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ブロックチェーンとSDGsの関係について調べてみた

はじめまして!
SNSマーケティングエージェンシー、株式会社コムニコのバオです!
私は、ベトナム出身でハノイ工科大学を卒業した後に、2015年に来日しコムニコに入社しました。プロダクションデザインチームのエンジニアとして、自社プロダクトの開発と不具合対応を7年間担当しています!

1.はじめに

今回弊グループの「バトンを繋いで#SDGs Challenge」の31番目の走者としてバトンをもらいました。近年、ブロックチェーンが話題になっているので、持続可能な開発に向けてブロックチェーンの技術がどのように活用できるのかを今回調べてみることにしました。

「ブロックチェーン白書2019」の調査結果によると仮想通貨を知っている人の6割が「ブロックチェーンを知らない」というデータがあります。

コマーシャル等の広告を通じてビットコインについて聞いたことがある人は多いと思いますが、その中で使われているブロックチェーン技術についてはよく知らない、もしくは「ブロックチェーンはすごい技術」という印象はあっても、具体的なイメージまでつく人は少ないのかもしれません。

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参考元:CoinDesk Japan 仮想通貨を知っている人の6割が「ブロックチェーンを知らない」──ブロックチェーン白書調査

2.ブロックチェーンについて

実はブロックチェーンの定義は定まっておらず、時と場合、人によってさまざまな解釈でこの言葉が使われていますが、こちらのブロックチェーンのまとめ方がわかりやすいと思います。

“参加者の中に不正を働く者や正常に動作しない者がいたとしても正しい取引ができ、改ざんが非常に困難で、停止しない、多数の参加者に同一のデータを分散保持させる仕組み”
(引用元:FUTURE STRIDE 【保存版】超わかりやすいブロックチェーンの基礎知識

ブロックチェーンの特徴は、一部のコンピューターで取引データを改ざんしても、他のコンピューターとの多数決によって正しい取引データが選ばれるため、記録の改ざんや不正取引を防げる点にあります。

取引データを収集管理する大規模コンピューターを必要とせず、コンピューターが分散型ネットワークで構成できるため、低コストでの運用が期待されています。

また、ブロックチェーンは特定の管理者がいなくても取引データの信頼性を保てるため、非中央集権の仕組みとしても成り立つようになっているのが大きな特徴です。

ブロックチェーン技術は仮想通貨だけでなく、食品の安全性や生産者、流通の経路などが分かる食品管理や、アーティスト、ギャラリー、オークションハウスなどが分かるアート作品の証明などにも活用できるそうです。

【ブロックチェーンの特徴】
* 改ざんが非常に困難
* システムダウンが起きにくい
* 取引の記録を消すことができない
* 自律分散システム

ブロックチェーンのメリット・デメリットもご紹介します。

【ブロックチェーンのメリット】
* システムがダウンしにくく、継続性が保たれる
* システムに掛かるコストが少ない
* 改ざんするのが困難で、セキュリティ性が高い
* 取引の透明度が高く、マイニングも可能である
【ブロックチェーンのデメリット】
* 記録されたデータを削除できない
* 処理能力と障害耐性を両立しにくい
* 将来的には、役に立たなくなる可能性がある

3.持続可能な開発に向けてブロックチェーンの技術がどのように活用できるか

UNDP(国連開発計画)の公式サイト内の「Beyond bitcoin」というページには、SDGs達成に向けたブロックチェーンの活用方法を6つのカテゴリに分けて解説しています。

'Bitcoin' is what often comes to mind when you hear about blockchain. But this technology has more potential to support...

Posted by United Nations Development Programme - UNDP on Saturday, January 26, 2019

①金融包摂のサポート
世界では現在、約17億人が銀行口座を持つことができませんが、ブロックチェーンで実行されるアプリケーションによって、より安く、より速く、よりダイレクトな送金が可能になります。

これはSDGsの169のターゲットの以下に貢献します↓
8.10 国内の金融機関の能力を強化し、全ての人々の銀行取引、保険及び金融サービスへのアクセスを促進・拡大する。

②エネルギー・アクセスの環境向上
世界では未だ10億人ほどの人が十分な電力にアクセスできていません。
太陽光発電などの再生可能エネルギーや、スマートメーターなどのIoT機器を活用することで、ブロックチェーンは未だ電力にアクセスできていない人々により早く電力を届けることができます。

これはSDGsの169のターゲットの以下に貢献します↓
7.b 2030年までに、各々の支援プログラムに沿って開発途上国、特に後発開発途上国及び小島嶼開発途上国、内陸開発途上国の全ての人々に現代的で持続可能なエネルギーサービスを供給できるよう、インフラ拡大と技術向上を行う。

