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東京

田中さんと出会って20年くらいだと思うんだけど、細かい年月は定かじゃない。そういえば、田中さんの年齢も何となくしか知らない、仕事の内容も、趣味や好きな食べ物も、何となくしか知らない。

何となくしか知らないけど、気兼ねなく喧嘩し、グサッとアドバイスをもらい、楽しく食事をして愉快にお酒を飲める。

くっきりしなくても何となくで良い。

田中さんから「東京はどんなところ?」という宿題をもらった。

僕は東京生まれ東京育ちで、父も東京、祖父も、その先も先祖代々東京だ。練馬区だけど。

練馬区は東京だけど江戸じゃない。新宿行くなら所沢の方が楽だし、新幹線よりレッドアローだ。

大学になると全国各地から、同級生が東京にやってくる。東京出身と言うと、憧れと敵対の目をされる。そして練馬とわかると、ちょっと鼻で笑われる。いやいや、気持ちはわかるけど人口70万人よ!そう思いながら苦笑いしてやり過ごす。

東京にくる人は東京の人より東京を知っている。おしゃれなお店も素敵なカフェも練馬の僕より知っている。思い描いた東京を体験したい、気持ちがある。やっぱりこれが憧れの街、東京だ!って。東京をくっきりさせたいんだと思う。六本木でワイワイしている人、渋谷でガヤガヤしてる人、新宿でワッショイしてる人、何割が東京生まれの人なんだろう?きっと東京って街はみんなのイメージや憧れを崩さないように、周りの人が造り上げた街なんだと思う。

たまに「東京なんて、住むところじゃない」「東京は空が汚い」「東京は冷たい」なんて聞く、その通りかもしれないけど、そこがふるさとの人もいるんだよ!って思いながら武蔵野の練馬に帰る。

武蔵野のからしてみると江戸のことは何となくしかわからない。くっきりは、わからないけど、何となくくらいがちょうどいい。何だかよくわからなくなっちゃったけど、続けることに意味があるから、こんな感じで。

最近はめっきりだけど、よく二人で探検と言う名の散歩をしていた。

ゆみちゃんへ「散歩」でよろしくー

                                                                                   (小林知之)



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