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インフラへの積極投資のおかげでパリの自転車利用は1年で倍に

case|事例

パリの中心部では、歴史のある大通りから賑わいで溢れるメインストリートまで自転車を主役とする革命が進んでいる。ルモンド紙の記事にはパリで自転車文化が根付き始めている様子が描かれている。それは単なる風景描写だけでなく、データでも深掘りされている。データによると2022年10月から2023年10月までの1年の間にパリの自転車利用は2倍になっている。これは単なる統計としての意味だけでなく、持続可能なモビリティが定着し、都市の再生が着実に進んでいる社会変化の実像をあらわしているともいえる。

パリ副市長は、「自転車の利用は単なる流行を超えて都市のアイデンティティになり始めている。自転車の利用は悪天候などの課題があるが、それにもかかわらず利用が習慣化している。特に交通分野においては、需要側へのアプローチよりも供給側へのアプローチが重要で、インフラを着実に整備してきた成果が得られている。」と述べている。パリ市は、2015年からイダルゴ市長のもとで自転車計画を推進し、1.5億ユーロ(約245億円)を投じて自転車レーンの総延長を倍増するなど自転車関連のインフラへの投資を積極的に行っている。

insight|知見

  • 1年で自転車利用が倍になるというのは驚きです。また習慣として定着し、悪天候でも自転車を利用しているという点にも驚きました。私自身も自転車を日常的に利用しますが、さすがに雨の日は利用を避けてしまうので、まだまだ愛好家は名乗れないなと反省(?)しました。

  • 「交通は需要側よりも供給側へのアプローチが重要。」という副市長のコメントにも日本との考え方の違いを感じました。日本は啓発などの需要側へのアプローチが主で、インフラ投資は積極的ではありません。自転車レーンも矢羽根で走行空間を示す程度がメインで、抜本的に道路空間を見直すようなケースはレアです。

  • 確かに安全で快適な利用環境を整えてから、需要喚起というアプローチの方が正しそうだなと感じました。それは自転車だけでなく、歩行者も電動キックボードなども同様だと思います。