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パリ市内の移動手段は自転車利用が自動車を上回った

case | 事例

パリ地域研究所の最近の調査によると、パリ市内の移動手段はすでに自転車が自動車を上回っており、全移動の11.2%を自転車が占めており、自動車は4.3%に過ぎなかった。ラッシュアワーの時間帯でも、自転車での移動が18.9%を占め、車での移動は6.6%にとどまった。同様の傾向は、パリ郊外と中心部間の移動にも見られ、全移動の14%を自転車が占めており、自動車は11.8%となっている。調査は、GPSトラッカーを装着することに同意した首都圏の住民3,337人を対象に実施されたもので、最も多い交通手段は徒歩で、全移動の53%を占めた。市によるとパリでは12年間で自動車交通量が40%減少したという。また、パリ市内の128ヶ所で収集したデータによると、2022年から2023年の間に、自転車専用レーンの利用はピーク時では倍増している結果となっている。

パリは既に自転車に特権を与えるインフラで埋め尽くされているとも言える。2021年時点でパリには自転車交通のために整備された施設が1,000km以上あり、残りは自動車との共用レーンか、地面にペンキが塗られただけのレーンであったが、2026年までに市当局は市全体を自転車での移動に適したものに変革する計画を持って予算が確保されている。最も混雑する地下鉄路線に沿って自転車道のネットワークを作り、公共交通機関の混雑を解消し、通勤客に等しく速く安全な代替手段を提供することも目標とされ、13万台以上の駐輪場の新設も計画されている。今夏のオリンピックは、これらの自転車計画を加速させる役割を果たすと考えられている。

insight | 知見

  • パリの都心交通の政策に関しては、当コラムでも自転車利用の倍増の記事や、交通制限区域SUV駐車料金3倍増歩行者自転車中心計画などの記事を紹介してきましたが、様々な政策導入の結果、都市の交通において自転車が自動車を超える担い手になったという結果がもたらされたのだと思います。

  • この記事の最後は「このプロセスには時間がかかり、反対もある。しかし、街の形態は変化し、自転車に適応している。それとともに気候変動の影響に対する回復力も高まっている。」と締められていますが、まちはビジョンと意志を持てば時間をかけて変えることができる、という勇気をもらえる事例なのではないでしょうか。