に画一解がないように。
これからの「超・つながり時代」に「ローカル」というものに軸足をおきながら、「違い」に向き合う。違いがあるもの同士が出会うことに意味が生まれる予感があります。
いま、その予感に具体的な言葉はありません。
でも、予感があるし、なんだかわくわくする。
これまで対角線上にあると思われていた「ローカル」と「グローバル」が、実はN極とS極のように同じ力で釣り合うことで意味を持ち出す。そういう、どちらが、ではない時代にどんな世界が見えるのか、見てみたい。
伝統と革新、だってそうです。今まで対局だったものが、大きなつながりのなかで意味を持ち出すと思うのです。
工事を手伝ってれた仲間から「森は海の恋人」という本を教えてもらいました。これもまた、一見対局に見えるものの、つながりと循環の話です。
「つながり」や「循環」、そして「違い」。そういうことを考えながら、いっしょに新しい時代の価値づくりをはじめましょう。
出会いの掛け算で、アイディアが・地域が・誰かの⼈⽣がBOOSTする。
誰かのチャレンジが、新しい価値を作り出す。
LOCALBOOSTERへ、ようこそ。
Coelacanth 代表 佐藤 穂奈美
ディレクター×農家。
再開発、古民家再生、空き家再生ファンド、地域参加型まちづくりの仕事を経て茨城にUターン。 まちづくりのほか、「BOOK & GEAR 焚火と本」、LOCALBOOSTERの企画・運営。
写真:安藤”アン”誠起
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