③生産と消費責任
効率的で透明性の高い生産と消費が行われるために、ブロックチェーン技術で、生産から消費までの過程の追跡やセキュリティ管理を低いトランザクションコストで行うことができます。
例えば、カカオ栽培企業が仕事に対して公正な報酬を受け取れていない問題に対して、消費者はチョコレートに入っているすべての成分を追跡し、それが公正かつ持続可能な方法で調達されていることを確認できるようになるのです。

これはSDGsの169のターゲットの以下に貢献します↓
8.4 2030年までに、世界の消費と生産における資源効率を漸進的に改善させ、先進国主導の下、持続可能な消費と生産に関する10年計画枠組みに従い、経済成長と環境悪化の分断を図る。

④環境保護
環境保護ドメインでも適用の可能性は探られています。例えば、レバノンでは年間960万本の樹木が燃やされ、森林面積の13%しか残っていない現状があります。
そこで、ブロックチェーンを用いたクラウドファンディングプラットフォームを作ることで、より多くの民間企業や個人などから投資を受けることができるようになるのです。

これはSDGsの169のターゲットの以下に貢献します↓
15.1 2020年までに、国際協定の下での義務に則って、森林、湿地、山地及び乾燥地をはじめとする陸域生態系と内陸淡水生態系及びそれらのサービスの保全、回復及び持続可能な利用を確保する。

⑤法的アイデンティティの提供・維持
危機的状況や極度の貧困状況では、身元の証明がなければ、危険から離れて援助、医療、法的保護にアクセスすることは非常に困難です。
そこでブロックチェーンを用いることで、難民や移動中の移民など、IDのない人たちの医療も、デジタルIDを作成することでより効率的に援助が受けられるようになります。

これはSDGsの目標3「すべての人に健康と福祉を」に貢献します。

⑥寄付の効果向上
UNDPは多額の寄付金を流通させている組織です。そのため、ブロックチェーンを活用し、高価な仲介者を必要とせず、また透明性ある取引を行うことで、資金を増やし、新しい資金調達の場を作ることができます。

これはSDGsの169のターゲットの以下に貢献します↓
9.a アフリカ諸国、後発開発途上国、内陸開発途上国及び小島嶼開発途上国への金融・テクノロジー・技術の支援強化を通じて、開発途上国における持続可能かつ強靱(レジリエント)なインフラ開発を促進する。

4.マイニング(採掘)による電力消費問題について

ブロックチェーンのメリットに「マイニングも可能である」と書きましたが、マイニングが抱える問題について調べてみました。

マイニングとは、ブロックチェーンにブロックを保存する前に、仮想通貨のネットワーク内にいる人間から確認作業が入ります。この確認作業のことを「マイニング(採掘)」と呼びます。そしてマイニングを行う人間を「マイナー(採掘する人)」と言います。
マイナーはマイニングに成功すると、報酬として仮想通貨を獲得できるようになっており、マイニングで報酬を得られるのも、ブロックチェーンのメリットと言えます。

ただ、仮想通貨のマイニングには高性能なコンピューターが大量に必要になるので、ビットコインの採掘プロセスで必要となる多大なエネルギー消費を巡る問題が指摘されています。

例えば、米電気自動車大手テスラのイーロン・マスクCEOは、環境懸念を理由に、テスラ車購入時のビットコイン決済停止を発表しました。マスク氏は「マイニングがより持続可能なエネルギーに移行したら、同社はビットコイン決済を再検討する」と述べています。

“ケンブリッジ大学の研究者らがまとめたビットコイン電力消費指数 (Cambridge Bitcoin Electricity Consumption Index 、CBECI) によれば、ビットコインの「マイニング(採掘)」の過程で消費される総エネルギー量は今年、128テラワット時に達する可能性がある。”
これは世界の電力生産量の0.6%を占め、ノルウェー一国の全電力消費量を超えるほどだそうです。
引用元:日経XTEC https://xtech.nikkei.com/atcl/nxt/column/18/01162/00108/?P=2

5.おわりに

人類が直面している大きな社会課題を解決するために、このテクノロジーを活用し取り組んでいるイノベーターがすでにたくさんいることはとても心強いことです。
ブロックチェーンの技術によって、透明で効率的な社会が実現することを期待しています。

私の今の仕事は、ブロックチェーンと関係はありませんが、いつか、社会に役立つブロックチェーンの技術を適用するプロダクトを開発していきたいと思います。

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