【インタビュー対談】食品ロスを減らすために、企業で、家庭でできること
こんにちは!
ラバブルマーケティンググループのSDGs推進を担当している相澤です。
もうすぐ夏も終わり。
夏休み期間中、子どもがいる中での仕事はなかなか大変でした💦
それも間もなく終わりだと思うと嬉しい反面、一緒にいる時間が減ると思うと寂しくもあり、複雑な親心です😅
さて今回の記事は、「食品ロス問題ジャーナリスト」の井出留美さんをお迎えして行った勉強会レポート第2弾として、井出さんと弊社代表 林との対談の模様をお届けいたします!(以下敬称略)
→前回の記事はこちら
1、海外と日本で異なる“持ち帰り”文化。「消費者の8つの権利と5つの責任」とは?
林:本日はありがとうございました。まずは、海外と日本の違いについて伺います。
海外では消費期限や賞味期限に対して何か問題があった際、メーカー側の責任を問わず、個人が責任を持って自身で判断する文化があるように感じますがいかがでしょうか?
井出:消費期限や賞味期限はもちろんですが、一番大きく違うと感じるのは“持ち帰り”に対する考え方だと思います。注文して余った食材に対し、海外では自己責任のもと持ち帰ることは当たり前で、私が以前住んでいた常夏の国のフィリピンですら持ち帰ります。
林:そうですよね。食べきれないときは個人の責任のもと持ち帰らせてもらいたいと思っていますし、値段が同じでもいいので量を減らして欲しいと思うことがよくありますが、飲食店側のルール上対応してもらえないところも多くもどかしく感じます。
このような文化や考え方の違いは教育が関係すると思いますがいかがでしょうか?
井出:そうですね。消費者は権利を主張する権利があるとともに、責任も生じていると自覚することが大切だと思います。
日本では、中学校の家庭科で「消費者の8つの権利と5つの責任」を学んでいます。以前は男子学生は技術を習い、女子学生は家庭科など、性別で履修する内容が違ったのですが今は性別関係なく教わります。
家庭科は生活する上でとても大事なことが書いてある教科なので、もっと重視されてもよいと感じます。
林:家庭でできる教育はありますか?
井出:“食べること”は死ぬまでついて回ることなので、人の根っこにあるものだと思います。食卓での食事や買い物の仕方など伝えられることがあるのではないでしょうか。
特に、家庭の食品ロスを減らすには買い物の仕方が重要だと思います。
新型コロナウイルス感染症が拡大し始めた2020年春頃、日本を含めた各国で「食品ロス」が減ったというデータがあります。
各国がロックダウンし、日本では消費者庁が「買い物は少人数で行きましょう」、小池都知事が「買い物は3日に1回程度にしましょう」と訴えました。買い物がしにくい状況下で、私たちは、家にある食材で作ったり、ないものだけ買い足したりするなど、買い物の仕方の変化が起き、それによって食品ロスが減少したと考えられています。
2、プラスとマイナスの側面、トレードオフをどう捉える?!
林:社会や環境によいことをしたいと思っている人は多いと思います。
しかし難しいのが、プラスだと思って行っていた行動が実はマイナスの側面があり、そのことによって何を行えばよいのか分からなくなる、そのような人も多いのではと感じます。
例えば勉強会で紹介されていた、消費期限が近づくにつれて値段が下がる「ダイナミックプライシング」はとてもよいことだと思いますが、RFID(電子タグ)を使います。それには半導体が使われ、半導体を作るには相当の水が使われると考えると、どっちが環境によいのか…。
このようなトレードオフの問題にぶつかることはありませんか?
井出:ありますね。プラスチックを減らすと食品ロスが増えるのではないか、またその逆も言われることがあります。
例えば、醤油の密封ボトルは開栓後から90日間も美味しい状態を保つことができます。ですが、キャップをとって中をゆすいでリサイクルすることはできますが、手間がかかるので、使った人全員がそうするとは限りません。そうすると、結局、ボトルを捨てることになります。
それでも食品ロスを防ぐことができればプラスが多いと、アメリカやイギリスで言われることがあります。
難しい問題なので相対的にみる必要がありますね。
林:井出さんが話されていた「3Rには優先順位があってリデュースが一番重要」ということが学びになりました。当たり前のことですが、とにかく生産量を減らすという軸を持つことはとてもシンプルでわかりやすいと思います。
井出:企業にとってもそこを追求していくことが、コスト削減につながり、結果的に利益率をあげることにつながるので大事だと思います。
3、マーケティング会社としてできること、「Love me」を目指す!
林:マーケティング会社としてクライアントの商品やサービスに対して消費行動を促進し、結果的に生産を促す側面がありますが、弊社ができることはどのようなことだと考えますか?
井出:イギリスの大手スーパーマーケット「TESCO」の姿勢が参考になるのではと思います。「TESCO」では、パック入りサラダを「1個買うより2個買う方がお得」などのバンドル販売をしていました。しかしその売り方では消費者が必要量以上の食材を購入することになり、食品ロスにつながっていることがわかりました。それは倫理的な売り方ではないということで結果的にバンドル販売をやめました。
広告と広報の違いを表すときに「広告はBuy me」「広報はLove me」と言われますが、「Love me」を目指すことで結果的に買っていただけるような流れを作ることがよいのではないでしょうか。
林:そうですね。弊社の社名である「ラバブルマーケティング(愛されるマーケティング)」はまさにそこを目指しています。
4、食品企業でなくても食品ロスに寄与できる!
林:企業として他にできることはありますか?
井出:備蓄をしている企業でしたら、入れ替えのときに、フードバンクや生活困窮者支援に寄付をするなどは、食品企業でなくても食品ロスに寄与できるのではないでしょうか。
食品を無駄にしない、社会貢献を行っている企業としてPRにもなります。
栃木県にあるパンの缶詰を製造されている「パン・アキモト」さんは、賞味期限が残り1年未満になったら回収し、飢餓地域や被災地へ届けるプロジェクトをされているので、そういったところから購入するのも一つですよね。
林:私たちでも取り組めそうですね。また事業の面でも、情報発信を通して企業様をアピールすることは弊社の得意領域になるので、そのようなご支援をするのも弊社ができることの一つだと思いました。
5、おわりに
「私も社会を良くしたいと思って経営していますが、難しい問題に対して前線で取り組んでいらっしゃる井出さんのリーダーシップに対しても学ぶことが多かったです。私も井出さんと同じくらい、社会的にインパクトのあることを行いたいと思いました。本日はありがとうございました。」
と、最後に林から井出さんへお礼を伝え、対談は終了しました!
次回は先日実施した勉強会の模様を9月に投稿しますので、お楽しみに✨
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