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写真集を自費でつくった裏側の話

2019年の5月に写真集をつくってコミティアで頒布しました。張り切ってつくったので、今後のためにもまとめてみます。
写真集は現在もBOOTHにて通販をしておりますので、気になった方はぜひ。

テーマ

今回の写真集は山奥、人気のない場所、静寂など、自分の好きな風景をまとめるものにしたかったため、テーマは「人と接する静寂」にしました。
タイトルはできあがった最後に付けたのですが、「人目につかないさま。ひっそりとして寂しそうなさま」と「幽玄」から、「幽(かすか)」にしました。

かす‐か【▽幽か/▽微か】 の解説
[形動][文][ナリ]
1 やっと感じ取れる程度であるさま。はっきりとは認められないさま。「—な物音」「—な記憶」
2 生活ぶりなど弱々しく、細々としたさま。「わずかな収入で—に日を送る」
3 姿かたちのみすぼらしいさま。貧弱。
「—なる小さき法師一人をなん具したりける」〈今昔・一七・四四〉
4 人目につかないさま。ひっそりとして寂しそうなさま。
「北の方の—なる御有様をも」〈平家・一二〉

goo辞書

写真の選定

テーマが決まれば、今まで撮りためた莫大な量のデータの中から写真集に入れる写真を選んで行きます。
吟味に吟味を重ねて35枚まで絞りました。

修整(レタッチ)

修整前

写真は素人なので、一発撮りで決めるなんていう玄人の撮り方は私にはできません。私は大抵、上記の写真のように右下がりになってしまいがちです。カメラのファインダーを覗いた時、右肘が内に入り、脇が開いてしまう癖があるせいです。気を付けているのですが、時々どんだけ傾いてるんだよ!という写真が撮れます。そういう歪みをじゃんじゃか直していきます。

修整するデータは一眼レフカメラで撮ったRAWデータです。JPEGより情報量が多いのが特徴です。そのRAWデータをAdobe Camera Rawで調整し、最後にAdobe Photoshopで再度調整しています。Adobeは仕事で使用しているためお零れに預かっています。ワハハ。

修整後

色合いに関しても、緑色は印刷すると色がくすんでしまうため、若干グリーン強め+明るめで修整していきます。この修正後の写真は一度印刷してもらいましたが、全体的に暗かったため明度を上げた結果こんなえげつない感じになっています。でも印刷された写真はめちゃくちゃ綺麗なんですよ!

表紙装丁

ロゴはAdobe Illustratorで制作し、Adobe Photoshopで組んでいきます。Adobe InDesignやAdobe Illustratorがあるならそちらの方が良いのではと思われる方がいらっしゃるかもしれませんが、InDesignが苦手で使えないのと、私のIllustratorはWeb特化型にしていて72ppi・pxへ変更しているため、紙面のデザインがしづらいんですよね…。ということで、 Illustratorより融通の利くPhotoshopくんに頑張ってもらいました。

使用したフォントはModernist Milk Font、衡山毛筆フォント草書、筑紫Aオールド明朝 Pr6Nの3種類です。Modernist Milk Font、衡山毛筆フォント草書はフリーフォントなので無料で使用ができます。

タイトルフォント欧文:Modernist Milk Font

タイトルフォント和文:衡山毛筆フォント草書

本文フォント:筑紫Aオールド明朝 Pr6N

組版

テンプレートを何種類かつくり、写真を差し込んで版を組みました。こんな感じになりました。

表紙・裏表紙

色校正

さあ入稿して印刷!の前に、色校正(略して色校)を出してもらいました。

商品の印刷を行う前に、事前にデータの不具合や色の調子を確認するための校正を「色校正」といいます。

グラフィック
光の三原色

パソコン等のモニター上で見ている写真を印刷してみると、「あれ? 色が違うな?」となる体験は誰しもが経験することだと思うのですが、モニターで使用されている色はRGB(レッド・グリーン・ブルー)の3色であり、この3色は『光の三原色』と呼ばれ、混ざれば混ざるほど色が加算され、白に近付くのが特徴です。加法混色と呼ばれています。

色の三原色

反対に、プリンター機器で使用されているインクはCMYK(シアン・マゼンタ・イエロー・ブラック)で、この内CMYの『色の三原色』は混ざれば混ざるほど黒に近付く減法混色です。(CYMKのKはBLAC"K"のKではなく、黒がキーカラー(key color)と呼ばれるため)
そのため、RGBの色彩をCMYKで表現するのは困難です。最近はRGB印刷ができるようになったりと、色の差異は昔ほど顕著ではなくなってきていますが、今だにRGBの色をCYMKで再現するには難しいのが現状です。

この色の違いをなすくため、本印刷前に仮で同じ紙に印刷することを『色校正』、業界的には『色校』と言います。色校で出した写真を見て、モニターで印刷した時の色を考えながら調整していきます。

入稿

色校で満足いく色になりましたので、入稿します!

印刷所:株式会社 グラフィック

本のサイズ:A5
ページ数:24P
表紙用紙:コート 135kg
本文用紙:マットコート再生紙 135kg

完成!

完成です!(※スマホで撮ったため、実物とは色味が違います)
初めての写真集にしては満足いく仕上がりになったのではないかなと思います。ぜひみなさんも写真集をつくってみてくださいね。

一応テンプレートは置いておきます。(※psdファイル)

写真集は現在もBOOTHにて通販をしておりますので、気になった方はぜひ。


2024/07/02 追記

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